東京都文京区の小石川植物園。正式名称は「東京大学大学院理学系研究科付属植物園」で、遡れば江戸時代「薬園」として設置された1638年が開園と、植物園としては世界的にみても最古の施設の一つです。

園内の散策路は舗装路面がごく一部しかありません。また園内は傾斜のある地形で一部の散策路にはアップダウンがあります。段差路もあるので、車椅子で園内を一周することはできません。

2019年に温室が新しくなり公開が始まりました。公開温室内はバリアフリーです。

車椅子で可能な小石川植物園の見学範囲を紹介します。

白山駅から徒歩10分、茗荷谷駅から徒歩15分の案内です。両駅からのルートは坂道で、行きは下り坂、帰りが上り坂になります。

バス停は徒歩3分の案内で、バス停から植物園入口までは、ほぼフラットな移動ルートです。

植物園に駐車場はありません。近くの「千川通り」や「播磨坂」にはパーキングメーターが設置されています。桜の開花シーズン以外なら、パーキングメーターが空いている可能性が高いエリアです。

植物園の入口は正門の一カ所です。正門の周囲はほぼフラットな道で、車椅子で問題なく移動できます。
入口にある発券機で入園券を購入します。入園料の障がい者減免制度はありません。高齢者の減免措置もありません。受付でチケットを提示して入園します。

車椅子での園内移動ルートの概要です。正門からみると園内奥の左側方面にある林のエリアと、「日本庭園」エリアをつなぐ散策路が段差です。このため車椅子では園内一周はできません。
正門から直進して坂道を上がり公開温室方面へ向かう正面ルートと、正門から左に進み未舗装路を通行して日本庭園方面へ向かう左折ルートがあります。
2本のルートの、車椅子からみた状況を紹介します。

○正面ルートの状況①(柴田記念館まで)
正面ルートは「柴田記念館」付近まで舗装路です。ただし正門受付の先からすぐに急坂が始まり、「精子発見のソテツ」の横を通り、本館の横まで坂は続きます。

車椅子ではかなり辛い傾斜です。元気な介助者と同行されることをお薦めします。

柴田記念館の入口は階段です。

内部は常設展示と企画展示コーナーがある、歴史ある小さな資料館です。

記念館の前には「シダ園」があります。下り階段があるので車椅子ではその手前からの見学になります。

○正面ルートの状況②(公開温室周辺)
柴田記念館から「ニュートンのリンゴ」付近に進むと、未舗装路面になります。固くてデコボコが少ない路面なので、未舗装ですが車椅子での移動は可能です。

公開温室はバリアフリー仕様です。フラットな舗装路面の上に、温室が7室並びます。1室は非公開で、公開されているのは6室です。

各温室の出入口に段差はありません。

また車椅子から見難い、気になる展示はありません。

温室内では「ショクダイオオコンニャク」など、貴重な生態を観察できます。

温室の周囲には、旧温室の遺構や、明治時代の水槽などが残されています。

温室内にバリアフリートイレが1つ用意されています。植物園内で最も綺麗なトイレです。ユニバーサルベッドはありません。

○正面ルートの状況③(林エリア方面)
温室の前には立ち入りできる芝生広場があります。温室の先の通路はカエデ並木。未舗装路ですが、車椅子で移動可能な固い路面です。

その先から「精子発見のイチョウ」、ボタイジュ並木、ユリノキ、スズカケノキなどの林エリアに入ります。巨木が生きる原始的なエリアで、散策路の雰囲気も荒れてきます。

ただしまだ、決定的な段差はありません。小石川植物園の醍醐味を味わえるエリアなので、無理のない範囲まで車椅子で見学されることをお薦めします。

日本庭園の上部、「旧東京医学校本館」見える地点まで進むと、その先は段差路になります。車椅子ではここから引き返すことになります。

○左折ルートの状況①(ウメ林周辺まで)
正門から未舗装路面を左折するルートを紹介します。この方面はすべて未舗装路面です。

メタセコイアの林の横を抜け、ハンノキ並木を通過します。

この区間は未舗装ですが、固くデコボコが少ない路面なので、気を付けて進めば車椅子で移動可能です。

ウメ林付近まで、安定した路面の状況は続きます。

○左折ルートの状況②(日本庭園)
ウメ林を超えると日本庭園に入ります。ここで分岐路があり、池沿いの右側ルートは途中に飛び石や段差があり車椅子では通行できません。

左側の未舗装路を進んでください。決定的な段差のない未舗装路を通り、日本庭園に出ることができます。

日本庭園は小石川植物園随一の景勝地です。ところどころに段差路があるので、車椅子では道を選び、無理のない範囲で風景を楽しみます。

林エリアがある高い台方面へは、段差路などで車椅子では上がることは出来ません。

小石川植物園はバリアフリー施設ではありませんが、坂道を上がることが出来れば、新しい温室内を車椅子で見学できます。また未舗装路を通過できれば、日本庭園の風景を車椅子で楽しめます。
小石川植物園の西側エリアに建つ「旧東京医学校本館」を活用した東大の「建築ミュージアム」を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2020年10月に執筆しました)




















