栃木県足利市の観光名所「あしかがフラワーパーク」は、現在地で開園したのが1997年。開業当初は、園内のほとんどの散策路は未舗装で、バリアフリートイレも少ない施設でした。
その後バリアフリー改修工事が進み、園内散策路は舗装され、段差箇所はスロープ構造になり、バリアフリートイレは増設されています。
2018年には徒歩3分の地点にJR「あしかがフラワーパーク駅」が開業。車椅子利用で電車でのアクセスが可能になりました。
バリアフリー面だけではなく、観光スポットとしての魅力度もアップ。大藤の開花シーズン以外でも、一年中園内に花が絶えることはなく、また夜のイルミネーションは大人気企画に成長。今や日本を代表する観光地です。
駐車場のバリアフリー状況です。300台を収容する正面ゲート前の駐車場に、身障者用駐車スペースが設定されています。場所は広い駐車場区域内でありません。
身障者用駐車スペースはパーク入口の「ショッピングハウス」横の細長い駐車場の手前側に、屋根無しで4台分並んでいます。知らないと目に入らない場所です。混雑時に開放される臨時駐車場は未舗装路面なので、車椅子利用者はこの身障者用駐車スペースが利用できると便利です。
あしかがフラワーパークの入園料は、季節変動制です。2022年大藤開花シーズンの大人入園料は、昼の部が2,000円、夜の部が1,800円と案内されています。最も安い時期の大人入園料は400円。あしかがフラワーパークの、現時点での入園料の障がい者減免制度は、本人と介助者1名が、その日の入園料から200円割引されます。したがって2,000円の時は10%OFF、400円の時は50%OFFになります。ショッピングハウス前のチケットセンターで、障害者手帳等を提示して減免措置を受けてください。
バリアフリートイレは、園内の有料エリア内に5つ、正面ゲート前駐車場の横に1つあります。6つのトイレの構造はおおむね共通で、独立棟トイレの外側から引き戸を開けて利用するタイプです。
園内トイレの1つは、スペースにゆとりのある個室で、ウォシュレット付き便器が設置されていました。
車椅子からみた園内の状況です。
パークのエントランスになるショッピングハウスの入口は、4か所すべてが手動ドアです。今回取材時はコロナ対策で、一つのドアだけが常時開放されていました。入口で検温と手指消毒を行います。
ショッピングハウス内には「花売場」と「おみやげ売場」があります。ここまでは無料エリアです。両売場ともフラットな構造で、車椅子で買い物ができます。
入口と反対側にあるショッピングハウス出口が入園ゲートです。ここでチケットを提示して、有料エリアに入ります。ここまで段差はまったくありません。
最初にフラワーステージなどがある広場に出ます。広場一帯はフラットな舗装路面です。
フリーテーブル席が配置されています。
フラワーステージはオールシーズン楽しめます。車椅子で問題なく散策できます。
フラワーステージの先にある「うず紅の棚」。水上の花壇が風に吹かれて回転します。段差迂回スロープがあり、車椅子で水上花壇に近づけます。
パーク南側は小高い山の麓で、寒紅梅のエリアです。手前の散策路は車椅子で通行できます。
寒紅梅エリア山側の散策路は、アップダウンがあります。園内で車椅子ではやや辛い傾斜路はここだけです。
藤のエリアに向かいます。多少の傾斜はありますが、車椅子で問題なく進める舗装路面です。
大藤の周囲はウッドデッキです。車椅子で移動できます。
大藤は他の場所からこの地に移植されました。現地に解説版があります。
大藤付近の段差箇所は、ややラフですが、スロープに改修されています。
段差箇所の改修は各所で進んでいます。
「白藤のトンネル」の下はウッドデッキ仕様。車椅子で通行できます。
西ゲート側の池「水上花壇」は、改修工事中でした。一部に急なスロープ構造箇所があるエリアなので、バリアフリー改修が進むことが期待されます。
オールシーズン花が絶えないように、園内各所に工夫があります。
フードテラスやレストラン、テイクアウトコーナも、段差を回避して車椅子で利用できます。
藤の開花シーズンの大混雑は問題ですが、あしかがフラワーパークはバリアフリー改修が進み、ほぼ園内全域を車椅子で散策できます。
(本稿は2022年3月に執筆しました)
《参考情報》栗田美術館のバリアフリー状況
あしかがフラワーパークの近くにあり、近隣の観光スポットとして紹介されることが多い栗田美術館は、山の中に展示館や屋外展示物が点在する施設です。
フラットで広い駐車場があり、身障者用駐車スペースはあります。
エントランスには段差迂回スロープが設置されています。
趣のある大手門を車椅子でくぐることはできます。
ただし、この先は山道なので、車椅子での観覧はかなり苦戦する美術館です。