新型コロナ感染 重度重複障がい者に関わる国の通達内容

2020年4月1日現在、厚生労働省から多数の通知や連絡等が発信されています。多くは一般的な内容です。

その中から、障がいと共に生きる家族に必要な情報を抜粋して紹介させていただきます。

分かりやすくするために、原文から意訳した表現に変更していることをご了承ください。

 

〇家族が感染してしまったら

・医療的ケア児の保護者が感染した場合、本人は濃厚接触者なので通所施設やショートステイは利用できない、訪問看護や居宅介護の利用を検討する

 

〇本人が発熱したら

・訪問系サービスは、利用者に(コロナ感染ガイドラインに抵触しないレベルの)発熱の症状があっても、事業者側で十分な感染予防対策をして、必要なサービスを継続的に提供する

 

〇施設の人手不足対策

・社会福祉施設で職員の確保が困難になった場合は、同業の法人間で連携する、または関係団体へ相談して職員の応援をえるなど、必要な対応を検討していただきたい

 

・福祉事業者が人員基準で定められる有資格者を確保できなくなった場合でも、市町村が認める者であればサービスに従事してもよい

 

・放課後等デイサービス、重度障害児、医療的ケア児を受け入れている事業所で看護職員が確保できない場合は、地域の同業者と連携する、臨時休業中の特別支援学校の看護職員に協力を要請する、ほかの事業者に受け入れを要請する、などを検討していただきたい

 

〇施設での定員を超過した受け入れ

・放課後等デイサービスの利用者数は定員を超えても構わず、上限値は国では決めないので、各施設の実情に応じて判断すること

 

〇特別支援学校の休校対策

・臨時休校によって放課後等デイサービスの利用を希望する特別支援学校の幼児児童生徒は、高齢者介護事業所も対象にして市区町村が受け入れ先を調整すること

 

〇福祉事業者サービス内容の変更について

・移動支援サービスにおいて、外出時間の短縮、あるいは外出を自粛して自宅などで支援を行った場合も、実施主体である市町村が認めれば、移動実績として計上してよい

 

・近隣で感染が発生している、あるいは職員が感染したなどの事由で、通常の通所福祉サービスを休業している事業者が、利用者の居宅などで支援活動を行った場合、市町村の判断で報酬の対象としてよい(放課後等デイサービスにも、ほぼ同様の連絡があります)

 

〇福祉事業者サービス時間の変更について

・感染拡大防止のために、支援サービスの時間が規定よりも短縮した場合でも、報酬を算定してよい

(20分未満でも30分、重度訪問介護の場合は1日3時間未満でも報酬算定可能、など)

 

〇入居施設で利用者が濃厚接触者になった場合

・入居の濃厚接触者の入浴は、個人専用の浴室でない場合は不可で、清拭で対応し、使用したタオルは徹底的に消毒すること

 

〇就労事業の運用ルール変更

・就労移行支援事業所、就労継続支援事業所は、利用者と月一回以上の体面による支援を行う義務があるが、市町村が認めれば電話でもよい

 

・A型B型とも福祉作業所の在宅勤務は障害の特性によってのみ認めていたが、感染防止の観点からでも市町村は認めてよい

 

〇就労事業者への経営支援策

・経営不振なA型事業者は、経営改善計画の策定が義務付けられているが、コロナが原因による経営不振と市町村が認める場合は、計画の提出を延期できる

 

・コロナによる経営不振で賃金支払いが困難になったB型事業者は(最後の手段として)許可を得て、工賃補填に自立支援給付費を充てることができる

 

〇消毒液の優先配布

・医療的ケア児への消毒液の優先供給は、市町村が必要量を把握して調達し、家庭に配送するなどしてでも円滑に供給すること

 

今後も、障がいと共に生きる家族に関係する行政連絡等が発信された場合は、可能な限り迅速に情報提供させていただきます。

《生きるちから舎ニュース 2020年4月2日》

睡眠障害・自傷行為・奇声など強度行動障害を伴う身体障がいがある人

若くから車椅子を利用する身体障がいのある人も状況は一人ひとり違います。

パラリンピックの選手のような人、重度の障がいで体がほとんど動かせない人、そして知的あるいはコミュニケーション面での重複障がいがある人。

この中で重複障がいのある人の中には、強度行動障害の症状がある人もいます。

 

強度行動障害の人の典型は、運動能力としては自立歩行が可能で、強い力で物を投げる、壊す、暴力をふるうなどの行為が、障がいの現象になります。

これに対して車椅子を利用する人の場合、身体能力が低いので、強い力で人を殴るなどの暴力レベルは一般に高くはありません。

 

重複障がいのある強度行動障害者の典型は、たとえば脳性麻痺などの病気で身体障がいがあり、かつ自閉傾向が強く、知的な障がいがある人などです。

このような人の場合、以下のような行動障害が現れる場合があります。

強度行動障害

〇自傷行為と介助者への噛みつき

身体障がいがあり、殴る、つかむ、蹴るなどの行為が上手くできない人でも、噛みつくことは比較的容易にできます。自傷行為としては、自分の口まで腕を動かすことが出来るなら、自分の手に噛みつくことが可能です。

口の近くにある物に噛みつく行為が可能であれば、暴力行為としては、介助者の手が口の近くあると噛みつくことが出来ます。

車椅子を利用する身体障がいがある人でも、噛む力がそれなりにある人の場合、力いっぱい噛みつかれると大けがをする恐れがあります。

自傷行為

〇夜になると騒ぐ睡眠障害

強度行動障害の典型的な症状、睡眠障害は車椅子の人でもおこります。ベッドから自力では下りることが出来ない運動能力の人でも、ベッドの上で叫び続ける、暴れる、結果として昼夜逆転するなどの症状をおこします。

自閉傾向が強い人に多くみられますが、極端に睡眠時間が短い日が連続しても当人は平気で、日中は通常の活動が出来る人もいます。

介護する家族にとって、まともに睡眠がとれないことは身体的にとても辛いことです。

夜になると騒ぐ睡眠障害

〇大声で叫ぶ、奇声をあげる

強度行動障害の人は多くの場合、はっきりとした発語、言語コミュニケーションが出来ません。突然「ウアー」「ギャー」といった大きな声をあげることがあります。

外にいるときはもちろん困りますが、家の中での奇声も近所迷惑になり、家族は悩みます。

強度行動障害

〇生活パターンの中でのこだわり行動

自立歩行ができる強度行動障害の人の場合、毎日同じ道を通る、同じ場所で同じことをする、などのパターンが崩れると、騒ぐ、暴れるなどのパニック症状をおこす場合があります。

重度の身体障がいがある人の場合でも、家の中の物の配置が違うと我慢できない、ある部屋の照明が点いていないと気が済まないなど、狭い行動範囲の中でパターン化されたことが崩れると、騒ぐケースがあります。

年単位でみると、こだわるパターンの対象は変わりますが、何かにこだわる行為は、無くならない人が多いようです。

強度行動障害の人

一般に強度行動障害は、幼少期は症状が軽度で、10代になってから重度化する傾向があります。

身体障がいの他に重複した障がいのあるお子様に、成長とともに上記のような症状が現れてきた場合、強度行動障害という観点からの医療、療育、個別支援が考えられます。簡単に治癒できる疾患ではありませんが、主治医や専門機関に相談されることをお薦めします。

(本稿は2020年4月に執筆しました)

新型コロナ 障がい者福祉に関わる国の緊急対応策第二弾の概要

令和2年3月10日に決定した対応策の中で、障がい者福祉に関わる政策の概要をまとめて紹介します。

 

・福祉事業所へのマスク購入補助

障害児用の小型マスクと消毒液を都道府県が購入した場合の費用を国が全額補助する

 

・消毒費用の補助

福祉事業所で感染者が発生した場合、必要な消毒費用を国が全額補助する

 

・感染予防啓発費用の補助

障害者へ感染予防に必要な情報が行き渡るための事業の費用を国が全額補助する

 

・多床室の設備改修への補助

障害者支援施設などで感染者が多数発生した場合の、多床室の個室化改修費用を補助する。事業者の負担は25%とする。

 

・在宅就労実現費用の補助

就労移行支援事業所、就労継続支援事業所を利用する障害者のテレワークを推進するための指定項目(システム導入など)費用を国が全額補助する

 

・児童生徒の放課後等デイサービス費用増加分の補助

特別支援学校の休業によって増加したサービス分の費用を国が一部補助する

 

 

 《生きるちから舎ニュース 2020年3月》