車椅子で行く奈良~吉野山バリアフリー情報

吉野山バリアフリー

桜の名所、世界遺産がある「吉野山」は車椅子で行くとどうなのか。「下千本」を中心に、現地現場のバリアフリー状況を詳しく紹介します。

なお本稿は2018年6月の取材に基づいています。

○観光拠点は「下千本観光駐車場」

吉野山の観光シーズンは桜と紅葉の時期。特に桜の季節は交通規制がかかります。車椅子利用者の場合、ケーブルカーの利用は難しくアクセスは車が便利。マイカー、タクシー、バス。いずれの手段でもオールシーズン観光の拠点になるのは「下千本観光駐車場」です。「下千本観光駐車場」から徒歩で「金峯山寺」方面に進むコースを紹介します。

吉野山バリアフリー

○400台収容の無料駐車場

「下千本観光駐車場」は、とても広い駐車場で24時間利用可能。通常は無料で観桜期は有料になります。障害者用駐車区画は出入口にある公衆トイレの近くです。この公衆トイレは障害者用トイレを併設。実用に耐えるトイレですが、ウォシュレットは付いていません。

駐車場は車椅子で問題なく利用できます。

吉野山バリアフリー

○車椅子で散策へ

駐車場内から金峯山寺方面にかけてが、下千本の観光エリア。距離的には金峯山寺仁王門まで700mほど。一般的には観光ルートとして、散策が推奨されるコースです。実際に車椅子で向かうと、傾斜と道の狭さに苦しめられます。さらに詳しく紹介します。

吉野山バリアフリー

○吉野山駅までは楽に行ける

下千本観光駐車場から一般道に出ます。この道は、観光シーズンは一般車両通行禁止、あるいは一方通行規制がかかりますが、閑散期はフリー通行。一般車両が自由に通行します。

駐車場から出るとすぐに「下千本展望所」。緩やかな上り坂を進むと、「七曲坂」手前では少し下り坂になります。その先に「大橋」。橋の解説板があるのでご覧下さい。さらに進むとケーブルカーの「吉野山駅」。このあたりまでは、アップダウンも緩やかで道幅にも多少は余裕があります。一般的な車椅子利用者なら、行くことができます。

 

○坂がきつく狭くなる

「吉野山駅」を過ぎると、次にある観光スポットは「黒門」。徐々に道が狭くなり、車が来ると車椅子を端に寄せるのに気を使うようになってきます。そして上り坂が段々ときつくなる。気合を入れて「黒門」を越えます。

 

次の観光スポットが「銅の鳥居」。このあたりで車椅子での移動に、体力的な余裕がなくなります。一般的な車椅子利用者なら、屈強な介助者が必要。そしてこの先「仁王門」までは、車椅子にとって地獄のような急坂。しかも道は狭い。無理な人は引き返してください。かなりの強者でなければ「仁王門」の下まで車椅子で行くのは困難です。

 

○金峯山寺はギブアップ

その先にある世界遺産、吉野山の金峯山寺。高台にそびえ立つ「蔵王堂」は高さ34mで、東大寺大仏殿に次ぐ木造大建築。構造物としては本堂である「蔵王堂」と「仁王門」。青いお顔の「秘仏本尊」が特に有名です。役行者が開祖である修験道の総本山。参拝には訪れたい世界遺産です。

ただ残念ながら、車椅子での参拝は、現実的には無理です。状況を詳しく紹介します。

吉野山バリアフリー

○蔵王堂へのスロープは傾斜30度

蔵王堂への通常ルートは、仁王門の下からの急な階段路。車椅子はもちろん、体力に不安のある人にはお薦めできません。階段路の前に「スロープはこちら」という案内があります。山を上ってきて右手へ廻るルート。この道も急坂で狭路。通常期は一般車両が自由に通行できるので、車両が来ると車椅子の逃げ場が少ない怖い道です。進むとスロープがあります。

スロープといっても、中央部は階段、両端が幅狭いスロープを組み合わせた急坂路。傾斜角度30度くらいありそうな、転がり落ちそうなスロープです。しかもスロープ部は、一般的な車椅子がギリギリの狭さ。その距離は30mほど。このスロープを車椅子で上り下りするのは現実的ではありません。

吉野山バリアフリー

○蔵王堂の前は深い砂利路面

何らかの方法で蔵王堂まで車椅子で進んだとします。蔵王堂の前の広場は深い砂利路面。車椅子がスタックして動けなくなる路面です。そして蔵王堂の入口は階段。スロープはありません。金峯山寺は、車椅子では仁王門近づいて、下から見上げるのが精一杯です。

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○お店はバリア店が多い

千本観光駐車場から仁王門の付近まで、お土産店や飲食店など数多くのお店があります。吉野葛、柿の葉寿司、梅干し、お漬物・・・。見る限りバリアフリー店はほぼありません。入口には段差、狭い店内、店内にも段差。山の坂道の脇の狭いスペースにあるお店なので、どうしてもそうなります。それでも何店舗かは、車椅子でも何とかなりそうなお店があります。急坂の横にあるほとんどのお店は、車椅子では利用困難な構造なので、道がフラットな箇所にあるお店を狙って下さい。

吉野山バリアフリー

○ドライブも気合が必要

交通規制のない観光シーズン以外の時期に、吉野山をドライブで楽しむ場合、道は狭く、反対から車が来ると離合が出来ない箇所が、上千本方面まで連続します。ドライブにも気合が必要な吉野山です。「観光車道」まで抜ければ、普通の2車線路になります。

 

以上のように吉野山の車椅子での散策は、実際にはかなり困難が伴います。下千本観光駐車場の近くを、無理ない範囲で行動されることをお薦めします。この範囲にも、数軒お店があります。