車椅子で行く富士五湖ドライブコース~本栖湖から湖北ビューラインへ

車椅子から見る絶景ポイント、バリアフリーな観光施設など、車椅子で富士五湖観光を楽しむドライブコースを紹介します。

本稿は、本栖湖を起点に富士五湖越しに富士山の眺望を楽しむコースです。

○本栖湖のビューポイント

大きな駐車場は湖の南岸にあります。そこからは富士山は背後になるので、国道300号線を湖の東回りで進んでください。湖の北岸に入ると、複数箇所、車が止められる富士山ビュースポットがあります。

最後のスペースで折り返し南に戻ると、車から富士山をバックに本栖湖が見えます。本栖湖湖畔の国道300号線は、全線がビュースポットです。

富士五湖ドライブ バリアフリーな富士山ビュースポット

○精進湖のビューポイント

精進湖は、富士山ビューの湖岸まで普通の車でも降りることができます。しかし湖岸は石ころだらけで、車椅子で自在に動ける路面ではありません。

車の中からでも十分に富士山を見ることが出来ますが、車から降りて車椅子に乗って富士山を眺めたい場合は、湖岸に降りずにレークホテル前の駐車場などをご利用ください。

富士五湖ドライブ バリアフリーな富士山ビュースポット

○湖北ビューライン

精進湖から西湖へ向かいます。西湖の手前で国道を左折して入る県道21号線が、西湖と河口湖の北岸を走る「湖北ビューライン」です。

車から富士山を見るなら「湖北ビューライン」は西湖方面から東行きがお薦め。最後に河口湖大橋からの眺めを楽しめる、快適なドライブルートです。

富士五湖ドライブ バリアフリーな富士山ビュースポット

○西湖野鳥の森公園

「湖北ビューライン」を走るとほどなく「西湖野鳥の森公園」があります。駐車場がある自然公園で、ネイチャーセンターである「樹海ギャラリー」は車椅子で利用できます。

西湖野鳥の森公園樹海ギャラリー

車椅子で利用できる展示室。

西湖野鳥の森公園樹海ギャラリー

そしてバードウォッチングルームがあります。

西湖野鳥の森公園樹海ギャラリー

管理事務所の中にバリアフリートイレがありますが、このトイレは狭くて車椅子がまっすぐには入りません。洋式で手すりはあるので、介助が不要な人、または車椅子から降りて自立歩行が出来る人は利用できます。

西湖野鳥の森公園樹海ギャラリー

近くにある「西湖いやしの里根場」は、傾斜、未舗装、段差により、車椅子での利用は苦労する施設です。

○西湖のビューポイント

西湖で富士山ビュースポットに行く駐車場は一か所。北岸の西側にあります。10台くらいしかスペースのない駐車場に止めて、いったん車から降りて、ピンポイントのビュースポットに数十メートル移動してください。

駐車場が満車でも、回転は早いので、おそらくは少し待っていれば大丈夫です。

西湖

○河口湖大石公園

河口湖でお薦めの富士山ビュースポットは「大石公園」です。身障者用の駐車スペースがあり、ちょっとした土産屋があり、車椅子でテラスにいくことも可能です。公衆トイレにバリアフリートイレがあります。

この公園以外からも、河口湖北岸の「湖北ビューライン」からは、随所で富士山が見えます。

富士五湖ドライブ バリアフリーな富士山ビュースポット

〇富士大石ハナテラス

大石公園の隣接地ある商業施設です。8棟に9店舗が営業しています。2Fにある1店舗は階段のみで車椅子で利用できません。

富士大石ハナテラス

トイレ棟内に綺麗なバリアフリートイレが用意されています。

富士大石ハナテラス

○道の駅かつやま

「道の駅かつやま」は河口湖畔にある施設。目の前は「小海公園」で河口湖沿いに湖畔遊歩道が整備されている観光地です。富士山は背後になり湖越しに富士山が見えるロケーションではありません。かつては「勝山村」で、2003年に合併して「富士河口湖町勝山地区」になりました。

富士五湖ドライブコース~本栖湖から湖北ビューラインへ

以前は階段しかない2Fに食事処がありましたが、2013年に平屋の別棟を建て移転しました。名物は「イトリキカレー」。地元の飲み屋「糸力」さんの裏メニューのカレーを、糸井重里氏が絶賛したことがきっかけでブレーク。1998年に道の駅が開業するにあたって、勝山村長が道の駅の目玉にしたい、と働きかけてレストランのメニューに登場。道の駅レストランの看板メニューになり現在に至っています。

富士五湖ドライブコース~本栖湖から湖北ビューラインへ

○河口湖音楽と森の美術館

河口湖の周りには複数の有料観光施設があり、車椅子で利用できる施設が複数あります。

その中で最大規模の施設は「河口湖音楽と森の美術館」です。施設全般バリアフリー対応が進み、車椅子での利用は可能。入場料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が半額に減免されます。

富士五湖ドライブコース~本栖湖から湖北ビューラインへ

(本稿は2018年12月に執筆しました)

次は河口湖から山中湖方面へ向かう「車椅子で行く富士五湖ドライブコース~富士吉田から忍野八海、山中湖へ」です。

河口湖から本栖湖方面へ国道を進むルートは「車椅子で行く富士五湖ドライブコース~河口湖ICから朝霧高原へ」をご覧ください。

車椅子で行く富士五湖ドライブコース~河口湖ICから朝霧高原へ

車椅子から見る絶景ポイント、バリアフリーな観光施設など、車椅子で富士五湖観光を楽しむドライブコースを紹介します。

本稿では、河口湖ICを起点に国道139号線を西へ向かうルート上にある、車椅子での立ち寄りスポットをピックアップします。

○富士山世界遺産センター

2016年オープン。新設された南館と既存の北館で構成される施設です。駐車場には身障者用駐車区画の用意があります。

山梨県立富士山世界遺産センター

南館は有料の施設でしたが、2019年に無料になりました。1Fは円形空間の中に数多くの展示物を配置。2Fは回廊のような展示スペース。両フロアとも車椅子での見学は可能です。スペースに余裕があるので、少々混雑しても車椅子で苦戦することはありません。

山梨県立富士山世界遺産センター

旧ビジターセンターの北館は、新しい南館と比較すると見劣りしますが、基本的にはバリアフリー設計です。北館の展示は富士の自然がメインテーマ。富士山を題材にした浮世絵などの展示、そしてショップがあります。

山梨県立富士山世界遺産センター

○富士スバルライン

マイカー規制期間や降雪による交通規制がありますが、全線営業中であれば、富士山五合目まで行くことが出来ます。

通行料金は障がい者減免制度で半額になります。適用条件は、有料道路減免指定を受けた本人の乗車と車両の使用で、ETCはなく、料金窓口で手帳の記載事項がチェックされます。

五合目のレストハウスには、身障者専用駐車区画とバリアフリートイレの用意があります。

富士五湖ドライブコース~河口湖ICから朝霧高原へ

○河口湖ショッピングセンターBELL

元々は「ヤオハン」で1987年の開業。最新の施設には及びませんが、改装を重ねてバリアフリーになっています。

1Fは食品スーパー、ドラッグ、フードコートなど。2Fは衣料雑貨他。3Fには100均などが入っています。全32店舗。延べ床面積は約6000坪で、エリア最大級の商業施設です。

富士五湖ドライブコース~河口湖ICから朝霧高原へ

バリアフリートイレは、1Fと2Fにそれぞれ一つ。3Fにはありません。

駐車場は2か所。東側駐車場は1Fで身障者用駐車スペースがあります。店舗までの通路は屋根無しです。西側駐車場は構造的には半地下方式でB1。車椅子だと、店舗へはエレベーターで上がります。

富士五湖ドライブコース~河口湖ICから朝霧高原へ

○ほうとう不動東恋路店

際立つ個性的な外観が人気のバリアフリーほうとう専門店です。

ほうとう不動東恋路店

国道から曲がった先の入り口近くに、身障者用駐車スペースが1台分あります。店舗の入口は引き戸で、入口は段差がありますが、車椅子で店舗に向かうと、店舗スタッフが段差の無い戸を開けてくれます。

テーブルや椅子はデザイナー家具。店内は全席テーブル席で、店舗内の通路は広々しています。バリアフリートイレがあります。

富士五湖ドライブコース~河口湖ICから朝霧高原へ

○フォレストモール富士河口湖

2011年の開業。モール内から富士山を仰ぎ見ることができます。

総敷地面積2万坪超。テナントは大小26店舗。食品スーパーは「マックスバリュ」。ホームセンターは「くろがねや」。ドラッグは「サンドラッグ」などです。

富士五湖ドライブコース~河口湖ICから朝霧高原へ

利用したいお店の近くに車を停める方式で、各店舗の近くにそれぞれ身障者用駐車スペースが設置されているのが特徴。トイレも原則各店舗内にあります。敷地内はオールフラット構造。車椅子での利用に問題はありません。

富士五湖ドライブコース~河口湖ICから朝霧高原へ

○道の駅なるさわ・なるさわ富士山博物館

「道の駅なるさわ」は1995年開業。産直ショップとテイクアウト、休憩コーナー、観光案内所、そしてトイレ棟という構成です。これらの施設は段差の上。施設前の通路幅は狭く、車椅子1台分の幅です。

道の駅なるさわ

段差が多い施設ですがスロープ設置は進み、トイレも小規模改良されています。

なるさわ富士山博物館

「道の駅なるさわ」の敷地内に「なるさわ富士山博物館」があります。2008年に土産屋になった博物館で、現在は入館無料です。お土産屋の名称は「鉱石ミュージアム」、つまり宝石屋さんです。

巨大な恐竜ロボ、フジシアター、大型富士山模型などがあり、スロープやエレベーターを利用して車椅子で見学が出来ます。

なるさわ富士山博物館

○森の駅風穴

「富岳風穴」にある売店と食事処がある施設です。2012年に大規模リニューアルして、バリアフリー施設になりました。トイレは屋外公衆トイレの利用になります。風穴は車椅子での見学は出来ません。

森の駅風穴

○道の駅朝霧高原・あさぎりフードパーク

「道の駅朝霧高原」は2000年に開業。富士山の間には、遮るものは何もありません。抜群の富士山ビューポイントにある道の駅です。

あさぎりフードパーク

独立したトイレ棟と、コの字型のメイン棟があります。産直コーナーの通路幅は余裕がありませんが、テイクアウトコーナーの周囲は余裕があり、食事処はバリアフリーです。

富士五湖ドライブコース~河口湖ICから朝霧高原へ

隣接する「あさぎりフードパーク」は2012年に開業。工場を併設した独立棟の6店舗「朝霧乳業」「茶工房富士園」「上野製菓」「いも工房かくたに」「富士正酒造」「ビュッフェレストランふじさん+売店」が約5万㎡の敷地内に並びます。

あさぎりフードパーク

共同駐車場の他に各店舗横に駐車場を設置。敷地内は緩やかな斜面の舗装路。各店舗はバリアフリーで、バリアフリートイレ、または兼用の大型トイレを設置。車椅子で快適に散策し、お買い物が楽しめます。また、各工場では製造体験イベントなども開催されます。

あさぎりフードパーク

広い「あさぎりフードパーク」ですが、季節の良い好天の日なら、車椅子での散策できます。

あさぎりフードパーク

○富士花鳥園

有料の観光施設です。ベコニアガーデンがあり、フクロウ、タカなどの鳥類がいます。入園料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が約2割引になります。駐車場は無料です。

施設は大きく屋内と屋外の庭園スペースに分かれます。屋外は若干のアップダウンがありますが、車椅子で鑑賞可能。屋内はバリアフリーです。

フクロウを飛ばすショーが開催されます。また、花の下で食事ができるコーナーがあり、富士宮やきそばが人気です。園内に富士山の伏流水の汲み放題コーナーもあります。

富士五湖ドライブコース~河口湖ICから朝霧高原へ

(本稿は2018年12月に執筆しました)

次は、河口湖IC方面へ戻る「車椅子で行く富士五湖ドライブコース~本栖湖から湖北ビューラインへ」です。

河口湖から山中湖方面へ進むルートは「車椅子で行く富士五湖ドライブコース~富士吉田から忍野八海、山中湖へ」をご覧ください。

京都 美山かやぶきの里 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

京都ガイドブックのトップページを飾るほどの人気スポット「美山かやぶきの里」は、38戸の茅葺屋根の住居が現存する、国の重要伝統的構造物群保存地区です。周辺施設も含めて車椅子からみた現地のバリアフリー状況を紹介します。

美山かやぶきの里

清流にアユが泳ぐ「美山川」が流れ、川にそって道路が走ります。

アクセスは車が便利です。観光用駐車場は道路沿いの川と挟まれたエリアにあります。2016年時点では、駐車場には身障者用駐車区画の設定は見つかりませんでした。

駐車場エリアには土産屋と蕎麦屋、そして観光パンフレットが置かれている情報発信館、公衆トイレがあります。

美山かやぶきの里

駐車場から車道を渡ります。そこに「美山かやぶきの里」全体を眺めることが出来るスポットがあり、簡単なベンチが複数設置されています。ここまではフラットな路面で、車椅子での移動に問題はありません。

集落の中に入ると、山にむかっての傾斜路になります。急な傾斜路もあるので、車椅子利用者と介助者は体力に応じてルートを選定してください。

里内に入るとすぐにある道が旧道「鯖街道」。日本海の海の幸を京都へ運んだ道です。この「鯖街道」くらいまでなら急な傾斜はありません。「鯖街道」での「美山かやぶきの里」横断なら、無理のない車椅子散策ルートです。

美山かやぶきの里

「美山かやぶきの里」内の有料観光施設「美山民族資料館」と「ちいさな藍美術館」は、茅葺の古民家を利用した施設なので段差のある構造。車椅子での観光は困難です。

土産屋は車椅子で利用できます。蕎麦屋は約半分がテーブル席。情報発進館は車椅子での入館可。公衆トイレにはバリアフリートイレが併設されています。

車椅子での観光の場合、雨が降ったら逃げ場はありません。また冬季は降雪地帯です。

人が住んでいる集落です。その家屋を見て回る観光なので、①禁煙 ②住宅田畑への進入禁止 ③路上駐車禁止 ④ゴミの持ち帰り ⑤山菜、花、果実を採らない、がルールです。また私有地の写真撮影には、配慮が求められています。

美山かやぶきの里

以下、美山かやぶきの里の近隣で、車椅子で利用できる施設を2か所紹介します。

「大石酒造美山路酒の館」

大石酒造は創業300年の酒蔵。場所は「美山かやぶきの里」から500mほどの場所です。大きな施設で平屋構造。その6割ほどは酒蔵でお酒の生産施設です。残り4割ほどが直売店舗になっています。お酒だけではなく、調味料、漬物、地場産品が並びます。段差のないフラット構造で、綺麗なバリアフリートイレがあるお店です。

京都~美山かやぶきの里バリアフリー情報

駐車場は砂利面で未舗装です。駐車区画の設定は無い駐車場なので、車椅子利用者はなるべく出入口の近くに駐車することをお薦めします。

直売店内はフラットな床面に広い店内通路が確保されています。お酒好きの方はもちろん、お酒を飲まない方でも、地場産品のお買い物ショップとして利用できます。お酒の関連商品として、オリジナル香水、化粧水、クレンジングソープなどが販売されています。

「道の駅美山ふれあい広場」

美山かやぶきの里への玄関口にある施設です。2002年に農産物直売所が地元住民の出資で開業し、2005年に道の駅として登録されました。施設の中央部が車道および駐車場スペースで、その周りに産直ショップ、ミルクスタンド、観光案内所、トイレが点在します。

京都~美山かやぶきの里バリアフリー情報

直売所「ふらっと美山」は、旬の野菜、玉子、味噌、コンニャクなど、山の産直ショップならではの地場産品が並びます。しかし店舗は狭く、通路幅は並み以下です。空いていても、車椅子での店内移動は困難を伴います。

「ふらっと美山」の反対側に、ご当地牛乳である「美山牛乳」の工場と、ソフトクリームなどの売店「美山のめぐみ 牛乳工房」があります。

売店「美山のめぐみ 牛乳工房」は独立した一戸建て構造で段差があり、スロープが設置されていますが、狭くて急坂な車椅子で使いにくいスロープです。店舗は狭く、出入口も狭い構造です。自販機で食券を購入して利用します。車椅子利用者は同行者に購入をお願いしたほうが賢明です。

敷地内にある「農業振興センター」建物の1Fに、観光パンフレットが置かれている観光案内所があります。入口は段差構造ですがスロープがあるので車椅子で利用できます。

バリアフリートイレはトイレ棟内に1つあります。今回取材時は、設備が老朽化している状況でした。

京都~美山かやぶきの里バリアフリー情報

「美山かやぶきの里」は、無理のない範囲までなら車椅子で散策できます。近隣施設「大石酒造美山路酒の館」はバリアフリーです。「道の駅美山ふれあい広場」は、車椅子では上手に利用する必要があります。

(本稿は2016年9月の取材に基づいています)