埼玉県唯一の村、東秩父村にある道の駅です。この地区の名産品「細川紙」の技術の継承と後継者の育成、そして地域活性化のために、昭和60年から活動をしてきた「和紙の里」。そこに農産物直売所棟などを新設して、2016年に道の駅として登録されました。
バリアフリーレベルが違う新旧の建物が織り交ざった、多種多様なサービスがある大型複合施設です。車椅子からみた各施設のバリアフリー状況を紹介します。
施設正面にある第一駐車場は、道の駅開業にあわせて整備された舗装駐車場で、身障者用駐車スペースが屋根なしで2台分用意されています。
第一駐車場の横に建つユニークな形状の木造建築物はバスターミナルです。
バリアフリートイレは1つ。農産物直売所棟にあり外側から利用します。
駐車場の横から段差回避スロープを上がります。
一般的なサイズの個室で、シャワー式オストメイト装置が付いたウォシュレット付き便器が備えられています。
おむつ交換台があります。ユニバーサルベッドはありません。
駐車場の横に建つ「JA埼玉中央東秩父農産物直売所」はバリアフリー施設です。大きなガラス面には、障子をイメージする装飾が施されています。
エントランス周辺から店舗出入口、そして店内にかけて段差はありません。店内の通路は車椅子が移動できる幅は確保されています。
混雑していなければ、車椅子で買い物ができる農産物直売所です。
農産物直売所と「トータルサポートセンター」の間が、施設内へ向かう正面入口です。フラットな舗装路面を移動します。
駐車場からみて農産物直売所棟の裏側に、フードコートがあります。出店店舗数は8店。「うどん・そば」「天ぷら・コロッケ」「ラーメン」「たこ焼き」「からあげ」「イワナの塩焼き」「だんご」などのテイクアウト店が長屋風の建物に並びます。
イートインスペースは屋外。青空の下でいただきます。このイートインコーナーの一部は、高さ30㎝の台の上にテーブルと椅子が設置され、段差解消スロープが設置されています。
トータルサポートセンターは、総合案内所です。スタッフが常駐。観光パンフレットが置かれています。この施設の正面入口は段差がありません。レンタサイクルの受付も行っています。
「特産品販売所」は和紙などの物産品の販売所です。トータルサポートセンターとつながっています。正面出入口は段差があるので、トータルサポートセンター側からの出入りが便利です。様々な形状と大きさの和紙、和紙の加工品などが販売されています。フラットな構造で、車椅子で買い物ができるお店です。
ここから先のエリアは、30年以上前から営業している「和紙の里」の施設があります。左右に何があるのか、案内掲示があります。
屋外施設「展望台」方面は、未舗装の傾斜路や段差路を通行するので、車椅子では散策できません。
日本庭園が整備されています。庭をとりまくように「研修会館」「ギャラリー」「古民家」が並びますが、このエリアは未舗装路などがあるので、車椅子では無理のない範囲の散策になります。
車椅子で利用できる主な屋内施設は「和紙製造所」、食事処「すきふね」、「ふるさと文化伝習館」です。以下、それぞれのバリアフリー状況を紹介します。
和紙製造所のバリアフリー状況です。和紙工場で見学・体験をする施設。和紙を製造する道具などは自由に見学できます。
正面入口は段差構造、正面右側にある急な段差回避スロープを上り館内へ入ります。
内部にも段差箇所がありますが、車椅子でもそれなりに工場内を見学することができます。想像するよりも大掛かりな和紙工場です。見るだけでも、和紙製造設備の概要がわかります。
施設の内外に、和紙に書かれた書道部の力作が展示されています。
食事処「すきふね」のバリアフリー状況です。蕎麦、うどんのメニューが中心のお店で、お店の前の身障者用駐車スペースは現在では使用できません。可動式のテーブル席と座敷席があり、テーブル席を確保できれば車椅子で食事ができます。安くて美味しい人気のお店なので、お昼はウェイティングがかかることが珍しくありません。
ふるさと文化伝習館のバリアフリー状況です。和紙や竹籠などの展示館です。正面入口は段差構造です。
建物横にスロープがあります。
その先の出入口は手動の横開きドアで、床面に小さな段差があります。
施設は2フロア構造。1Fは車椅子で見学可能です。
2Fへは階段のみ。車椅子は見学できません。
2Fは古民具などが展示されています。
昭和時代の地域興し施設と、2016年の施設が混在するユニークな道の駅です。「道の駅和紙の里ひがしちちぶ」は、施設の半分以上は車椅子で利用できます。
(本稿は2021年8月に加筆修正しました)