「道の駅」は車椅子で利用できる施設ですが、現地のバリアフリー状況はそれぞれです。車椅子目線での情報と施設の特徴を紹介します。
本稿は群馬県の北毛(利根郡、吾妻郡、沼田市)にある「道の駅」情報です。開業年が新しい順に紹介します。なお道の駅の名称をクリックすると、より詳しいバリアフリー情報ページにリンクします。ご参照ください。
2018年開業。現時点では群馬県で最も新しい道の駅です。沼田ICから国道120号線、日本ロマンチック街道を日光方面へ進み、片品村役場の隣接地にあります。施設は平屋構造で段差のない設計です。
直売所棟、レストラン棟、休憩棟で構成される施設です。展望テラスには「展望足湯」があります。ここは車椅子のままでの利用は出来ません。
直売所棟には「スナックコーナー」があり、ソフトクリームなどを販売しています。
芝生広場は「813ひろば」。標高813mの自由広場です。
「湧水コーナー」があり、2本の蛇口から片品の名水が流れ出ています。
レストラン棟はスペースに余裕があり、車椅子で問題なく利用できます。フードコート方式の「かたしな食堂」、セルフサービスですが食堂スタイルの「村民キッチン」があります。
駐車場の横に24時間利用できるトイレ棟があります。バリアフリートイレは独立個室で1つ。他に男女別トイレの中に、スペースが広い個室が用意されています。
2014年に開業した、日帰り温泉と8棟の2階建てコテージが併設された道の駅です。元は盆地状の地区の「中山村」と傾斜地の「尻高村」の二つの村でしたが1889年に合併して、それぞれの一字をとって「高山村」に。この道の駅があるのは、盆地の旧中山村エリア。ということで「高山村」の「中山盆地」という名称です。
身障者用駐車区画は2台分を用意。駐車場から施設周辺にかけては、段差がないバリアフリー設計です。バリアフリートイレは独立棟内のみで、屋内にはありません。
施設棟内は、直売所と食事処があります。施設内から食事処へは数段の階段があり、スロープはありません。日帰り温泉施設内から食事処へのルートはフラットです。
夏は道の駅の駐車場から田んぼアートが楽しめます。
2014年開業。吾妻峡の観光拠点として整備された道の駅です。日帰り温泉、公園、産直ショップと食事処で構成されます。2010年に日帰り温泉「天狗の湯」が開業。2011年に「あがつまふれあい公園」が一般開放。そして2014年に、直売所「てんぐ」が誕生し、道の駅に登録しました。新しい施設なので、バリアフリー面で大きな問題はありません。
身障者用駐車区画は計4台分が設けられています。。バリアフリートイレは独立棟の公衆トイレと、温泉施設、直売所のなかにそれぞれあります。
車椅子での利用に問題はありませんが、直売所「てんぐ」は大きくはなく、併設される食事処とテイクアウトコーナーも小規模な施設です。
道の駅から吾妻峡の渓谷美が楽しめるポイントまで、距離にして800m以上はあります。また渓谷のハイキングコースは、車椅子では通行不能な悪路です。
2013年開業。ダム事業の地域振興策で建設された施設です。CVS併設、直売所、食事処があり、「情報コーナー」ではダムの情報と周辺の観光情報を発信しています。この「情報コーナー」の誕生で、別にあったダムの広報施設「やんば館」は閉鎖されました。
身障者用駐車区画は3台分設けられています。施設全体が段差のないバリアリー設計で、バリアフリートイレは24時間トイレ棟と施設内にそれぞれあります。施設内の通路部に一部手動ドアがありますが、全体的に車椅子での利用に大きな問題はありません。
直売所はフラット構造で車椅子で買い物ができます。山の幸を中心に地場産品が並びます。食事処はレストランとセルフサービスのお店があります。「ダムカレー」やお蕎麦がいただけます。
屋外に「足湯」コーナーがあり、無料で利用できます。車椅子から立ち上がれない人の利用は無理ですが、つかまり立ちや介助歩行が出来る人なら利用できるタイプの足湯です。足湯周辺から奇岩「丸岩」がのぞめます。
JR吾妻線の川沿いを走っていた線路は廃線になり、対岸に4600mの「八ツ場トンネル」、1900mの「川原湯トンネル」が出来て新線に移行しています。周辺道路は「八ツ場バイパス」に加え、ダムをまたぐ大橋「八ツ場大橋」「不動大橋」「丸岩大橋」などが開通しました。水陸両用バスで行くダックツアーも行われています。
2011年開業。赤城山の山裾、広々とした開放的な風景の中に誕生した道の駅です。
敷地内は全面ほぼフラット。施設は段差を造らないバリアフリー設計です。直売所、物産館、食事処が2か所、そして屋内足湯場があります。
身障者用駐車区画は2台分設けられています。トイレは独立棟でバリアフリートイレが1つ。密閉構造の個室で、大きなヒーターが稼働して冬場でも温かなトイレです。施設棟のドアは手動ドアが主流で、産直ショップの正面入口だけが自動ドアです。
産直ショップと2つのレストランは、車椅子での利用が可能な構造です。足湯は屋内型で入口に靴箱があり、靴を脱いで段差を上って入ります。足湯はバリアフリーではありません。
2008年開業。信仰を集める霊山「嵩山(たけやま)」の麓にあり登山の拠点です。古代から信仰を集めている山で重々しい雰囲気があります。施設は純和風の造りで、直売所と最大で80名が「そば打ち体験」できる厨房施設がある「たけやま館」、別棟で「そば処けやき」があります。
身障者用駐車区画は2台分設けられています。バリアフリートイレは「たけやま館」に隣接した別棟トイレと「たけやま館」の中にあります。「そば処 けやき」には外付けでトイレがあり、このトイレはバリアフリー仕様です。「たけやま館」内と「そば処 けやき」は、車椅子で利用可能です。
敷地のはずれには大型遊具がある子供向けの広場があります。これら施設全体を廻る道は、あまりバリアフリーではなく、ところどころ未舗装でデコボコがあります。車椅子での通行は何とか出来るというレベルです。
道の駅の前には「親都神社」。嵩山を御神体とする山岳信仰の神社です。「嵩山」の中腹から「親都神社」にかけて、2本のワイヤーが張られています。5月にはこのワイヤーに多数の「鯉のぼり」が泳ぎます。また、道の駅のすぐ裏手、「嵩山」の麓は芝桜ゾーンで、春には芝桜でピンクに染まります。
霊山「嵩山」は、「大天狗」、「中天狗」、「小天狗」という3つの岩が飛び出しています。中腹に立つ岩は「男岩」です。山中には「嵩山三十三番観世音」と呼ばれる石仏が点在。この石仏群が作られたのは江戸元禄時代です。登山ルートはバリアフリーではありません。
2005年に道の駅登録になりました。「たくみの里」は国道17号線から少し離れた場所にあります。エリアの入口になる信号のある交差点の横には、目印になる巨大な「わらアート」があります。
道の駅として登録されている「道の駅たくみの里」は、大型の建物2棟からなる施設で、直売所、食事処、観光案内所、レンタサイクルなどがあります。その施設は「豊楽館」と名付けられ、周囲が広い駐車場になっています。
身障者用駐車区画は、大型バスの駐車区画がある「豊楽館」北側に用意されています。
豊楽館は、段差がある構造ですがスロープがあり、車椅子で利用出来る施設です。
産直ショップ、食事処とも、店内はフラットでスペースに余裕があり、車椅子で問題なく利用できます。
「たくみの里」は、三国街道須川宿を中心に数多くの体験施設や飲食店が広域に点在する観光エリアです。
「たくみの里」里山エリアは広域で、全域を車椅子で歩いて巡る規模ではありません。各施設の近くや、各通りの途中に駐車場が複数箇所あります。
2000年開業。川沿いの公園エリアと縄文時代の遺跡エリア、そして農産物直売所「月夜野はーべすと」があります。
「月夜野はーべすと」前の駐車場には、屋根無しで2台分の身障者用駐車区画があります。場所は駐車場の奥「月夜野はーべすと」寄りです。
「月夜野はーべすと」はワンフロアのお店です。店内はフラットな床面で、店内通路は広くはありませんが、車椅子で通行可能な幅があります。農産物と物産品が販売されています。
また軽食を提供するコーナーがあり、セルフサービスですが車椅子で利用出来るフラット構造です。
公園の大駐車場は別にあります。この駐車場から道路の下を渡る歩道を進み「矢瀬親水公園」エリアに行くことができます。
公園エリアに隣接して「矢瀬遺跡」があります。復元された建物もある縄文時代の遺跡です。
「矢瀬親水公園」と「矢瀬遺跡」は、舗装された散策路を車椅子で移動することは出来ます。舗装路を外れると、車椅子での移動は困難な未舗装路面です。
1998年開業。草津の玄関口にある観光施設です。ベルツ記念館はオリジナル化粧品やオシャレ小物の「ミュージアムショップ」、ひもかわうどんやソフトクリームをいただく「軽食喫茶コーナー」、草津銘菓などが並ぶ「ロマンチックショップ」、地酒地ビールなどの「特産ショップ」、そして観光案内所があります。
身障者用駐車区画は2台分用意。バリアフリートイレは1つ。周辺は公園として整備されています。
施設をつなぐブリッジは階段構造でエレベーターはありません。
1997年開業。核施設は「望郷の湯」という日帰り温泉施設です。飲泉施設内にお座敷席が中心のレストラン、別棟で直売所とソフトクリーム販売所があります。
約200台を収容する駐車場があります。身障者用駐車区画は2か所あり、駐車場内にある独立トイレ棟の横に1台分。
そして「望郷の湯」のエントランスへのアプローチに近い場所に3台分用意されます。
産直ショップは「座・白沢」。独立棟の大型店舗です。
他には、独立棟でソフトクリームの販売所、オープンな休憩スペースと公園エリアがあります。
直売所とソフトクリーム販売所の間が、屋外の休憩スペースです。テーブルと椅子、ベンチなどが配置され、自由に利用することができます。
開業年次は古い施設ですが、産直ショップや休憩スペースの車椅子利用に大きな問題はありません。日帰り温泉は介助歩行が出来るレベルの人なら利用可能です。
1996年開業。温泉宿、日帰り温泉が併設された施設です。中心施設は「六合観光物産センター」。ショップは車椅子で利用可能です。別棟で食事処と、喫茶があります。バリアフリートイレは1つ用意されています。
施設が古いので、バリアフリーレベルは相応です。温泉は車椅子での利用は困難です。
道の駅としては1996年の開業。2015年度「全国モデル道の駅」指定。5年連続「関東好きな道の駅」第一位。「日経プラス1 家族で1日楽しめる道の駅」東日本第一位。観光庁長官表彰受賞。年間来場者数が120万人を突破。圧倒的な集客力を誇る道の駅で、全国から視察団が訪れます。
広い敷地内に多数の店舗を構えた複合型施設です。物販店は直売所、お土産屋、ソーセージハムのミート工房、お菓子、パンなど。飲食店は、蕎麦屋、ラーメン屋、「おきりこみ」などの郷土料理が美味しいフードコート、地ビールレストラン、バーベキューが楽しめるミート工房、ピザ工房、ミルク工房、ソフトクリームなどがあります。
他に、遊具や芝ソリが楽しめる遊びの広場。ブルーベリーの収穫が楽しめる農園。陶芸体験教室。観光案内所。敷地外へ出て観光橋で薄根川を渡ると、名主の館や水車小屋、その先には乗車体験ができるSLのあるホテルがあります。ホテル内には日帰り温泉施設も。近隣には川場村の歴史民俗資料館や、川沿いで水遊びができる清流公園があります。
身障者用駐車区画は第2駐車場に増設されました。食堂「あかくら」寄りの箇所と、そば処「虚空蔵」の裏の付近にもあり、全部で25台分用意されています。
バリアフリートイレは男女別トイレ内に2カ所、異性介護でも利用できるバリアフリートイレは24時間独立トイレ棟に1つあります。
ほとんどの施設棟は一段高い段差の上にある設計ですが、段差解消箇所は用意されています。
1996年開業。谷川岳の麓にあります。施設としては新しくはありませんが、車椅子で利用できる施設です。施設全般、段差のある構造をスロープで迂回する施設です。
直売所、軽食処に加え、淡水魚の展示がある「水産学習館」があります。「水産学習館」は有料ですが障がい者減免制度があり、障害者手帳等の提示で入館料が無料に減免されます。
身障者用駐車区画は2台分設けられています。バリアフリートイレは、別棟と屋内に計2つ用意されています。
24時間利用できる独立トイレ棟は、駐車場の横にあります。トイレ棟は駐車場と同じ高さにあり、駐車場から段差なく利用できます。
産直ショップは「満点横丁」。円形構造の店舗です。
店内の床面はフラットで、店内の通路は車椅子で移動できる幅が確保されています。ショップへの出入口は2か所ありますが、内1カ所は階段です。
足湯はバリアフリー仕様ではありません。デコボコと段差を乗り越える必要があります。
道の駅の駐車場からスロープを通り、名勝「諏訪峡」に出ることが出来ます。ただしスロープ路は急で、車椅子での通行は楽ではありません。そこまで無理をして車椅子で進まなくても、諏訪峡を眺め、その空気を吸うことが出来ます。
道の駅みなかみ水紀行館は、古い施設ですが段差回避ルートは確保されています。足湯以外は車椅子で利用できます。
群馬県「道の駅」の紹介記事は、別に「群馬県東毛編」「群馬県中毛編」「群馬県西毛編」を掲載しています。クリックすると別稿が開きますので、ぜひご覧下さい。