国立西洋美術館 常設展示室 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

世界遺産「国立西洋美術館」には、常設展示室と企画展示室があります。常設展示室はル・コルビュジエが設計した本館と新館にあり、コレクションはたいへん充実していますが、週末でも極端に混雑することはあまりありません。本稿は常設展示室のバリアフリー状況を中心に紹介します。

なお国立西洋美術館企画展示室の詳しいバリアフリー情報は、別稿「国立西洋美術館 企画展示室 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報」を参照してください。

国立西洋美術館

国立西洋美術館には、身障者用を含めて専用駐車場はありません。上野公園内から徒歩でアクセスします。上野公園内の歩道は、歩道内の一部の路面がフラット加工されています。車椅子で移動しやすい路面です。

国立西洋美術館は常設展、企画展ともに観覧料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。

国立西洋美術館は、3つの構造物からなる美術館です。本館はル・コルビュジエ設計で1959年竣工の世界遺産。新館は1979年の竣工。そして企画展示館が1997年の竣工。常設展は本館と新館を使用しています。

国立西洋美術館

常設展示室の入口は本館中央部にある「19世紀ホール」です。

国立西洋美術館

コルビュジエ設計の見どころとしては、天井部の三角窓「トップライト」、作品を下から照らせる「床照明」、そして建築的なプロムナードとして設計された2Fへ通じる「スロープ」などです。

国立西洋美術館

コルビュジエの設計と現状を紹介するパネルがあります。

国立西洋美術館

本館にはエレベーターはなく、1Fと2Fはこの「スロープ」と階段しかありません。1Fから2Fへのスロープは少し傾斜が急です。美術館の安全基準として、スロープはスタッフが車椅子の支援することになっています。若手の男性スタッフが車椅子を押してくれることが多いようです。

国立西洋美術館

本館2Fは回遊式の展示空間です。コルビュジエ設計の空間美を楽しみながら、コレクションを鑑賞します。

国立西洋美術館

階段で上る中3Fがありますが、現在は展示には使用されていません。本館2Fは全域がバリアフリーで、車椅子で問題なく鑑賞できます。

国立西洋美術館

2Fで本館から新館へフラットに移動します。

国立西洋美術館

新館2Fの鑑賞が終わると、2Fから1Fへはエレベーターで移動します。

国立西洋美術館

新館1Fも展示室です。

国立西洋美術館

常設展示室の会場内にはバリアフリートイレはありません。トイレは展示室の外、新館1Fです。ここに変わった形状のバリアフリートイレがあります。手前が手洗い設備で、奥のドアを開けると便器があるバリアフリートイレです。

国立西洋美術館

一般的なサイズの個室で、ウォシュレット付き便器、オストメイト装置が備えられています。

国立西洋美術館

企画展示室内にもバリアフリートイレがありますが、こちらのトイレはややスペースが狭いトイレです。

常設展の所蔵作品は「松方コレクション」がベースです。明治の元勲、松方正義氏の三男で、現川崎重工業、川崎造船所の初代社長の松方幸次郎氏のコレクションです。

松方コレクション

松方氏は第一次世界大戦時の造船特需で利益を上げ、その後世界恐慌で倒産の危機、と波乱万丈の人生をおくりました。大儲けした時代に、欧州で約1万点の作品を蒐集。倒産の危機に際して手放したコレクションが多数。またロンドンに保管していた膨大なコレクションは火災で焼失。パリに保管されていた400点ほどのコレクションだけが残り、戦後フランスから返還されました。元々は1万点のコレクションが400点になりました。

国立西洋美術館~常設展バリアフリー情報

本館は世界遺産です。エレベーターが後付されることはないので、これから先もプロムナードとして設計された「スロープ」を車椅子で上ります。

国立西洋美術館

国立西洋美術館の常設展示室は、上質なコレクションが鑑賞できるアート空間です。

(本稿は2022年8月に加筆しました)

東京国立博物館 平成館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

トーハクで特別展などが開催されるのが「平成館」。皇太子さまのご成婚を記念して1999年に開館しました。法隆寺宝物館と並び、トーハクでは最も新しい建物です。平成館のバリアフリー状況を紹介します。

東京国立博物館~平成館バリアフリー

2フロア構造で、特別展示室は2Fです。エントランスを入ると、正面が特別展の受付。その左手側は広い休憩スペースです。手前半分が低いソファーが置かれた休憩スペース。奥半分はテーブル式のフリー喫茶スペースで、自販機があり、特別展開催時は飲食系の売店が営業しています。車椅子で軽く飲食したい時は、ここ平成館1Fティールームが便利です。

東京国立博物館~平成館

1Fと2Fにそれぞれバリアフリートイレがあります。

東京国立博物館~平成館

やや狭い個室です。介助者と利用する場合、スペースはギリギリです。

東京国立博物館

もう少し広いスペースが必要な方は、本館B1のトイレへを利用してください。

東京国立博物館

また読者からの情報では、ベッドでの休憩や医療行為等が必要な障がいのある方は、救護室を利用させていただけるようです。トーハクにご相談ください。

平成館2Fの特別展示室で開催されるトーハクの特別展は、障がい者減免制度があり本人と介助者1名が無料に減免されます。特別展1F受付で障害者手帳等を提示してください。車椅子利用者はエレベーターに案内されます。このエレベーターはストッパーが置かれているので無断利用できません。必ずスタッフの誘導にしたがってください。2Fから利用する際も同様です。

東京国立博物館特別展「ポンペイ」

2Fはバリアフリー構造で、車椅子での利用に大きな問題はありません。展示室内はその時の企画展次第ですが、今や車椅子で鑑賞できない特別展はありません。一般的な特別展のルートは「第Ⅰ会場」→「第Ⅱ会場」→「お土産コーナー」の順です。

東京国立博物館~平成館バリアフリー

1Fは広い休憩スペースと展示スペース、そしてエントランス近くに「ガイダンスルーム」があり、通常は特別展の解説ビデオがリピート放映されています。ここは車椅子への特別な配慮はありません。一番前や通路側に車椅子を停めてビデオを鑑賞します。特別展に入る前に、ガイダンスを受けると理解が深まります。

平成館1Fの常設展は「考古展示室」。埴輪や土器などが多数展示されています。

東京国立博物館

本館と違い新しい建物なので、車椅子でより快適に観覧できます。他に「企画展示室」があり、小規模ながらその時々の企画が展示されます。

東京国立博物館

考古展示室の奥に進むと屋内通路があり、本館にそのままつながります。

東京国立博物館~平成館

この通路はフラットで、途中に庭園を臨む飲食禁止の休憩ポイントがあります。屋内からトーハク庭園を眺めるポイントです。

その先の本館へつながる通路の壁面には、各地で開催される美術系企画展のポスターが展示されています。車椅子で見ることができるので、各地の企画展がチェックできます。

東京国立博物館~平成館

コロナ禍以後、特別展の観覧ルールが何度か変更されています。2022年1月に開幕した「ポンペイ」は、原則事前予約制です。ただし障がい者減免制度の対象となる障がい者と介助者は、事前予約不要で観覧できます。今後ルールが変更されるかもしれません。最新情報を確認して観覧してください。

東京国立博物館

平成館で開催される企画展は、近年とてもバリアフリーへの配慮がある展示になっています。平成館は車椅子で観覧できる施設です。

なお東京国立博物館内の各施設の詳しいバリアフリー状況は以下の別稿を参照してください。

〇東京国立博物館 本館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

〇東京国立博物館 東洋館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

〇東京国立博物館 法隆寺宝物館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

〇東京国立博物館 表慶館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

〇東京国立博物館 日本庭園 車椅子散策ガイド バリアフリー情報

〇車椅子で行く東京国立博物館 身障者用駐車場利用ガイド

(本稿は2018年7月に執筆し、2022年8月に加筆しました)

東京国立博物館 本館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

トーハク本館は「日本ギャラリー」です。1Fはテーマ別の展示、2Fは年代順の展示で、日本の美術を紹介します。2代目の建物ですが、それでも開館は昭和13年。基本設計はバリフリーではありません。車椅子利用で気をつけたいポイントを紹介します。

正面からトーハク本館を鑑賞します。洋風建築に瓦屋根を載せた「帝冠様式」で、2001年に重要文化財に指定されました。

東京国立博物館

建物正面は階段ですが通行禁止で、一般ルートは横のスロープからエントランスへ向かいます。エントランスから建物内に入る箇所は階段です。健常者はこの階段ルートを通ります。車椅子はスロープがある左端へ進みます。このスロープはやや傾斜がきついので注意してください。少し力が必要です。

東京国立博物館

館内に入ってからもう一つスロープを通ります。その先の自動ドアを通過すると正面ロビーに出ます。

東京国立博物館

トーハク本館はB1から2Fまでの3フロアありますが、B1には展示室がないので、実質的には2フロア構造です。エントランス正面に立派な階段があります。大理石の手すりに鋳物の装飾物、上を見れば格天井。スロープを上り玄関に入ったら、階段を鑑賞してください。

東京国立博物館~本館

広い本館にエレベーターは1基あります。入口正面からみて階段の左側です。階段嫌いの人が大勢利用するので、運が悪いと混み合うこともあります。かごのサイズは大きいエレベーターで、大型の車椅子でも搭乗できます。

東京国立博物館

1Fと2Fにそれぞれ10の展示室があります。展示室内は、ほとんど段差はありませんが、展示室を繋ぐ箇所に小さな段差があることが多いので注意してください。

東京国立博物館

なかには車椅子が引っかかるレベルのデコボコがあります。ゆっくり慎重に進めば大きな問題はありません。

東京国立博物館

以上のように床面は完全にフラットではありませんが、展示方法はバリアフリーで、車椅子で鑑賞が難しい展示はほぼありません。

東京国立博物館

稀に企画展示コーナーで、書面や巻物などが、上から覗き込むショーケースに、平面に置かれていることがあります。

東京国立博物館

バリアフリートイレは、B1、1F、2Fの3フロアにそれぞれ2戸、合計6か所あります。1Fと2Fのトイレはスペースが少し狭い個室です。車椅子は入りますが、介助者と一緒、あるいは大型車椅子使用だと、やや苦戦します。B1のバリアフリートイレは、一般的なサイズの個室です。

東京国立博物館

また読者からの情報では、ベッドでの休憩や医療行為等が必要な障がいのある方は、救護室を利用させていただけるようです。トーハクにご相談ください。

本館1Fにはミュージアムショップがあります。鳥獣戯画のネクタイなど、ここにしかないグッズが4500点。ショップ内の通路は一般的な幅で、車椅子から見やすいショーケースです。床面はフラットで、中二階書籍コーナーへはスロープで上がることができます。混雑していることが多い、人気のミュージアムショップです。

東京国立博物館

正面玄関の裏側、トーハク庭園を臨む場所にラウンジがあります。特に1Fのラウンジはアールデコ調で、車椅子で室内の装飾と外の庭園の風景を楽しめます。15室と16室の間です。

東京国立博物館

バルコニーに出る箇所には段差があります。

東京国立博物館~本館

本館の展示は、基本的には常設展ですが、その時々の企画展が開催されることもあります。本館の企画展は、一般入館料だけで鑑賞できるものもあります。

東京国立博物館~本館

トーハク本館には計20の展示室があります。展示されているコレクションの数は膨大です。すべてをしっかり鑑賞すると時間がかかります。観覧者の障がいの状況に応じて、体力の範囲内で利用してください。

東京国立博物館~本館

展示室の出入口には小さなデコボコがあるかもしれません。トーハク本館は、この点に注意して車椅子で利用してください。

なお東京国立博物館内の各施設の詳しいバリアフリー状況は以下の別稿を参照してください。

〇東京国立博物館 平成館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

〇東京国立博物館 東洋館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

〇東京国立博物館 法隆寺宝物館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

〇東京国立博物館 表慶館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

〇東京国立博物館 日本庭園 車椅子散策ガイド バリアフリー情報

〇車椅子で行く東京国立博物館 身障者用駐車場利用ガイド

(本稿は2022年8月に加筆しました)