奥日光 イタリア・英国大使館別荘 車椅子見学ガイド バリアフリー情報

奥日光の中禅寺湖畔にある「イタリア大使館別荘記念公園」と「英国大使館別荘記念公園」は、バリアフリー施設ではありませんが、車椅子で一部を見学することができます。車椅子からみた現地の状況を紹介します。

イタリア・英国大使館別荘

両大使館の歴史を紹介します。イタリア大使館別荘と英国大使館別荘は、直線距離では200ⅿ程度離れた場所にあります。中禅寺湖の先には男体山、そして遠景には白根山を眺望する立地の湖岸です。

イタリア大使館別荘は昭和3年に建てられ、平成9年まで歴代大使が使用しました。そして栃木県に寄贈され、復元整備して平成12年から一般公開されています。

英国大使館別荘は明治29年に外交官アーネスト・サトウの個人別荘として建てられ、平成20年まで英国大使館別荘として使用されました。そして栃木県に寄贈され、復元整備して平成28年から一般公開されています。

イタリア・英国大使館別荘

両大使館別荘の内覧は有料で、料金が割引になる共通入館券があります。「イタリア大使館別荘記念公園」と「英国大使館別荘記念公園」の観覧料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。どちらかの受付で障害者手帳等を提示し、両館の見学を希望すると、無料の共通入館券を発行していただけます。

イタリア・英国大使館別荘

交通手段とおもいやり駐車場の状況です。アクセスは船か車。夏季は路線バスも運行されています。渡航する場合は、中禅寺湖遊覧船に乗り「大使館別荘記念公園桟橋」で下船。そこから徒歩5分の案内です。

車の場合、もっとも近い駐車場は「歌ヶ浜おもいやり駐車場」です。ここに駐車できれば、英国大使館別荘まで200ⅿ程度、イタリア大使館別荘まで500ⅿ程度の距離です。

イタリア・英国大使館別荘

「歌ヶ浜おもいやり駐車場」は、障がいなどにより外出に配慮が必要な人のための駐車場とされ、健常者は少し遠い「歌ヶ浜第二駐車場」の利用が求められています。しかしながら監視する人はいませんし、システム的なガードもない利用者の良心に任せた運用です。身障者用駐車スペースとしてはっきり区画されているのは4台分。他のスペースを利用してさらに3台から4台が駐車可能な小さな駐車場です。駐車できるかは運次第です。遠い「歌ヶ浜第二駐車場」からも舗装歩道は整備されています。

イタリア・英国大使館別荘

「歌ヶ浜おもいやり駐車場」を起点にした、両大使館別荘までのアクセスルートの状況です。おもいやり駐車場からスロープで大使館別荘に向かう歩道に下ります。

イタリア・英国大使館別荘

このスロープは傾斜角度が緩いバリアフリースロープです。

イタリア・英国大使館別荘

舗装された歩道は、路面の経年劣化が目立ちます。ところどころにデコボコがあるので、慎重に車椅子を進めてください。そして途中にアップダウンがあります。元気な介助者がいれば何とか通行できる傾斜路です。

イタリア・英国大使館別荘

駐車場から150ⅿほど進むと、イタリア大使館別荘と英国大使館別荘の岐路があります。右に進むとすぐに英国大使館別荘、左に進むと約400ⅿ先がイタリア大使館別荘です。

イタリア・英国大使館別荘

ここから英国大使館別荘までは緩い下り坂。車椅子で問題なく移動できます。

イタリア大使館別荘までは、荒れた路面のアップダウンがある舗装路が続きます。坂道が苦手な車椅子利用者は、英国大使館別荘だけの見学にするのも作戦です。

なお両大使館間を200ⅿで移動できるショートカットコースがありますが、このルートは砂利路面と段差箇所がある未舗装路で、車椅子では通行できません。車椅子ではどちらかの大使館別荘にいってから、もう一度この岐路地点に戻り、もう一つの大使館別荘に移動します。したがって、両大使館別荘を見学する場合、健常者は「歌ヶ浜おもいやり駐車場」から約1㎞の歩行距離ですが、車椅子では約1.5㎞の走行距離になります。

イタリア・英国大使館別荘

イタリア大使館別荘記念公園のバリアフリー状況です。本邸、国際避暑地歴史館の副邸、公衆トイレ棟、広場、湖畔のウッドデッキなどがあります。ウッドデッキは階段構造で、車椅子で湖畔に近づくことはできません。

イタリア・英国大使館別荘

公衆トイレ棟には、バリアフリートイレが1つ用意されています。猿の侵入を防ぐために、重いドアを開閉して利用するトイレです。

国際避暑地歴史館は出入口に段差があります。そこを乗り越えられれば、内部はほぼフラットな構造です。

イタリア・英国大使館別荘

そして問題は本邸です。入口まではやや急な段差回避スロープ路を通行します。

イタリア・英国大使館別荘

そして玄関が下の写真のような段差構造です。迂回スロープはありません。ここで靴を脱いで、スリッパに履き替えて内覧します。

イタリア・英国大使館別荘

この段差を何らかの方法で乗り越えることができれば、イタリア大使館別荘本邸の1Fは車椅子で見学できます。1Fには売店があり、その奥にバリアフリートイレが用意されています。

イタリア・英国大使館別荘

2Fへは階段のみ。車椅子では見学できません。

イタリア・英国大使館別荘

寝室などが再現されています。

イタリア・英国大使館別荘

様々な杉の皮が使用された素敵な内装です。

イタリア・英国大使館別荘

1Fは居間や食堂の様子が再現されています。

イタリア・英国大使館別荘

イタリア・英国大使館別荘

床板、建具、家具などは、ほとんどが復元して再利用されたものです。

イタリア・英国大使館別荘

広縁からは、中禅寺湖を正面からみます。

イタリア・英国大使館別荘

外壁面にある暖炉煙突は迫力があります。

イタリア・英国大使館別荘

次に英国大使館別荘記念公園のバリアフリー状況です。下の写真が英国大使館別荘記念公園入口です。左側の道がエントランスまでのバリアフリールートです。右は砂利道で、テラス前の公園スペースにつながります。

イタリア・英国大使館別荘

下の写真の手前にある平屋内に受付があります。

イタリア・英国大使館別荘

出入口に段差はありません。英国大使館別荘も土足禁止で、靴を脱いでスリッパに履き替えて内覧しますが、段差箇所にスロープがあるので車椅子で問題なく入館できます。車椅子のタイヤを拭いて館内に入ります。

イタリア・英国大使館別荘

1Fに綺麗なバリアフリートイレがあります。

イタリア・英国大使館別荘

スペースは一般的なサイズの個室で、ウォシュレット付き便器、オストメイトが備えられています。

イタリア・英国大使館別荘

1Fの展示テーマは「アーネスト・サトウとサトウが愛した奥日光の紹介」です。

イタリア・英国大使館別荘

二つの展示室で資料が展示されています。

イタリア・英国大使館別荘

広縁から中禅寺湖の眺望を楽しめます。

イタリア・英国大使館別荘

英国大使館別荘も2Fへは階段のみです。車椅子では見学できません。

イタリア・英国大使館別荘

2Fの展示テーマは「サトウが活躍した時代の英国文化の紹介と体験」です。資料の展示と、紅茶やスコーンなどの英国文化が楽しめるティールームが営業しています。

イタリア・英国大使館別荘

2Fの広縁から、中禅寺湖の眺望が楽しめます。

イタリア・英国大使館別荘

車椅子でのアクセスは必ずしもバリアフリーではありません。またすべての内覧は車椅子ではできません。その点を割り引いても「イタリア大使館別荘記念公園」と「英国大使館別荘記念公園」は、訪れる価値のある魅力的な文化遺産です。

バリアフリーな散策コースが整備されている「霧降高原キスゲ平園地」の詳しいバリアフリー情報を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2021年7月に執筆しました)

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖バリアフリー木道 車椅子利用ガイド

奥日光の奥、湯元温泉にある「日光湯元ビジターセンター」は、2019年に改装されて、「くつろぎのスペース」ができました。湯ノ湖畔には車椅子で散策ができるバリアフリー木道があります。車椅子からみた日光湯元ビジターセンターと湯ノ湖バリアフリー木道の状況を紹介します。

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖

湯ノ湖は標高1,478ⅿにある湖で、噴火した三岳の溶岩による堰止湖です。湖の周囲は3㎞。手つかずの自然が残る神秘的な雰囲気の湖です。夏は避暑地で冬季は厳寒の地。冬の湯ノ湖は凍結し、周辺は雪と氷に覆われます。

湯ノ湖

湯元温泉は湯ノ湖北岸にある温泉街で、788年に日光山輪王寺を建立した勝道上人が発見し、以来湯治場として親しまれてきました。現在大小23軒の温泉宿が営業しています。温泉神社や無料の足湯などがある温泉街は、硫黄の匂いが漂います。

湯ノ湖

アクセスと駐車場の状況です。日光駅からの「湯元温泉」行きの路線バスがあります。所要時間は90分と案内されています。

日光湯元ビジターセンターには来館者用駐車場はありませんが、周辺に無料駐車場が5か所あります。ビジターセンター前にある駐車場は広く、身障者用駐車スペースが6台分並んで設置されています。日光湯元ビジターセンターと湯ノ湖バリアフリー木道を利用するなら、ビジターセンター前駐車場の利用が便利です。道路を横断すると、ビジターセンターの入口があります。

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖

日光湯元ビジターセンターのバリアフリー状況です。環境省日光国立公園管理事務所で、ビジターセンター棟、無料休憩所棟、トイレ棟、芝生ひろばで構成されます。バリアフリートイレはトイレ棟内に用意されています。

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖

日光湯元ビジターセンターの入口へは、段差回避スロープを上がります。このスロープは改修されていません。乗り上げる箇所に段差があるので、車椅子は気を付けて走行してください。

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖

出入口は手動ドアが2枚あります。車椅子利用者だけでは開閉しにくいので、介助者がいると助かる構造のドアです。

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖

改装により館内のバリアフリーレベルは向上しました。展示コーナーはスペースに余裕が出来て、車椅子で問題なく観覧できます。

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖

下の写真が改装で生まれた「くつろぎスペース」。屋内がレクチャールームで、内装は日光杉。受付で販売しているコーヒーをいただくことができます。また無料で情報の検索や閲覧ができるタブレットが配備されています。

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖

そして「ひだまりデッキ」。「芝生ひろば」とハルニレの大木を眺めながら、大自然の澄んだ空気を味わえます。

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖

ビジターセンターの「くつろぎスペース」は車椅子で利用できます。

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖

次に湖畔のバリアフリー木道を紹介します。ビジターセンターから湯ノ湖「園地」方面へ舗装歩道を通り移動します。

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖

湯ノ湖は湖畔を一周する「湯ノ湖周回線歩道」が整備されています。

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖

その一部、約200ⅿがバリアフリー木道です。

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖

湖畔の森の中を車椅子で快適に散策できます。

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖

車椅子が動きやすい路面です。

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖

湯ノ湖が観えてきました。

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖

終点は展望デッキ。素晴らしい景観を楽しめます。

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖

バリアフリー木道以外にも、湯ノ湖畔は車椅子への配慮があります。下の写真は凹凸のある舗装面の一部をフラット化している箇所です。

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖

湖畔のお店には段差回避スロープが設置されています。

日光湯元ビジターセンター・湯ノ湖

豊かな自然がそのまま残る奥日光。その中で日光湯元ビジターセンターと湯ノ湖バリアフリー木道は、車椅子で利用できるお薦めのバリアフリー観光スポットです。

奥日光を代表する観光スポット「三本松園地」と「戦場ヶ原展望台」の詳しいバリアフリー情報を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2021年7月に執筆しました)

栃木県 道の駅明治の森・黒磯 車椅子利用ガイド バリアフリー情報

栃木県那須塩原市にある道の駅です。開業は1998年。7.5haの広大な敷地の中に、農産物産直所、レストラン、パン工房、「旧青木家那須別邸」、芝生広場、保存林「明治の森」などがあります。車椅子からみた現地のバリアフリー状況を紹介します。

道の駅 明治の森・黒磯

メイン駐車場は普通車33台を収容。敷地の出入口に近い場所ですが木立があり、森の中に車を停めるイメージです。身障者用駐車スペースは屋根なしで2台分用意されています。

道の駅 明治の森・黒磯

収容台数が少ないので、好天の週末などは駐車場が込み合います。その場合は第二駐車場を利用するのも作戦です。少し離れた場所に、新しく整備されました。ただし第二駐車場には身障者用駐車スペースはなく、施設棟へのアクセス路は未舗装路面です。

道の駅 明治の森・黒磯

駐車場の横に独立棟トイレがあり、バリアフリートイレが1つ用意されています。

道の駅 明治の森・黒磯

もう一つ、パン工房などが入る棟内にバリアフリートイレがあります。インドアトイレですが、写真の通り、やや狭く設備はシンプルなトイレです。

道の駅 明治の森・黒磯

農産物直売所は、仮設店舗のような外観ですが、内部に段差はなく、店内通路はぎりぎりで車椅子が通行できる幅があります。混雑していなければ、車椅子で買い物ができます。採れたて野菜と惣菜、乳製品など那須ブランド品が並ぶお店で、美味しそうな商品が魅力的です。

道の駅 明治の森・黒磯

ファームマーケットの前には、車椅子用の電話ボックスが設置されていました。

道の駅 明治の森・黒磯

パン工房とレストランは同じ建物に入ります。「道の駅明治の森・黒磯」らしい明治の洋館を模した外観デザインです。正面は階段ですが、横から段差回避スロープが用意されています。

道の駅 明治の森・黒磯

パン工房とレストランは、あまりスペースに余裕はありませんが、フラットな構造なので車椅子で利用できます。パン工房の名称は「ブランジュリー・ル・ブルジョン」で一般的なセルフサービスのパン屋さん。レストランは「青木の森カフェ」で、可動式のテーブル席があります。

道の駅 明治の森・黒磯

旧青木家那須別邸の状況です。明治21年に建てられた国指定重要文化財で、内部が有料公開されています。青木邸の観覧料は障がい者減免制度があり、本人が無料、等級によっては介助者1名まで無料に減免されます。入口の受付で障害者手帳等を提示して減免措置を受けます。

メイン駐車場から舗装路を通行して、旧青木家那須別邸の受付前まで、車椅子で問題なく移動できます。

道の駅 明治の森・黒磯

車椅子で段差回避スロープを上がり、1F玄関前まで行きます。別邸内は土足禁止。内部見学する場合は、ここで車椅子のタイヤを拭いて上がります。建物の内部は段差がある構造で、エレベータはありません。車椅子では無理のない範囲に限る内部見学になります。

道の駅 明治の森・黒磯

玄関と同じ高さにある1Fテラスへは、段差なく車椅子で移動できます。

道の駅 明治の森・黒磯

そこから絶景の杉並木、別邸までの長いアプローチを眺望することができます。

道の駅 明治の森・黒磯

旧青木家那須別邸の周りの保存林の中は、散策路が整備されています。しかし未舗装の砂利路面で、無理をすれば車椅子で移動できますが、ゴツゴツと衝撃がくるので、車椅子では快適な散策路ではありません。歩ける人にとっては、素晴らしい森林の散策路です。

道の駅 明治の森・黒磯

開業年次が古いので、施設全般今どきのバリアフリー設計ではありません。旧青木家那須別邸の内部と周囲の見学は、車椅子では限界がありますが、「道の駅明治の森・黒磯」は、広大な「明治の森」の美味しい空気と、地元の美味しい食に出合える道の駅です。

栃木県の道の駅を別稿でまとめて紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2021年6月に執筆しました)