栃木県日光市の霧降高原、ニッコウキスゲが咲く「キスゲ平園地」には、車椅子で散策ができる「バリアフリーコース」があります。現地の状況を紹介します。
霧降高原キスゲ平園地は、標高1345m付近から1600m付近まで広がる無料施設です。毎年草刈りを行う「半自然草原」で、ニッコウキスゲをはじめ約100種類の高原の花々が自生します。
園地全体の中のごく一部ではありますが、車椅子で花々を楽しめるコースが用意されています。
アクセスは車です。駐車場はP1からP3まであります。P3は登山やハイキングで長時間利用する人のための駐車場で24時間利用できます。
身障者用駐車区画はP1に2か所5台分用意されます。
屋根無しでスペースに余裕がある身障者用駐車区画です。
P1の横に2F構造の「霧降高原レストハウス」があります。P1駐車場からレストハウスまでは、横断歩道を通ります。この間、車道と歩道に小さな段差はありますが、一般的な車椅子利用者なら問題なく移動できます。
レストハウスの入口は自動ドアです。1Fは観光情報センターとトイレ。2Fがレストラン「日光霧降珈琲」と休憩コーナーになっています。
1Fにバリアフリートイレが1つあります。
一般的なサイズの個室で暖房設備あり、ウォシュレット付き便器、オストメイト装置が備えられています。
館内にエレベーターが1基あり、車椅子での上下階移動は可能です。
エレベーターのかごは一般的なサイズで、多少大きな車椅子でも利用可能です。
観光情報センター、レストラン、休憩コーナーは、フラットな床面で車椅子が通行できるスペースの余裕があります。
そして2Fの休憩コーナーの先から、屋外の「バリアフリーコース」につながります。
ここに貸し出し用の車椅子がありました。
レストハウスを起点にして、バリアフリーコースの状況を紹介します。逆回りでも利用できます。
レストハウス2Fから屋外に出ると、しばらくは上り坂のつづら折りスロープ路になります。傾斜角度が緩やかな舗装路で、一般的な車椅子利用者なら通行可能です。
このスロープ路をはじめ、バリアフリーコースの周囲は、ニッコウキスゲなど高山植物が群生しています。今回取材時は無数のトンボが舞い飛んでいました。
まもなくバリアフリーコースの最高地点に到達します。ここまでレストハウスから70mほどの距離です。
下りルートになり少し進むと「シカ柵ゲート」があります。動物の侵入を防ぐ柵で、手動で開閉します。この柵は車椅子利用者1人だけでは開閉操作がやり難い構造です。介助者がいれば車椅子での通過は問題なくできます。
「シカ柵ゲート」の先には展望コーナーがあります。1300mの高さからの眺望が車椅子で楽しめます。
路面は整備されています。車椅子で問題なく移動できます。
車椅子から山並みを下に観る眺望を楽しめます。
展望コーナーから先はカーブがある下り坂です。傾斜角度は緩いので車椅子での移動に大きな問題はありません。
下りスロープが終わると、一段低い位置の「展望広場」があります。そこからP1の横へつながり、バリアフリーコースの終点になります。
下りルートの距離が120mほど。全コースで200m弱ほどのバリアフリーコースです。展望広場から上り坂を行く逆走コースも、車椅子で通行可能です。
「キスゲ平園地」の健脚コースは、標高1582mの「小丸山展望台」に行く、1445段の階段ルート「天空回廊」です。標高にすると235mを階段で上ります。階段ルートの周囲には、未舗装で段差があるように整備された散策路が巡っています。
霧降高原キスゲ平園地にはバリアフリーコースがあり、車椅子で雄大な眺望とニッコウキズゲなどの高山植物が鑑賞できます。日光でお薦めできるバリアフリーな観光スポットです。
奥日光の自然と歴史を学ぶ博物館「栃木県立日光自然博物館」の詳しいバリアフリー情報を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2023年8月に加筆しました)