栃木県日光市山内、東照宮の隣に建つ「小杉放菴記念日光美術館」は、車椅子で利用できる施設です。現地のバリアフリー状況を紹介します。
神橋に近く、東照宮に隣接した地に建つ美術館です。環境に配慮した設計で「日光市立美術館」として建設されました。日光駅からは徒歩25分の案内です。車椅子利用者は車の利用が便利です。
身障者用も含めて、来館者専用駐車場はありません。隣接する市営有料駐車場「日光神橋駐車場」の利用が便利です。
「日光神橋駐車場」には、最も美術館入口に近い場所に、身障者用駐車区画が2台分設けられています。
駐車料金の障がい者減免制度はありませんが、美術館の利用による減免サービスがあります。一日料金の前払い式駐車場です。入場時に有人窓口で現金で駐車料金を支払い、領収書を受領します。
美術館の受付で入館手続きとともに駐車料金の領収書を提示します。すると領収書に美術館のスタンプが押印されます。出庫時に押印のある領収書を駐車場の有人窓口に提示すると、駐車料金が現金で還付されます。
美術館の利用で料金減免が認められる駐車時間は、通常期は2時間以内、観光トップシーズンは1時間以内です。その時間を超過すると駐車料金の還付はありません。
美術館エントランス周辺のバリアフリー状況です。高低差のある土地に建つ美術館で、日光神橋駐車場の身障者用駐車区画からは、舗装されたフラットな通路を通り、美術館エントランスに向かいます。
エントランス正面は階段路です。
車椅子では左側にある迂回スロープを利用します。
スロープを上がるとエントランスまではフラットな舗装路面です。
美術館入口はフラットな床面の自動ドアです。館内エントランスホールは、フラットな広々とした空間です。車椅子での利用に大きな問題はありません。エントランスは美術館の2Fになります。
展示室内にトイレはありません。トイレは無料で利用できるパブリックスペースの1Fにあります。2Fエントランスホールにエレベーターが1基あり、1Fへ下りることが出来ます。
バリアフリートイレは一般的な広さの個室で、ウォシュレット付き便器が備えられている綺麗なトイレです。
1Fにはトイレの他に喫茶室があります。フラットな床面に稼働式のテーブルと椅子席なので、喫茶室は車椅子で利用できます。
美術館展示室のバリアフリー状況です。小杉放菴記念日光美術館は観覧料の障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。2F受付で減免措置を受けて下さい。
受付の横から、眺めの良い通路を通り展示室へ向かいます。
見どころがある通路です。
外の眺めを楽しめる窓があります。
アートの展示があります。
展示室は小杉放菴の常設展示室と、企画展示室があります。展示室内はフラットでスペースに余裕はあり、車椅子での移動に問題はありません。
今回取材時は「平木コレクション 木版画で旅するにっぽんの風景」展が開催中でした。すべての展示が問題なく車椅子から鑑賞出来る企画展です。
エントランスホールの状況です。スペースにゆとりのあるエントランスホールでは、日光山内生れの小杉放菴に関わるガイドビデオがリピート放映されています。適当な場所から車椅子で鑑賞することは可能です。受付の周囲はミュージアムショップで、日光ゆかりの商品などが販売されています。
またホールの奥に赤い毛氈が敷かれたステージがあり、音響設備が用意されています。
美術館の屋外通路には、小杉放菴に関わる展示物があります。車椅子で移動できる散策路から鑑賞できる展示物もあります。
車椅子あるいは足の悪い人と健脚な人がグループで日光観光をする場合、日光美術館を上手に利用する方法が考えられます。
東照宮は深い砂利路面と階段が多い宮です。車椅子ごと担ぎ上げるボランティアを利用することも出来ますが、ただ無理はしたくない人も多いはず。
健脚の人は日光三山の観光、足が悪い人はバリアフリーな日光美術館の観光と分かれて行動して、美術館の喫茶室などパブリックスペースを待ち合わせ場所にする。このような日光観光は、無理のない現実的なバリアフリープランの一つです。
小杉放菴記念日光美術館は車椅子で利用できます。日光神橋駐車場の身障者用駐車区画を利用すれば、バリアフリーにアクセスできます。
三代にわたる天皇・皇太子がご利用された「日光田母沢御用邸記念公園」の詳しいバリアフリー情報を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2019年9月の取材に基づいています)