知的な障がいがある車椅子利用者は、食べ過ぎによる肥満になりやすい

障がい者というと、食が細くて体力もない、というイメージがあるかもしれませんが、食事が出来る人は違います。適切な運動ができないという面もありますが、それよりも食欲が押さえられない、という問題が主題です。

特に身体障がいに重複して知的な面での障がいがある人は、知性と理性で食欲を制御して、適切な運動をすることがとても難しい。

下肢に身体障がいがある場合、体重の増加で、介助歩行や、つかまり立ちが出来た人が、立位がとれなくなることがあります。また座位姿勢が乱れ、側彎が進む可能性もあります。

長期的な健康管理だけではなく、短期的な運動機能維持のためにも、車椅子利用者の体重コントロールは重要なテーマです。

知的な障がいがある車椅子利用者は、食べ過ぎによる肥満になりやすい

肥満防止対策の第一歩は、定期的な体重測定です。特別支援学校や障害者施設を利用している人は、車椅子で測定できる体重計で、通常月に一回は体重測定を行います。測定の結果は家族に連絡されるので、現状の問題が定量的に把握できます。

最も重要なのは、家庭での食生活です。障がいのある人も、一般に太るものが大好きです。

学校や施設の食事は、カロリーや栄養バランスが計算されて提供されます。肥満の原因の多くは、家庭での食事や間食です。

身体障がいによって運動量が少ない人は、その分食事の量を減らす必要があります。しかし、食べたがる障がいのある人の食事や間食を家族が制御することは、現実には簡単なことではありません。障がいのある人に肥満が多い理由はここです。

知的な障がいがある車椅子利用者は、食べ過ぎによる肥満になりやすい

各種の機関で肥満に関する調査が行われていますが、概ね知的な障がいのある成人の半数は肥満と診断されています。

肥満予防、肥満解消は、障がいと共に生きる多くの家族にとって、出来そうで出来ない、大きな悩みです。

(本稿は2020年1月に執筆しました)

別稿で「重度身体障がい者 車椅子での体重測定方法 身長の推定方法」を掲載しています。ご参照ください。

脳性麻痺の子に家族が自宅で行うリハビリテーション

一般的にみられる脳性麻痺による運動能力の障がいは、以下のようなものです。

・手足が麻痺している

・体が硬い

・反り返りが強い

・バランスのとれた連動する運動ができない

・不随意に体が動く

脳性麻痺は根治療法がありません。リハビリテーションと、症状によっては薬物療法を併用して運動障がいの改善を図ります。

家庭での家族によるリハビリテーションは、脳性麻痺の子にとって重要な医療行為です。

脳性麻痺の子に家族が自宅で行うリハビリテーション

医師や理学療法士(PT)、作業療法士(OT)などから、家族がリハビリテーションの方法を学び、体操やマッサージ、歩行訓練、手作業訓練などを家庭で行います。

脳性麻痺の人とリハビリをすると、一般的な健常者にはない体の反応があります。

緊張性の高い脳性麻痺の子の場合、足の柔軟体操を行い、それなりに柔らかく動くようになってきても、ふと鼻を手で掻いたその瞬間に、足がぴんと突っ張って動かなくなることなどがあります。

例えば、好きな音楽をかけながら、体操をしています。誰かが間違って突然音楽を止めてしまった。そちらの方向に顔を動かして見た。それだけで動いていた足が固まってしまうことがあります。

体幹の運動で膝を抱えるように体操をしています。その姿勢の状態で足首を動かそうとしても、固まって動きません。楽な姿勢になると足首が動きます。

一般に人間は、深く意識することもなく、とても複雑な体の動かし方をしていることに気が付きます。

健常者は体のあちこちを、バランスと連携を取りながらバラバラに動かしています。多くの脳性麻痺の人は、体のパーツをバラバラに動かすことが苦手です。どこかを動かすと、本人の意思とは別に不随意に別のパーツが反応してしまう、あるいは同時に随意に反応できない。これが脳性麻痺の特徴的な症状です。

脳性麻痺は、出来ていた運動が経年とともに出来なくなる、残酷な病気です。

徐々に背骨が湾曲して、とれていた座位がとれなくなる。動いていた手首が硬くなって、物が持てなくなる。

運動障がいの改善を図るためだけではなく、悪化を防ぐためにも、日々の家庭でのリハビリは重要です。

また言語や表情によるコミュニケーションが難しい重度障がいの子は、毎日のリハビリ行為がコミュニケーションの一つになります。

脳性麻痺の子に家族が自宅で行うリハビリテーション

毎日のようにリハビリを行うことで、脳性麻痺の子の運動障がいの現実が分かります。そしてその障がいが、改善しているのか、維持しているのか、悪化しているのかも、長年リハビリを続けている家族には分かります。

その状況を医師やPT・OTの専門家に相談をして、リハビリテーション方法の指導を受けます。このようにして、脳性麻痺の子と家族の自宅でのリハビリテーションは続きます。

(本稿は2020年1月に執筆しました)

別稿で「脳性麻痺の人は体の連動した動きが必要な動作は不得意」を掲載しています。ご参照ください。

重度障がいがある子供と校外活動先を事前に確認する家族

現場の状況を確認する調査を「実踏(じっとう)」と呼ぶことがあります。一般的にはあまり使われませんが、学校では良く使われる言葉です。

例えば社会科見学に行く工場に、先生が事前に状況を確認しに行くと、「○○先生、今日は社会科見学の実踏です」となります。

重度障がいのあるお子さんがいるご夫婦で、学校行事で行く校外施設をすべて事前に実踏する方がいます。

このお子さんは、日常的に吸引が必要で、ストレッチャータイプの車椅子を利用。会話は聞く理解は出来ますが自分では発声が出来ず、微かに動かせる体の部位は指先くらい、という重度の障がいがあります。

食事は初期食で、一回の食事に一時間はかかります。大きな音は苦手です。音楽も始めて聞く曲は抵抗があるため、何度も少しずつ聞かせて馴染むようにします。場所も人も「初めて」が苦手なお子さんです。

学校は体調が良くても原則週休3日、月火と行ったら水は休み、そして木金は通学します。ちなみに、この週の途中で体調管理のために休むことを、重度障がいの世界では「調整休(ちょうせいきゅう)」と呼んでいます。

このご夫婦は、お出かけの学校行事があるときは、出かける予定の施設にお子さんも連れて、事前に実踏に行きます。

自分の子どもが先生たちと行って過ごせる施設であるかを確認し、先生たちへの現地でのお願い事項をチェックし、子どもにその場を慣れさせておく、という3つの目的です。

ちょっとした近場の校外学習先にも、必ず事前に実踏にいかれます。

修学旅行などの場合は、事前に同じホテルに泊まって実踏します。途中に利用するレストランも実踏します。修学旅行のコースに沿って、すべてを実踏します。

重度障がいがある子供と校外活動先を事前に確認する家族

学校を信用していないということではなく、可能な限り学校行事にお子さんを参加させてあげたい、それも出来る限り順調に参加してもらいたい、という目的の実踏です。

重度障がいのある子と家族の、一つの事例の紹介でした。

(本稿は2019年12月に執筆しました)

別稿で「医療的ケア児と家族の生活 命と人権を守る社会の取り組み」を掲載しています。ご参照ください。