車椅子の人が体重と身長を測定する方法を紹介します。
体重測定の方法からご紹介します。車椅子ごと体重を測ることができる体重計があります。本格的な仕様のもので市販価格は20万円程度。一般的な体重計の上に車椅子が乗るようにアタッチメントを付けている簡易仕様のもので、4~5万円から市販されています。車椅子利用者が多い特別支援学校や病院、福祉施設などに普及しています。
普通の体重計の上に「スノコ」などを乗せて、車椅子ごと乗せる方法もあります。また軽量の人の場合、介助者が抱っこをして体重計に乗ることもできます。このような方法の場合、重心の微妙なずれなどにより、キロ単位で誤差がでる可能があります。
座位が安定して取れる人の場合は、安定した平らな椅子の上に体重計を置き、お尻を乗せて足を離して測定することができます。
身体障がいのある人、車椅子の人は、食べ過ぎ運動不足による肥満、逆に栄養不足による痩せ過ぎが心配されるので、体重測定は重要視されています。学校、施設、病院などでは、正確な体重測定が定期的に行われています。
次に身長測定です。成長期を過ぎると、身長はあまり変化しません。また車椅子など補装具を製作する場合は、身長からサイズを決めるのではなく、それぞれ実測します。
したがって体重測定に比べると、身長測定は重要性が劣ります。そのため簡易的な方法がもちいられます。
障がいのある人に横になってもらい、巻尺などで直線的に計測できる箇所に分解して、頭から踵までを計測する方法があります。この方法では一般的に、膝の伸び方が測定毎に変わったり、ちょっとした体のゆがみが出たりで、あまり有効なデータが取得できません。測るたびに数センチ単位の誤差が出ます。
よく使われるのは「膝下高計測」方式です。膝から下の脚部の長さと身長に、高い関係性があることから開発された手法です。
測定および計算方法です。障がいのある人に横に寝てもらい膝を曲げて片足をあげます。巻尺などで膝の上から踵の下までの長さを測定します。公式があるので、この長さに年齢別男女別の係数を足したり掛けたりして、推定身長値を求めます。膝下高の計測が正確であれば、一般に誤差はミリ単位になります。
重度身体障がいの人は、体重は車椅子で正確に計測を行い、身長は簡易方法で推定しています。
(本稿は2019年11月に執筆しました)