デコボコがない、車椅子にも優しい視覚障がい者用誘導ソフトマット

点字ブロックの上を車椅子で通行すると、小さな衝撃があります。この問題を回避できる、ゴム製の誘導ソフトマットが開発され、複数のメーカーから製品として発売されています。

ソフトマットの多くは、幅が30cm程度、端の厚さは1mm程度、中央部が7mm程度の薄いカマボコ状の構造です。表面に凹凸はありません。

視覚障がい者によると、杖をつくと音の違いで、また足に感じる触感の違いで、マットの存在がわかるそうです。

視覚障がい者用誘導ソフトマット

点字ブロックのデコボコで、高齢者やハイヒールによる転倒事故があるそうです。もちろんデコボコの解消で、ベビーカーにも優しい誘導マットです。

フラットな屋内施設の床であれば、両面テープなどで簡単に設置できます。必要な時だけ設置することも可能です。

またいくつかの製品では、ピクトグラムなどの印刷が可能で、案内板を兼ねる利用ができます。コロナ対策で、ソーシャルディスタンスの位置を示すために利用されるケースもあります。

横断歩道の手前やホームの端など、屋外では危険性を強くアピールするために、デコボコが必要な箇所はあります。また施行方法や耐久性の面からも、現在のソフトマット製品は屋内向けで、屋外での使用は想定されていません。

車椅子利用者にも優しい、視覚障がい者用のデコボコがない誘導ソフトマット。多くの障がい者が利用する屋内施設には、積極的な導入をお薦めします。

(本稿は2020年11月に執筆しました)

経済産業省が「馬乗り型電動車椅子」のJIS規格を制定

経済産業省は2020年9月23日付で、「馬乗り形電動車椅子」を日本産業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)の安全要求事項(T9210)として制定し、同日公示しました。(※写真は経済産業省のHPから転載しています)

「馬乗り形電動車椅子」について経済産業省は、「介護の担い手不足が高齢化社会の課題となっており、ベッドから車椅子に移乗する際、介護者に過度な負担となっていることから、移乗・移動が容易となる馬乗り形電動車椅子の開発が進められて」いるとし、JIS規格の制定により「安全性に十分配慮した製品開発が可能となります。あわせて、新たな市場の創造とともに、医療・介護の現場においては、被介護者の自立支援と介護者の負担軽減が大いに期待されます。」としています。

「馬乗り形電動車椅子」は、体の向きを変えることなく移乗することができるのが特徴です。

現在では製品数は多くはありませんが、JIS規格の制定を契機に「馬乗り形電動車椅子」の普及が進むかもしれません。

(生きるちから舎ニュース 2020年9月25日付)

介護ロボットの開発・実証・普及を目指すプラットフォーム構築事業

介護ロボットの開発・普及が国策として取り組まれています。2020年8月3日から「令和2年度介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム構築事業」が始まりました。事業の概要と重点分野をやさしく解説します。

 

○利用者と開発者をつなぐPDCAサイクル事業

介護事業者など介護ロボットの利用者側と、開発企業からの相談窓口を、全国11カ所に開設します。あらゆる相談に対応し、総合的な活用支援を行う、ワンストップ相談窓口を目指しています。

相談窓口とは別に、介護の現場で利用された介護ロボットの実証支援、評価・効果検証を行う「リビングラボ」を全国6カ所に開設します。「リビングラボ」は、十分な活動実績がある研究所など既存の専門機関が参加します。

相談窓口と「リビングラボ」、そして介護現場がつながり、製品の企画開発、効果的な運用、導入効果の検証、製品の改良と新製品の開発を進める事業です。

なお相談窓口と「リビングラボ」の設置数は事業開始時点のもので、今後増設される可能性があります。

 

○相談窓口の機能

利用者側に対して以下の支援を行います。

・介護ロボットの製品情報の提供と体験展示

・介護ロボットの試用貸し出し

・介護ロボットの活用方法や導入事例の紹介

・利用できる補助金や基金の紹介

・各種研修会の実施

開発企業へは以下の支援を行います。

・開発に関する補助金の紹介

・出展可能なイベントの紹介などPRに関する相談への対応

・製品評価や効果検証に関する要望があった場合は「リビングラボ」への取り次ぎ

そして利用者と開発者をつなぐ事業として、協議会を運営して介護現場のニーズを反映した介護ロボット開発の提案内容を取りまとめます。

・ニーズ・シーズ連携協調協議会の設置・運営

 

○介護ロボットの重点分野

厚生労働省は2017年に、6分野13項目の介護ロボットを重点にすることを定めています。

・移乗支援

ベッドから車椅子、車椅子から食卓などへ移乗する際の介護者の負担を軽減。

・移動支援

外出や屋内移動、立ち座りを支援。

・排せつ支援

排泄を予測してトイレ誘導、下着の着脱などトイレ内の動作支援、ロボット技術を用いた排泄物の処理。

・見守りコミュニケーション

徘徊や転倒を感知する、センサーや通信機能による見守りロボットと、AIスピーカーなどによる生活支援ロボット。

・入浴支援

入浴行動の動作一連を支援するロボット。

・介護業務支援

排せつ時間、バイタルチェック、支援活動記録など、介護にかかわる情報を収集蓄積し、それを分析提案して介護に活用するシステム。

 

○介護ロボットの現状

介護施設および障害者施設、そして家庭での介護ロボットの普及状況は、正確なデータはありません。

2019年にある民間事業者がおこなったアンケート調査によると、介護施設の約3割が何らかの介護ロボットを導入しているという回答であったそうです。

現在販売されている製品で、介護施設である程度利用されていると思われるものは、

・見守りセンサー

・介護ベッド

などではないでしょうか。装着型の移乗支援パワーアシスト器具などを利用している施設は、少数だと思われます。

同アンケートで、介護ロボットを導入していない約7割の介護施設にその理由を尋ねたとろ

・価格が高い

・実用的ではない、役に立たない

・安全性に不安

以上の3点が未導入の上位理由だったそうです。

「令和2年度介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム構築事業」では、介護の現場で安全に役立つ、効果と価格が釣り合う介護ロボットの開発・普及への取り組みが行われます。

(本稿は2020年8月に執筆しました)