国交省のバリアフリートイレ調査研究結果をやさしく解説

バリアフリートイレ調査研究結果

2021年3月「共生社会におけるトイレの環境整備に関する調査研究検討会」の報告書が取りまとめられました。事務局は国土交通省総合政策局安心生活政策課で、2020年からアンケート、インタビュー、ヒアリングなどを行なった、トイレに関わる現状が報告され、今後の方向性が提言されています。その中から、注目すべき3つの調査結果を抜粋して紹介します。

 

〇バリアフリートイレの使用理由

障がいの有無に関わらずにモニター908人を対象にした調査です。バリアフリートイレを使用した人が約40%。その使用理由の第一位は「一般のトイレが空いていなかったから」で58.2%。第二位が「一般のトイレが近くになかったから」で20.5%でした。

別の集団を対象にした調査でも、ほぼ同様の回答が得られています。

障がいなどの理由でバリアフリートイレを使用したい人だけを対象にした調査では、70%強の人が「多機能トイレが使用中のために待たされた経験」があるとしています。

一般のトイレが近くにあり、かつ空いていれば、バリアフリートイレの混雑が緩和されることが証明されました。

この結果、今後の提言には「一般トイレの混雑解消のため、適正な一般便房数の確保が望ましい」とされました。

 

〇駅のバリアフリートイレの利用者

乗降者数が違う5駅で、バリアフリートイレの利用者を目視チェックした結果です。

12時間調査の結果、利用者数は少ない駅で17人(組)、多い駅で105人(組)でした。その中で「肢体不自由者、視覚障害者、子ども連れ等の視覚的に属性がわかる者は各駅とも数名程度の利用」しかなく、「キャリーケースを持った者や高校生と思われる2名程度での着替え利用が見られた」と報告されています。

見た目ではわからない障がい者もいるので、断定はできませんが、駅のバリアフリートイレは、多目的に利用されています。

提言では「一般トイレの利用で支障ない人も含めて誰でも使用できるような「多機能トイレ」「多目的トイレ」等の名称ではなく、設置された設備や機能が必要な人が対象であることが伝わる情報提供、表記等とすることが必要」とし、「車椅子対応トイレ」「オストメイト対応トイレ」などの名称が例示されています。

 

〇ユニバーサルベッドの認知度

障がいの有無に関わらずにモニター936人を対象にした調査です。

「トイレに設置されている障害者等用設備の認知状況」では、「大人が利用できる大型ベッド」の認知度は 16.2%でした。オストメイトなど他の設備の認知度は、50%以上なので、ユニバーサルベッドの認知度が突出して低い現状が明らかになりました。現状の設置数が少ないこと、重度障がい児者などユニバーサルベッドを必要とする当事者の絶対数が少ないことなどが、認知度が極端に低い要因かもしれません。認知度が低いことが、事業者などバリアフリートイレの設置者側に、ユニバーサルベッドの重要性が認識されない原因となり、設置が進まない現状があると推定されます。

提言では「様々な利用者のニーズに配慮したトイレ整備」の中で「おむつ等の利用である場合には大型ベッドの設置が必要」としています。

 

検討会によるトイレの今後の在り方は、以下の4つの方向性でまとめられています。

・車椅子使用者用便房等の機能分散の推進

・多様な利用者特性への対応

・多様な利用者が必要とする設備・機能の有無・位置に関する情報提供の推進

・適正利用の推進に向けた広報啓発・教育等の充実

障がいのある人にとって、より安心して外出ができる社会に進むことが期待されます。

(本稿は2021年3月に執筆しました)