靴・中敷・杖 身体障がいをサポートするオーダーメイド装具

靴・中敷・杖 身体障がいをサポートするオーダーメイド装具

「装具」。一般には馴染みの無い用語ですが、身体障がいの世界ではよく使われる用語です。

身体障がいを補完する、あるいは医療的に矯正する、もしくは障がいの進行を防止するための道具、というような意味です。義足や義手、車椅子なども装具です。

一般にはあまり知られていない、オーダーメイド装具について、以下3種類を例にしてその実際を紹介します。

・靴と靴の中敷き

装具としては別々の存在ですが、一緒に製作します。下肢障がいがある人の場合、足首から足の裏にかけて変形があることや、そもそも動きが悪いことなどがあり、市販の靴が履けません。しかし、全く自立で立つことが出来ない人でも、靴は必要です。

オーダーメイドの靴と中敷は、医療的に必要が認められる場合は、公的助成の対象になります。

石膏で足型をとることから始まります。使用者の足の裏の形にぴったり合った中敷きが、ハンドメイドでつくられます。

靴はイージーオーダーになることが多く、基本の形をベースに、使用者の足の形に手作業で修正が加えられます。足の変形が大きく修正では対応できない場合は、フルオーダーメイドになります。

大変高価な靴と中敷きになります。その製品次第ではありますが、おおよその目安として、最低で10万円からとご紹介しておきます。

・下肢補装具

一般的に解り易い固有名詞がない装具です。靴に下肢の動きを支える「支柱」がついている装具で、膝までの短い支柱のタイプ、大腿部までのタイプ、腰まで伸びているタイプがあります。

すべて使用者のサイズに合わせたセミオーダーになります。デザイン性に富んだものは少なく、武骨なデザインの靴部から、金属剝き出しの支柱が伸びている形状が主流です。

下肢に障がいのある脳性まひの幼児に処方されることも多く、しっかり歩けない幼児がこれをつけていると、見た目に痛々しい印象を受けます。

実際問題、使用すると器具のあたり方や、そもそも無理に歩く練習をするので痛いことがあるようで、使用を嫌がっている幼児を見たことがあります。オーダーメイドの装具ですが、使用上の快適さには限界があります。

・クラッチとヘッドギア

杖と保護帽の組み合わせです。歩行の補助具のクラッチ(杖)は、握りの部分に工夫があり、上肢にも障がいがあっても、使いやすく、且つ事故が起こり難いようになっています。杖の長さや握りの形状は、使用者に合せてセミオーダーされます。

また杖の下部、つまり地面との接地部分には、すべり止めのラバーが付きます。使用して歩いていると、数か月ですべり止めのラバーが摩耗するので、多頻度のメンテナスが必要な装具です。

ヘッドギアは、クラッチ歩行で転倒した場合の衝撃を軽減するために使用されます。デザインされたものは少なく、武骨なものが主流です。

身体障がいのある人は、オーダーメイドの装具を利用してリハビリに励んでいます。

(本稿は2019年11月に執筆しました)

別稿で「高額な補装具をつくる障がいのある人への公的助成金制度」を掲載しています。ご参照ください。