脳性麻痺は運動障がいの病気です。ある程度は体を動かすことが出来る比較的軽度な脳性麻痺の人でも、体の複数の箇所を連動させる動作は苦手です。
何が出来て何が出来ないかは各人次第ですが、出来る人からすると、少し意外に思える、多くの脳性麻痺の人が不得意な動作を3つ紹介します。
○鼻をかむ
上手にティッシュをたたんで鼻にあて、呼吸を意識して、口を閉じて鼻から勢いよく息を吹き出し、ティッシュで受け止める。両手の動き、呼吸、口の動き、そして息の吐き出しが連動して初めて成立します。
鼻がかめないと、ちょっと鼻かぜをひいたくらいで、とても苦しい思いをします。
最悪の場合、鼻水が気管で詰まると窒息する可能性があります。また嚥下障害のある人の場合は、鼻水が肺にいき、肺炎を発症するリスクもあります。
鼻水がひどい場合の本格的な介助方法は吸引です。
○うがいをする
水やお湯を口に入れ、その状態をキープしながら上を向き、ちょうどよい力で息を吹き出す。うがいは難しい動作です。
口をゆすぐ「グチュグチュペ」が不得意な人もいます。その場合は、歯磨き粉を付けた口腔ケアが困難になります。
○ナイフとフォークを使う
上肢がある程度動かせる人でも、右手と左手が同時に別の動きをする動作は不得意です。
片手でフォークを使える人でも、ナイフとフォークを同時に上手に使うことは大変です。似た動作では、左手をお茶碗に添えて、右手でエジソン箸を使うことなども、簡単ではありません。
パズル遊びをする場合、右手でピースを掴んで右手で置くことはできます。左手でも出来ます。しかし左手でパズルのピースを掴んで、右手に渡してピースを置く。こういう運動は難しくなります。
脳性麻痺の人は、連動した動きに苦労しています。
(本稿は2020年1月に執筆しました)