重層的支援体制整備事業 概算予算116億円で令和3年度から開始

2020年に改正された社会福祉法が2021年4月1日に施行されます。それによって創設された「重層的支援体制整備事業」が、令和3年度予算で概算116億円が計上されました。

重層的支援体制整備事業とは、「市町村において、地域住民の複合・複雑化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を整備する」取り組みです。

その背景や政策主旨については、別稿2020年代の福祉政策「地域共生社会」と「新事業」をやさしく解説を参照してください。

令和3年度の国の事業は、大きく2つに区分されます。一つは令和3年度に市町村が実施する重層的支援体制整備事業への支援で、概算予算は76億円です。この「重層的⽀援体制整備事業交付⾦」は「⾼齢、障害、⼦育て、⽣活困窮分野の相談⽀援や地域づくりにかかる既存事業の補助⾦等を⼀体化するとともに、多機関協働、アウトリーチ等を通じた継続的支援、参加支援といった新たな機能を追加して一括して交付する。」としています。

もう一つは、令和4年度以降に新事業の実施を希望する市町村への準備のための補助です。これには都道府県による後方支援事業への補助、人材育成に関する経費も含まれ、概算予算は40億円です。

厚生労働省は「本事業は、実施を希望する市町村の手あげに基づく任意事業であるが、地域共生社会の実践に向けた効果的な取組と考えており、多くの市町村に取り組んでいただきたい」としています。

また厚生労働省によると「モデル事業は平成 28 年度から実施しており、令和2年度では 279 自治体が事業」に取り組んでいるとしています。

改正社会福祉法の施行により、多くの地域で、「属性・世代を問わない相談・地域づくりの実施体制」の構築に取り組まれることが期待されます。

《生きるちから舎ニュース 2021年3月16日付》

令和3年度障がい福祉報酬改定 重度障がい者へのサービスを重視

2021年2月4日付で、厚生労働省より「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」が発出されました。重度障がい者へのサービスが重視されています。医療的ケア、強度行動障がいなどに関わる、主な改定事項をまとめます。

○重度障がい者全般

・人員配置体制加算と常勤看護職員等配置加算、両加算の要件を超える人員配置をしている場合に重度障害者支援加算を算定可能とする

・医療型短期入所事業所の基本報酬の引き上げ

・放課後等デイサービスにおいて、著しく重度および行動上の課題のある児童への支援を評価する個別サポート加算を創設

・児童発達支援センターにおいて、著しく重度および行動上の課題のある児童への支援を評価する個別サポート加算を創設

○医療的ケアが必要な人

・看護職員を配置するグループホームに対する加算を創設

・放課後等デイサービス、生活介護他、多くのサービスを対象に看護職員配置による加算を創設または引き上げ

・医療型短期入所で「動ける医ケア児」に対する支援を実施した場合にも特別重度支援加算を算定可能とする

・共同生活援助に、医療的ケアが必要な者に対する支援を評価する加算を創設

・障害児通所サービス(児童発達支援・放課後等デイサービス)で医療的ケア児の基本報酬を創設

・放課後等デイサービス、生活介護他、多くのサービスを対象に、医療的ケアの単価を充実させる

・通常は看護師配置がない福祉型短期入所について、高度な医療的ケアを必要とする者の受入れが可能となるよう新単価を創設

○強度行動障がいがある人

・グループホームの算定対象に追加(障害支援区分4以上)

・強度行動障害支援者養成研修又は行動援護従業者養成研修の修了者を配置するグループホームに対する加算を創設

・生活介護を通所で利用している場合、一定の要件を満たせば重度障害者支援加算の算定を可能とする

・身体拘束の減算要件を追加し、身体拘束廃止未実施減算を創設する

《生きるちから舎ニュース 2021年2月5日付》

別稿で「令和3年障がい分野福祉・介護職員平均給与は31万円」を掲載しています。ご参照ください。

令和3年度報酬改定案 医ケアなど重度障がい児者向けサービスを重視

2020年12月11日に開催された「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」のオンライン会議で、厚生労働省の「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について(案)」が公表されました。その中で、重度障がい児者向けサービスへの報酬を増やす方向性が示されています。その対象となる重度障がい者向けの主なサービスを紹介します。

○重度障がい者の地域移行、地域生活支援

・強度行動障害や医療的ケアなど、重度障害者支援加算の対象者を拡充する。

・日中サービス支援型の基本報酬を、現行報酬より重度者と中軽度者の報酬の差を拡大させ、重度者重視にする。

・強度行動障害支援者養成研修・行動援護従業者養成研修の修了者を配置しているグループホームについては報酬上の評価を行う。

・事業所単位で夜勤又は宿直の職員を配置し、複数の住居を巡回して入居者を支援する場合には、更なる評価を行う。

・重度障害者支援加算における強度行動障害を有する者に対する利用開始時の支援の評価を見直し算定要件を拡充する。

・生活介護における重度障害者支援加算に「重症心身障害者を支援している場合」に算定可能となる区分を創設し、人員配置体制加算と常勤看護職員等配置加算に上乗せする形で評価する。

・生活介護における常勤看護職員等配置加算に「常勤看護職員を3人以上配置」し、医療的ケアを必要とする障害者を一定数以上受け入れている場合に算定可能となる区分を創設する。

○重度障がい者のニーズを踏まえたきめ細やかな対応

・医療型短期入所の対象者について、福祉型(強化)短期入所事業所では対応が困難な高度な医療的ケアが必要で強度行動障害により常時介護を必要な障害児者等を加える。

・医療型短期入所の整備促進を図る観点から、特別重度支援加算の算定要件や単価の見直しを行うとともに、経営状況等を踏まえ、基本報酬についても見直しを検討する。

・医療型短期入所で準用している療養介護においては、医療的ケアが必要で強度行動障害を有する者など障害者支援施設での受け入れが困難な者についても、利用対象者となる旨を明文化する。

・経口移行加算及び経口維持加算について、咀嚼能力等の口腔機能及び栄養状態を適切に把握しつつ、介護保険における対応状況を参考に、口から食べる楽しみを支援するための多職種による取組プロセスを評価する。

・重度訪問介護における自動車によって障害者を移送するとき、駐停車時の緊急的な支援を行った場合、その緊急性や安全管理等について報酬上の評価を行う。

・重度障害者等包括支援の対象者の要件について、調査研究等において把握された利用実態を踏まえ、対象者要件の見直しを行う。

○医療的ケア児への支援の推進

・医療的ケア児に係る判定基準を導入する。

・障害児通所支援において、判定基準のスコアの点数に応じて段階的な評価を行う「医療的ケア児」の基本報酬区分を創設する。

・看護職員加配加算、障害児入所施設の看護職員配置加算の算定要件について、医療的ケア児に関する判定基準を導入し、見直しを行う。

・放課後等デイサービスの報酬において、著しく重度および行動上の課題のあるケアニーズの高い児童への支援について評価する(仮称:要支援児加算)。

・児童発達支援センターとその他の児童発達支援事業所の基本報酬について、ケアニーズの高い障害児への支援及び専門職による支援を評価する。

・医療型障害児入所施設における加算要件において、重度重複障害児加算の要件を見直し、強度行動障害児特別支援加算について、医療型障害児入所施設においても算定可能とする。

・医療型障害児入所施設における小規模グループケアの促進を図る観点から加算要件を見直す(台所・便所の設置を不要とする)。

○重度障がい者への適切なサービス提供を行うための報酬等の見直し

・医療・看護について、医療的ケアを要するなどの看護職員の手間の違いに応じて評価を行う。

・福祉型短期入所について、特に高度な医療的ケアを長時間必要とする場合の評価を設ける。

なお具体的な改定内容は「今後の予算編成過程を経て決定」されます。

《生きるちから舎ニュース 2020年12月16日付》

別稿で「障がい福祉分野の令和3年度国家予算の概要」を掲載しています。ご参照ください。