令和3年度報酬改定案 医ケアなど重度障がい児者向けサービスを重視

令和3年度報酬改定案

2020年12月11日に開催された「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」のオンライン会議で、厚生労働省の「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について(案)」が公表されました。その中で、重度障がい児者向けサービスへの報酬を増やす方向性が示されています。その対象となる重度障がい者向けの主なサービスを紹介します。

○重度障がい者の地域移行、地域生活支援

・強度行動障害や医療的ケアなど、重度障害者支援加算の対象者を拡充する。

・日中サービス支援型の基本報酬を、現行報酬より重度者と中軽度者の報酬の差を拡大させ、重度者重視にする。

・強度行動障害支援者養成研修・行動援護従業者養成研修の修了者を配置しているグループホームについては報酬上の評価を行う。

・事業所単位で夜勤又は宿直の職員を配置し、複数の住居を巡回して入居者を支援する場合には、更なる評価を行う。

・重度障害者支援加算における強度行動障害を有する者に対する利用開始時の支援の評価を見直し算定要件を拡充する。

・生活介護における重度障害者支援加算に「重症心身障害者を支援している場合」に算定可能となる区分を創設し、人員配置体制加算と常勤看護職員等配置加算に上乗せする形で評価する。

・生活介護における常勤看護職員等配置加算に「常勤看護職員を3人以上配置」し、医療的ケアを必要とする障害者を一定数以上受け入れている場合に算定可能となる区分を創設する。

○重度障がい者のニーズを踏まえたきめ細やかな対応

・医療型短期入所の対象者について、福祉型(強化)短期入所事業所では対応が困難な高度な医療的ケアが必要で強度行動障害により常時介護を必要な障害児者等を加える。

・医療型短期入所の整備促進を図る観点から、特別重度支援加算の算定要件や単価の見直しを行うとともに、経営状況等を踏まえ、基本報酬についても見直しを検討する。

・医療型短期入所で準用している療養介護においては、医療的ケアが必要で強度行動障害を有する者など障害者支援施設での受け入れが困難な者についても、利用対象者となる旨を明文化する。

・経口移行加算及び経口維持加算について、咀嚼能力等の口腔機能及び栄養状態を適切に把握しつつ、介護保険における対応状況を参考に、口から食べる楽しみを支援するための多職種による取組プロセスを評価する。

・重度訪問介護における自動車によって障害者を移送するとき、駐停車時の緊急的な支援を行った場合、その緊急性や安全管理等について報酬上の評価を行う。

・重度障害者等包括支援の対象者の要件について、調査研究等において把握された利用実態を踏まえ、対象者要件の見直しを行う。

○医療的ケア児への支援の推進

・医療的ケア児に係る判定基準を導入する。

・障害児通所支援において、判定基準のスコアの点数に応じて段階的な評価を行う「医療的ケア児」の基本報酬区分を創設する。

・看護職員加配加算、障害児入所施設の看護職員配置加算の算定要件について、医療的ケア児に関する判定基準を導入し、見直しを行う。

・放課後等デイサービスの報酬において、著しく重度および行動上の課題のあるケアニーズの高い児童への支援について評価する(仮称:要支援児加算)。

・児童発達支援センターとその他の児童発達支援事業所の基本報酬について、ケアニーズの高い障害児への支援及び専門職による支援を評価する。

・医療型障害児入所施設における加算要件において、重度重複障害児加算の要件を見直し、強度行動障害児特別支援加算について、医療型障害児入所施設においても算定可能とする。

・医療型障害児入所施設における小規模グループケアの促進を図る観点から加算要件を見直す(台所・便所の設置を不要とする)。

○重度障がい者への適切なサービス提供を行うための報酬等の見直し

・医療・看護について、医療的ケアを要するなどの看護職員の手間の違いに応じて評価を行う。

・福祉型短期入所について、特に高度な医療的ケアを長時間必要とする場合の評価を設ける。

なお具体的な改定内容は「今後の予算編成過程を経て決定」されます。

《生きるちから舎ニュース 2020年12月16日付》

別稿で「障がい福祉分野の令和3年度国家予算の概要」を掲載しています。ご参照ください。