NPO法人も改組可能 非営利法人 労働者協同組合法が成立

労働者協同組合法が成立

2020年12月4日、参議院本会議で労働者協同組合法が成立しました。これにより、福祉活動などを行う新しい形態の非営利法人が設立できるようになります。

労働者協同組合法は全137条あります。それを意訳して「労働者協同組合」の特徴に絞って紹介します。

○働く人が法人の出資者

働く人が、自ら出資して、経営を行う組織です。自分がやりたいことに、お金を出して、口を出して、手を動かします。

したがって法律では、組合員の議決権及び選挙権は、出資口数にかかわらず平等と定められています。資本の論理がない組織です。

「組合員が出資すること」が前提で、「その事業を行うに当たり組合員の意見が適切に反映されること」が必要で、「組合員が組合の行う事業に従事すること」が労働者協同組合の基本原理です。

○認可不要の届け出制

実際に行動したい人にとって、NPO法人や社会福祉法人との実務的な違いはこの点です。3人以上の発起人がいれば届け出で設立できます。

○労働者として法に保護される

資本家であり労働者でもある出資者は、労働基準法などにより労働者として法律に護られます。そのため「組合とその行う事業に従事する組合員との間で労働契約を締結すること」と定められます。

○剰余金は出資配当ではなく従事分量

事業が順調で利益がでた場合は、その利益は組合員の労働者としての働きに応じて分けられます。法的には「剰余金の配当は、組合員が組合の事業に従事した程度に応じて行うこと」とあります。つまり性格的には配当ではなく、給与としての利益の分配になります。

○NPO法人などは改組可能

「企業組合又はNPO法人は、施行後3年以内に、総会の議決により、その組織を変更し、組合になることができる」としています。ただし、詳述は避けますが組織変更した組合は、NPO法人時代の財産(組織変更時財産)の扱いについて、幾つかの義務や特別な規制があります。

○福祉分野、農林水産分野などで活用

労働者協同組合による「地域における多様な需要に応じた事業の実施」が期待されます。法的に事業分野の制約はありませんが、訪問介護、学童保育、自立支援、農産物直売所、ビルの管理や清掃など、福祉分野や農林水産分野での組合設立が期待されています。

そのことによって「持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的とする」としています。

労働者協同組合法は、公布後2年以内の「政令で定める日」から施行されます。

(生きるちから舎ニュース 2020年12月17日付)