益子町と真岡市を車椅子で巡る 栃木県のバリアフリーなドライブコース

陶芸の里「益子」、SLの街「真岡」には、車椅子で利用できるバリアフリーな観光スポットがあります。障がいのある家族と一緒にドライブを楽しめる、北関東自動車道の真岡ICを起点にしたバリアフリーなドライブコースを紹介します。

真岡鉄道SLキューロク館

真岡ICから約5km、真岡鉄道の真岡駅に隣接する無料施設です。無料駐車場があり、バリアフリートイレがあります。

蒸気機関車と客車や貨車などが展示されています。車椅子での見学は可能です。車両に乗り込むのは階段なので車椅子では出来ません。

真岡駅舎の4FにはSLギャラリーがあり、真岡鉄道の歴史などが紹介されています。子供向きの展示が充実しています。

真岡鉄道SLキューロク館

久保記念観光文化交流館

SLキューロク館から約1km移動します。2014年に開業した施設で、記念館、美術館、物産館、イベントホール、レストランがあります。

明治大正昭和の真岡の繁栄を伝える観光施設です。この内「久保記念館」は、1Fと2Fとも、段差構造で車椅子では利用できません。

久保記念観光文化交流館

益子焼窯元共販センター

久保記念観光文化交流館から東へ約10km移動します。大きな狸がシンボルの陶芸の町益子の中心施設です。共販センターがある通りは「城内坂」で、益子焼のお店が多数並ぶメインストリートです。傾斜はなだらかな坂で、歩道が整備され車椅子で散策できます。

益子焼窯元共販センター

益子陶芸美術館

共販センター第三駐車場から急坂を上がります。距離は1kmほどですが、傾斜が強いので車で移動してください。途中に4か所ほど一般駐車場があります。美術館の正面入口前に、縦列駐車で2台分の身障者専用駐車スペースがあります。

美術館はバリアフリー仕様で、車椅子で観覧できます。観覧料は障がい者減免制度があります。

益子陶芸美術館

道の駅ましこ

陶芸美術館から約7km、益子の郊外に移動します。2016年に誕生した道の駅で、段差のない構造です。

新鮮な農産物、美味しい加工品、地産地消レストラン、陶器をはじめ各種の工芸品などが豊富にあるバリアフリー施設です。

道の駅から北関東自動車道の真岡ICまでは、約10kmの距離です。

道の駅ましこ

車椅子で楽しい休日をお過ごしください。

(本稿は2020年3月に執筆しました)

伊豆半島 車椅子で訪ねるバリアフリー観光スポット ドライブ情報

海と山、温泉に恵まれた伊豆半島には、景勝地や観光施設が多々あります。しかしながら、車椅子では利用が制限される観光名所も少なくありません。障がいのある家族と一緒に安心してお出かけが出来る、バリアフリーな観光スポットと、車椅子で立ち寄れる休憩施設がある、お薦めのドライブコースを紹介します。

「東伊豆のバリアフリードライブコース」

MOA美術館

東海岸を南下するルートです。伊豆半島の出発地点は熱海。熱海はアップダウンが激しい街で車椅子での散策は快適ではありません。

熱海の山の上に建つ美術館です。身障者用駐車区画があり、観覧料の障がい者減免制度があります。

館内は概ね車椅子で利用できますが、斜面に建つ構造のため、低地部にある一部の施設は階段でしか利用できません。

MOA美術館

熱海城

MOA美術館から海岸沿いに約6km移動します。

施設内容には好き嫌いがあると思いますが、熱海では希少な車椅子で利用できる観光施設です。トリックアート館も含めて利用料の障がい者減免制度があります。6F天守閣展望台には、バリアフリートイレが設置されました。

ただし熱海城施設内には、車椅子向きではない企画もあります。

熱海城

道の駅伊東マリンタウン

熱海城から海岸沿いに約18km南下します。

海に面する大型観光施設です。2フロア構造ですがエレベーターがあり、物販店、飲食店は車椅子で利用できます。短距離の歩行が可能で、多少の段差はクリアできる方なら、海を眺める足湯も楽しめます。

道の駅伊東マリンタウン

城ケ崎海岸門脇吊橋

伊豆高原一帯は趣味性が高い小さなミュージアムがいくつかありますが、幅広い層の車椅子利用者にお薦めできる観光地は「門脇吊橋」です。

伊東マリンタウンから海外沿いに約17km南下します。

車椅子で荒波が打ち寄せる海岸の上空散歩が出来ます。最寄りの駐車場から車椅子でアクセスできます。ただし周囲を巡るルートは途中に段差があるので、車椅子では来た道を引き返すルートになります。

高所恐怖症の方は、吊橋の上は少し怖いかもしれません。

城ケ崎海岸門脇吊橋

伊豆アニマルキングダム

熱川、稲取には魚料理自慢のグルメ店がありますが、エリア全般あまりバリアフリーではありません。

このエリアで、車椅子で立ち寄れる観光施設は「伊豆アニマルキングダム」です。城ケ崎海岸から約20km。海岸沿いを進み、少し内陸に入ります。

施設内容は好き嫌いがあると思いますが、伊豆アニマルキングダムのアニマルゾーンは、車椅子で動物を見ることができます。プレイゾーン、スポーツゾーンは、基本的に車椅子向きの施設ではありません。利用料金は障がい者減免制度があります。

河津峰温泉大噴湯公園

伊豆アニマルキングダムからは約14km。

河津から内陸に向かった先にある大噴湯公園は、車椅子で温泉の大噴湯を楽しめる無料施設です。見る場所によっては、ずぶ濡れになります。

駐車場には身障者用駐車区画があるフラットな公園で、園内にバリアフリートイレがあります。

大噴湯は1時間に一度発生します。時間を計算して利用して下さい。

河津峰温泉大噴湯公園

「中伊豆のバリアフリードライブコース」

道の駅伊豆ゲートウェイ函南

伊豆半島の中央部を南下するコースです。

伊豆ゲートウェイ函南は、伊豆の入口にある道の駅です。新しい施設なので基本的なバリアフリー要件は十分に満たしています。車椅子で気持ちよく利用できます。

道の駅伊豆ゲートウェイ函南

めんたいパーク伊豆

伊豆ゲートウェイ函南の隣接地にある明太子工場に併設された施設です。この施設も新しいので、バリアフリーレベルが高く、車椅子で問題なく利用できます。工場見学コース、工場の直売所、フードコート、2Fには子供の遊び場があり、富士山を臨むテラスがあります。

めんたいパーク伊豆

韮山反射炉

伊豆ゲートウェイ函南、めんたいパーク伊豆から約7kmの距離です。

世界遺産登録を機に、バリアフリーな観光施設になりました。観覧料の障がい者減免制度があります。屋内のガイダンスルーム、反射炉の見学コースとも、車椅子で利用できます。

韮山反射炉

道の駅伊豆のへそ

韮山反射炉から約5km南下します。

伊豆半島のほぼ中心地にある道の駅です。一般的な道の駅とは少しイメージが違いますが、車椅子で利用できます。イチゴをテーマにしたお土産棟は新しい施設です。それ以外は、やや年季の入った設備です。

道の駅伊豆のへそ

道の駅天城越え

道の駅伊豆のへそから約20km南下します。

施設としては新しくはありませんが、車椅子で休憩ができます。ショップの名称は「わさびの里」です。

河津七滝

道の駅天城越えから約12km、山中の道を南下し、河津ループ橋を下ります。

七滝のすべてを車椅子ではまわれませんが、無料駐車場から初景滝までは車椅子で遊歩道を散策できます。少し無理をすれば、初景滝の滝壺に車椅子で近づくことが出来ます。

河津七滝

「南伊豆のバリアフリードライブコース」

道の駅開国下田みなと

下田を起点に南伊豆を東から西へ向かうコースです。

下田の道の駅です。歴史ある商業施設で、店舗内通路幅は広くはなく、出入口は手動ドアが多く、近年のバリアフリー設計ではありませんが、車椅子で利用できます。

身障者用駐車区画が集中して用意されているのは、1Fの中央部です。

道の駅開国下田みなと

弓ヶ浜

下田中心部から約10km。

砂浜そのものは車椅子では散策できませんが、隣接する休暇村を休憩施設として利用しながら、美しいカーブの海岸線を車椅子で眺めることができます。見るだけになりますが、立ち寄る価値があります。

弓ヶ浜

石廊崎オーシャンパーク

弓ヶ浜から約10km、伊豆半島の南端を走ります。

断崖絶壁の石廊崎に車椅子で近づけるバリアフリー観光施設です。駐車場は有料です。

石廊崎灯台までのルートは、アップダウンが激しく車椅子ではかなりハードですが、オーシャンパークのデッキからでも、伊豆半島最南端の景観を楽しむことができます。

この施設が誕生したことで、車椅子で石廊崎エリアに入ることが出来ようになりました。

この先、西伊豆方面へ海沿いの道を走ると、空と海と岩礁を眺望する絶景パーキングが複数個所あります。

石廊崎オーシャンパーク

「西伊豆のバリアフリードライブコース」

道の駅花の三聖苑伊豆松崎

松崎を起点に西伊豆を北上するルートです。

西伊豆エリアは道路整備が不十分で、渋滞していなくても移動時間が想像以上にかかることがあります。そして車椅子で休憩ができる施設の数は限られます。施設はあまり新しくはありませんが、道の駅伊豆松崎は貴重な存在です。

道の駅花の三聖苑伊豆松崎

黄金崎クリスタルパーク

松崎の道の駅から約17km。夕日が美しい伊豆西海岸です。

有料のミュージアムと無料で利用できるショップ、レストランがあります。このエリアでは、車椅子で立ち寄ることができる希少な施設です。

土肥金山

黄金崎から海岸沿いに約12km北上します。ルートの途中に「恋人岬」のパーキングエリアがあります。

金山を再現した観光坑道と資料館がある観光施設です。企画の内容は好き嫌いがあると思いますが、車椅子で観光ができる構造です。入場料の障がい者減免制度があります。

道の駅くるら戸田

土肥から約18km北上します。この間の道は一部幅が狭く、カーブやアップダウンが激しくあります。

戸田の港から、少し内陸に入った場所にある道の駅です。このエリアでは希少な平坦な敷地にあります。戸田の深海魚をテーマにした、ミニ展示コーナーもあります。

道の駅くるら戸田

三津シーパラダイス

戸田から最短ルートで約20km、海沿い大瀬崎方面に迂回すると約25km走ります。

車椅子で利用できる水族館です。入館料の障がい者減免制度があります。ただし施設全体、新しくはありません。バリアフリーレベルもそれなりです。

企画内容は一般的なもので、幅広い層が楽しめます。

沼津港

三津シーパラダイスから海沿いのルートで約13km北上します。

近年誕生した「港八十三番地」や「深海水族館」は、基本的にはバリアフリー仕様です。食事処のバリアフリー状況は店によりますが、可動式のテーブル席があるお店が複数あります。

展望水門「びゅうお」は、エレベーターで展望回廊に上がります。車椅子で利用できるバリアフリーな観光施設です。利用料は障がい者減免制度があります。

沼津港

伊豆半島は一部を除き高速道路が整備されていません。また観光シーズンは、各所で渋滞が発生します。時間に余裕を持ったドライブコースの企画をお薦めします。

(本稿は2020年3月に執筆しました)

栃木足利 車椅子観光 足利学校周辺のバリアフリー情報

栃木県足利市は、足利学校や鑁阿寺、織姫公園などの観光スポットがあります。現地のバリアフリー状況と、車椅子での観光をお薦めできるコースを紹介します。

足利を車椅子で観光する 

足利学校へのアクセスです。足利駅から徒歩10分の案内です。

車利用の場合は、足利学校の正面にある「太平記記念館」観光駐車場の利用が便利です。無料駐車場ですが入場時に「観光駐車場整理券」が渡されます。「駐車時間は2時間程度とさせていただきます」という案内があり、整理券のナンバーが見えるようにダッシュボードに券をおいて駐車します。正しく駐車場を利用した場合は、出庫時にチェックを受けることはありません。

足利を車椅子で観光する 

駐車場には1台分、思いやり駐車区画があります。駐車場の誘導スタッフに車椅子利用を申告してください。

足利を車椅子で観光する 

太平記記念館のバリアフリー状況です。観光駐車場にある「太平記記念館」は、観光案内所兼お土産屋で、ワンフロア構造の車椅子で利用できるバリアフリー施設です。

足利を車椅子で観光する 

綺麗なバリアフリートイレが1つ用意されています。

太平記記念館

スペースは一般的なサイズの個室で、ウォシュレット付き便器、オストメイト装置が備えられています。

太平記記念館

足利学校のバリアフリー状況です。観光駐車場から横断歩道を渡り足利学校へ向かいます。途中のルートの路面は、小さなデコボコがある石畳風で、一部の区間は車椅子用にフラットな路面が設置されています。車椅子にゴツゴツを感じながら「入徳門」に向かいます。

足利学校のバリアフリー状況

足利学校は有料の施設ですが、障がい者減免制度があり、障害者手帳等の提示で本人と介助者1名の「入学料」が無料に減免されます。「入徳門」の先にある「受付」で手帳を提示して「入学許可書」を無料で交付していただきます。

足利学校のバリアフリー状況

受付の並びにある事務所棟内で、足利学校のガイダンスビデオがリピート放映されています。車椅子で鑑賞できます。

足利学校のバリアフリー状況

この事務所棟内にバリアフリートイレがあります。横幅が狭いトイレで、車椅子1台入るのがギリギリです。介助者が必要な人は、利用が困難なトイレです。

足利学校

足利学校内の散策路の難所は「学校門」です。かなりのデコボコ路を通過します。

足利学校

他の箇所は、マットを敷くなど最低限のバリアフリー対策があり、車椅子での通行はなんとか可能です。

足利学校

「庫裏」「書院」「方丈」そして「遺蹟図書館」は内部見学が出来ますが、段差構造で靴を脱いで上がるので、車椅子での見学はできません。

足利学校

足利学校見学の魅力

車椅子では見学に制約がありますが、それでも足利学校の見学は魅力があります。

足利学校見学の魅力

足利学校見学の魅力

「孔子像」や「稲荷社」の見学から始まり、復元された茅葺の学校舎は江戸中期の姿です。

足利学校見学の魅力

足利学校見学の魅力

足利学校

周囲にはお堀があり、そこから見る足利学校の姿は趣があります。

足利学校

足利観光の第二スポットは「鑁阿寺(ばんなじ)」です。鎌倉時代に足利氏によって建立された古寺で、本堂は国宝、鐘楼や経堂は国の重要文化財。他に県指定、市指定の文化財が多々あります。

足利学校から「鑁阿寺」へ

通常の観光コースは「足利学校」から、鑁阿寺の正門である「南門」に向かいます。この間のルートは、路面に多少のデコボコはありますが、車椅子で通行可能です。

足利学校から「鑁阿寺」へ

南門にある山門「桜門」は、見事な門ですが車椅子での通行は困難です。太鼓橋を越えて、かなりの段差を通り、その先は深い砂利道につながります。

鑁阿寺

鑁阿寺は東西南北に門があります。「東門」と「西門」も段差、デコボコ、砂利道があり、車椅子で境内へ進むのはかなり困難です。

足利学校から「鑁阿寺」へ

北門から入ると、参拝者用の駐車場があります。車を利用しているなら、足利学校からいったん駐車場に戻り、車で鑁阿寺の駐車場に移動することをお薦めします。

足利学校から「鑁阿寺」へ

鑁阿寺境内の状況です。国宝、重文、天然記念物の大銀杏などが立ち並ぶ境内は、足利氏の歴史を今に伝える空間です。

足利学校から「鑁阿寺」へ

足利学校から「鑁阿寺」へ

鑁阿寺境内の状況

境内はあまりバリアフリーではありません。未舗装路面、砂利路面を通り、本堂は段差の上です。車椅子では無理のない範囲での参拝になります。それでも参拝に訪れる価値はあります。

鑁阿寺境内の状況

鑁阿寺境内の状況

足利学校や鑁阿寺から近い、小高い山の頂上付近が「織姫公園」です。車でアクセスできます。

織姫公園から足利を眺望する

山頂にある「織姫公園レストラン棟」を車で目指します。山頂付近に「織姫公園駐車場」がありますが、その先の狭い道を通り山頂まで車で上ることができます。

織姫公園レストラン棟

織姫公園レストラン棟

レストラン棟の前には、パイロンが置かれた1台分の身障者用駐車スペースが確保されています。レストラン棟へは、段差回避スロープで上ることができます。出入口のドアは手動ドアです。

織姫公園レストラン棟

レストラン棟の1Fには、広くて設備更新されたバリアフリートイレが1つあります。ユニバーサルベッドはありません。3Fが展望室ですが、エレベーターはなく階段のみです。

 

織姫公園レストラン棟

1Fに蕎麦屋があります。出入口のドアは手動ですが、店内はフラットで、可動式のテーブル席なので、車椅子で利用できます。

織姫公園レストラン棟

車椅子で眺望を楽しむのは、この蕎麦屋の窓からか、レストラン棟前の駐車場スペースからです。眼下に足利の街並みが広がります。

織姫公園レストラン棟

レストラン棟の横、山頂にあるのは「機神山(はたがみやま)山頂古墳」です。

織姫公園レストラン棟足利市の足利学校、鑁阿寺、織姫公園は、バリアフリー施設ではありませんが、上手に利用すると車椅子で観光が楽しめます。

足利市の観光名所「あしかがフラワーパーク」の詳しいバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2020年1月の取材に基づいています)