ネモフィラやコキアなどが人気の「ひたち海浜公園」は、茨城県ひたちなか市にある太平洋に面した大規模な公園です。園内の主なエリアは舗装路が整備され、段差回避スロープがあり、車椅子の無料貸出サービスがあります。また公園内のほぼすべてのトイレ棟に、バリアフリートイレが用意されています。
基本的にバリアフリーな公園ですが、車椅子で「ひたち海浜公園」をより快適に楽しむために、知っていると役立つ情報をご紹介します。
駐車場の状況です。公園には駐車場が、「西」「南」「海浜口」と3か所用意されています。いずれの駐車場にも、一般的な身障者用駐車スペースが設定されています。
この中で西駐車場には、一般駐車場とは別の場所に、身障者用駐車場が設けられています。西駐車場の中でもっとも公園の西口入口に近い地点に進み、坂道を上がります。この坂を上がることで「西口・翼のゲート」とほぼ同じ高さになり、そこに身障者用駐車場があります。
身障者用駐車場は、計16台を収容。内2台分は屋根付きの駐車スペースです。
西駐車場内にある身障者用駐車スペースから「西口・翼のゲート」へは、坂道を通行します。身障者用駐車場を利用すると、公園入口までの距離が近く、坂の移動を避けることが出来ます。
ただし「西口・翼のゲート」は一段高い場所にあるので、そこから園内へは階段で下りる構造です。車椅子では段差回避する迂回スロープを通行して園内に進みます。
「南駐車場」と「海浜口駐車場」のゲートと園内は高低差がないので、ゲートからフラットに園内に進めます。したがってどの駐車場の身障者用駐車スペースの利用が便利かは、一概には言えません。
園内のバリアフリー状況です。「みはらしの丘」は、人工的に造られた小山で山頂部まで散策路が続きます。標高は58ⅿ。頂上はひたちなか市の最高地点です。ネモフィラやコキアの季節は、多くの来園者が丘に上がりその風景を楽しみます。
「みはらしの丘」の散策路は、車椅子には辛い傾斜路です。遠目で見るよりも実際には角度があります。元気な介助者、または2名の介助者で、なんとかクリアできる路です。下りは車椅子を後ろ向きにしたほうが安全です。体力に自信のない人は、無理をしないことをお薦めします。
車椅子で無理な散策路は、公園西側の「樹林エリア」です。路面が悪い箇所や、急坂の箇所があり、「沢田遊水地」方面には車椅子で通行できない一本橋があります。
「記念の森散策路」は、木製の通路で、舗装路から段差なく散策路に入れる箇所がありますが、途中に段差があります。
チューリップが植栽される「たまごの森フラワーガーデン」内は土の広場ですが、路面は固いので、デコボコ箇所を避けて移動すれば、車椅子でチューリップ鑑賞ができます。
「みはらしの里」の古民家が並ぶエリアも未舗装ですが、固くてフラットな箇所が多い路面なので、車椅子で古民家の外観は見学できます。
「ひたち海浜公園」はお花畑のイメージですが、車椅子での利用をお薦めできる屋内型施設が3か所あります。
「砂丘エリア」にある「グラスハウス」はカフェがある休憩施設。太平洋を一望するガラス張りのお洒落な建物です。

同じく「砂丘エリア」にある「グリーン工房」は、ワークショップやイベントが開催される施設。海浜公園の生き物の写真や標本の展示もあります。

「記念の森レストハウス」は森の中のカフェテラス。そして「歴史ギャラリー」があります。
「記念の森レストハウス」への正面入口は、数メートル未舗装路を通過します。
そこを通過すればフラットなウッドデッキになります。
正面から数メートル横にある入口は、未舗装路を通らずに裏側のテラスに通じます。
「歴史ギャラリー」とは、「ひたち海浜公園」の歴史を紹介する施設です。戦前、この地は旧日本軍の飛行場でした。そして敗戦でGHQに接収され、米空軍の爆撃訓練場になり、返還されたのは昭和47年。その間、民間人の死傷者を出す誤爆事故などが複数回発生。しかし日米地位協定により米軍の加害責任は追及できません。沖縄と同様の問題がこの地にありました。このような歴史を知るギャラリーです。公園で回収された不発弾の展示があります。
「歴史ギャラリー」展示室の横にロビーがあります。
そのロビーにバリアフリートイレがあります。
スペースに余裕がある個室で、ウォシュレット付き便器とオストメイトが備えられています。
公園内で大きなお土産コーナーがあるのは、「西池」にあるテラスハウス周辺です。賑やかなエリアです。
お土産コーナーの入口は手動式の横開きドアで、ドアの下は段差解消されています。
2021年10月現在、その横に「常陸野みやげ市場」が営業しています。
仮設店舗のような構造で、このお店の出入口は段差解消されていません。
「ひたち海浜公園」は広い公園です。無理せずに車椅子で散策してください。
ひたちなか市の古社「酒列磯前神社」を別稿で紹介しています。ご参照ください。
(本稿は2021年10月に書き直しました)