300年の歴史を誇る金沢の台所「近江町市場」と「ひがし茶屋街」のバリアフリー状況を紹介します。

近江町市場が人で溢れるほどの混雑になるのは年末です。このような時期の車椅子での買い物は苦労しますが、通常期であれば商店街の歩道は、車椅子での通行に困るような混雑ではありません。
物販店はほとんどが路面店です。店内通路が狭いお店はありますが、決定的なバリアがあるお店はほとんど見かけません。店前からそのまま買い物が出来るお店が多々あります。
特別なバリアフリー上の配慮があるわけではありませんが、近江町市場は車椅子でのお買い物は十分に可能な商店街です。

一方飲食店は、狭い、段差あり、二階ありなど、車椅子での利用に苦戦するお店が多い状況です。グルメ情報をみて利用したい飲食店がある場合は、車椅子利用の可否を事前に確認することをお薦めします。
予約ができない人気店の場合は、予測される混雑状況を確認することをお薦めします。ランチタイムの人気寿司屋は、大行列が出来る事があります。
近江町市場で、バリアフリートイレの用意がある飲食店は、今回取材時は確認できていません。

近江町市場はアーケードがあります。傘がさせない車椅子利用者は、行動拠点を選べば、雨天でも安心して利用できる商店街です。

では行動拠点の候補、バリアフリートイレがある、近江町市場に隣接する3つの商業施設を紹介します。
アーケードに直結するのは「近江町いちば館」です。上層階が駐車場で下層階が飲食店、小売店の構成。古い施設で老朽化が目立ち、駐車場には身障者用駐車区画の設定がありません。それでもエレベーターがあり、バリアフリートイレはあります。雨天にはお薦めの行動拠点です。

「めいてつエムザ」は近江町市場に隣接するデパートです。施設そのものはやや古いデパートですが、それなりに改装されています。立体駐車場の3Fに身障者用駐車区画があり、バリアフリートイレは館内に3か所あります。

最新の隣接施設は「かなざわはこまち」です。グルメとお土産が中心の商業施設で、新しいだけにバリアフリーレベルは一番です。駐車場とトイレは、ここがもっとも綺麗です。ただし地下駐車場の収容台数は23台、身障者用区画は1台分と狭い駐車場です。近江町市場とは道一本隔てた向かいの立地です。

近江町市場はフラットなアーケード商店街なので、車椅子での通行は可能です。ただし飲食店は、店によっては車椅子での利用は不可。隣接する商業施設を併用しての、車椅子での観光をお薦めします。
次に「ひがし茶屋街」のバリアフリー状況を紹介します。金沢を代表する人気スポット「ひがし茶屋街」は古い建物の街で、車椅子への配慮はありません。
内部を公開しているお茶屋さんがありますが、バリア構造で車椅子での見学は無理です。ほとんどのお店は、出入口に段差、狭隘な入口、狭い店内と、車椅子で入店可能なお店は多くはありません。
茶屋街の路地の車椅子散策は問題ありません。雰囲気のある茶屋街の風情を、車椅子で観るだけの観光はできます。ただし車でアクセスした場合、ひがし茶屋街周辺には収容台数が10台前後の狭い一般駐車場しかなく、混雑時は車椅子での駐車場確保に苦戦します。

トイレも苦労します。今回の取材で確認できた、バリアフリートイレがある近隣の物販店は、159号線沿い、東茶屋街前交差点の近く、東山観光バス駐車場の隣にある「昆布・海産物 しら井 金沢店」です。
金沢ひがし茶屋街は、車椅子で路地の散策を楽しむ観光をお薦めします。
「金沢兼六園と伝統産業工芸館」の情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2017年5月の取材に基づいています)








