能登半島 輪島朝市と周辺施設の車椅子観光ガイド バリアフリー情報

※能登半島大地震で亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げるとともに、負傷されたり避難されている方々、被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。以下は2024年の能登半島地震以前の状況です。

千年の歴史がある輪島の朝市。朝市会場の周辺は再開発が進んでいます。車椅子からみた、現地のバリアフリー状況を紹介します。

駐車場のバリアフリー状況です。港沿いのエリアが整備されて、以前からある朝市駐車場の東側にマリンタウン朝市駐車場が完成しました。朝市会場により近いのは以前からある駐車場で、車椅子ではスロープ利用で駐車場から外部に出ます。マリンタウン朝市駐車場からなら、朝市会場まで少し距離はありますが、ほぼフラットルートです。どちらも身障者用駐車区画が用意されています。

駐車料金はどちらも後払いの1回300円で、障がい者減免制度はありません。ただし、出庫が正午を過ぎると料金徴収員がいなくなり、結果的に無料になります。

輪島朝市バリアフリー

トイレのバリアフリー状況です。両駐車場の公衆トイレのバリアフリートイレは綺麗で実用に耐えるトイレです。朝市会場周辺の最新トイレと思われるのが、朝市通りの西側「朝市さかば」などが入店する施設のトイレで、バリアフリートイレがあります。この他にも、周辺の新しい施設のトイレには、バリアフリートイレが用意されています。

輪島朝市バリアフリー

朝市での買い物の状況です。朝市通りはフラットで、出店の高さは車椅子向きです。車椅子で散策しながら、朝市での買い物を楽しめます。

朝市での買い物

アーケードなどはないので、自然の気象条件の影響をうけます。車椅子では好天の日に出かけたい、輪島の朝市です。

朝市での買い物

朝市出店登録者は現在260名ほど。30年前がピークで300人を超えていたそうです。扱い商品は、生鮮、漬物などの加工品、名物のいしる、工芸品ではお箸の販売店が多い状況です。

輪島朝市バリアフリー

次に周辺施設の状況を紹介します。

○重蔵神社の産屋(うぶや)

輪島朝市通りの西側端に2015年に新築された、白木がまぶしい施設です。霊験あらたかな御柱参りができる社で、車椅子で御柱参りが出来ます。

段差のない出入口から、車椅子で産屋内へ入ります。中心に立派な御柱が建っています。その下には円が描かれ、干支が書かれています。自分の干支の位置がスタート地点で、そこから右手で御柱を触りながら、右回りで一周します。その間に祈願をすると神様の力が宿り、願い事がかないます。

参拝時間は朝市と連動します。通常は正午までで、朝市がお休みの日は、産屋もお休みです。

輪島朝市バリアフリー

○輪島ドラマ記念館

2015年上半期のNHK朝の連ドラ「まれ」の舞台は輪島。これを記念して2016年に誕生した「輪島ドラマ記念館」です。

輪島朝市

場所は輪島朝市通りの西側、ドラマのロケでよく使われた「いろは橋」の近くで、朝市通りを抜けた先すぐの場所です。

輪島朝市バリアフリー車椅子での入館見学は可能です。入館は無料で、展示内容は「朝市食堂まいもん」「美容室はる」のセットの再現、自転車や制服、免状などの小道具系展示、そして巨大なケーキオブジェなどです。各種お土産品、ソフトクリームなどが販売されています。

輪島朝市バリアフリー

○朝市マリンタウン・海の駅六銘館

2015年に全面開業したマリンタウンエリアには、広々した駐車場と「マリンタウン観光交流施設」、「海の駅六銘館」があります。住所はマリンタウン1-1。輪島の新しい1丁目1番地です。

「マリンタウン観光交流案内所」には常駐スタッフがいて、観光案内の他、車椅子の貸し出し、レンタサイクルの貸し出しも行います。案内所には公衆トイレがあり、綺麗なバリアフリートイレがあります。

観光案内所の並びに「海の駅六銘館」があります。飲食、物販、釣具屋など6店舗が入る小さな物産館です。小さくて狭いので、車椅子で快適に利用できるお店ではありませんが、いずれの店舗も車椅子で何とか利用できます。

輪島朝市バリアフリー

○輪島工房長屋

「輪島工房長屋」は、2003年に誕生した施設で、伝統工芸、輪島塗を紹介する施設です。施設構成は多彩で、職人さんが作業をしている工房、工芸品の修理を受け付ける店、販売店、観光情報館、グルメ店まであります。

輪島朝市バリアフリー

基本設計はバリアフリーで、バリアフリートイレがあり、ほとんどの箇所には段差回避のスロープがあります。ただし長屋内のスペースは狭く、いずれの施設内も、車椅子で快適に利用できるほどのスペース的な余裕はありません。

輪島朝市バリアフリー

製作体験は要予約。座敷での作業になりますが、足の悪い人向けにテーブル席を準備することは出来るそうです。本物の輪島塗の工芸品を製作するには、塗る、乾燥、磨く、塗る・・・という作業の繰り返しで、最低でも200日かかるということです。

「輪島工房長屋」には専用の駐車場はありません。マリンタウン朝市駐車場が近くて便利です。

輪島朝市バリアフリー

創建は紀元前一世紀頃と伝承される「重蔵神社本殿」は、バリア構造で車椅子での参拝は苦戦します。それ以外の輪島朝市会場及び周辺施設の多くは、車椅子で利用可能です。

能登半島の代表的な観光スポット、輪島市の棚田「白米千枚田」を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2017年5月の取材に基づいています)

能登 七尾花嫁のれん館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報

能登半島の観光スポット、七尾市の「花嫁のれん館」は車椅子での利用をお薦めできるバリアフリー施設です。現地の状況を紹介します。

花嫁が嫁ぎ先に美しい「のれん」を実家から持参する。幕末から明治にかけて、能登、加賀、越中地方で始まった婚礼風習があります。「花嫁のれん」とは、花嫁の実家が、嫁ぐ娘のために心を込めて用意する「のれん」です。

新婦が嫁ぎ先に着くと、持参した花嫁のれんを仏間の入口かける。のれんをくぐることで、他家の人になる。詳述は避けますが、そういう婚礼習慣です。

婚礼に使われてからは、箪笥の肥やしになっていた花嫁のれん。七尾のメインストリート「一本杉商店街」の女将たちが、町興しを企画。2004年からゴールデンウィーク期間、商店街の各店で花嫁のれんを展示するイベントが始まりました。

それが話題になり、2016年に「花嫁のれん館」が誕生。地元の女将さんがスタッフとして常駐して、フルアテンドで解説をしていただけます。

展示されている花嫁のれんは、明治から昭和のものが中心で、平成の最新作もあります。布地の素材、大きさ、デザイン、カラーは、それぞれの時代を映します。花嫁のれんは時代を映すアートです。

能登~七尾花嫁のれん館

「花嫁のれん館」のバリアフリー概況です。「花嫁のれん館」は、平屋構造でバリアフリートイレがあります。有料施設ですが入館料の障がい者減免制度があり、障害者手帳等の提示で本人と介助者1名が無料に減免されます。

無料駐車場があり、身障者用駐車区画があります。駐車場から花嫁のれん館までは約50mあり、館の入口に車寄せはないので、雨の日、雪の日は、この50mは濡れます。この点以外は新しい施設なので、バリアフリー面での大きな問題はありません。

館内には着付け室があり、仏壇のある和室が用意されています。「花嫁のれんくぐり体験」は要予約で、有料3千円、所要時間30分です。花嫁衣装は白無垢か打掛、お好きなほうを選べます。花嫁衣装で土間から畳にあがり、花嫁のれんをくぐり、立派な七尾仏壇がある仏間に入る体験です。したがって車椅子では無理な体験企画です。他の人が体験している様子は、車椅子から見学できます。

能登~七尾花嫁のれん館

金沢市内方面から車で七尾の「花嫁のれん館」に行く場合、「千里浜なぎさドライブウェイ」を通るルートが選択できます。日本で唯一の車で走れる砂浜。日本海を臨む能登半島の海岸に伸びる全長8kmの砂浜の道路で、ドライブ好き憧れのシーサイドロードです。高波などの恐れがある日は通行止めになるのでご注意ください。

千里浜なぎさドライブウェイ

七尾の「花嫁のれん館」は、バリアフリーレベルが高い、車椅子で利用しやすい観光施設です。

千年の歴史がある輪島の朝市と朝市会場周辺のバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2017年5月の取材に基づいています)