能登半島の観光スポット、七尾市の「花嫁のれん館」は車椅子での利用をお薦めできるバリアフリー施設です。現地の状況を紹介します。
花嫁が嫁ぎ先に美しい「のれん」を実家から持参する。幕末から明治にかけて、能登、加賀、越中地方で始まった婚礼風習があります。「花嫁のれん」とは、花嫁の実家が、嫁ぐ娘のために心を込めて用意する「のれん」です。
新婦が嫁ぎ先に着くと、持参した花嫁のれんを仏間の入口かける。のれんをくぐることで、他家の人になる。詳述は避けますが、そういう婚礼習慣です。
婚礼に使われてからは、箪笥の肥やしになっていた花嫁のれん。七尾のメインストリート「一本杉商店街」の女将たちが、町興しを企画。2004年からゴールデンウィーク期間、商店街の各店で花嫁のれんを展示するイベントが始まりました。
それが話題になり、2016年に「花嫁のれん館」が誕生。地元の女将さんがスタッフとして常駐して、フルアテンドで解説をしていただけます。
展示されている花嫁のれんは、明治から昭和のものが中心で、平成の最新作もあります。布地の素材、大きさ、デザイン、カラーは、それぞれの時代を映します。花嫁のれんは時代を映すアートです。
「花嫁のれん館」のバリアフリー概況です。「花嫁のれん館」は、平屋構造でバリアフリートイレがあります。有料施設ですが入館料の障がい者減免制度があり、障害者手帳等の提示で本人と介助者1名が無料に減免されます。
無料駐車場があり、身障者用駐車区画があります。駐車場から花嫁のれん館までは約50mあり、館の入口に車寄せはないので、雨の日、雪の日は、この50mは濡れます。この点以外は新しい施設なので、バリアフリー面での大きな問題はありません。
館内には着付け室があり、仏壇のある和室が用意されています。「花嫁のれんくぐり体験」は要予約で、有料3千円、所要時間30分です。花嫁衣装は白無垢か打掛、お好きなほうを選べます。花嫁衣装で土間から畳にあがり、花嫁のれんをくぐり、立派な七尾仏壇がある仏間に入る体験です。したがって車椅子では無理な体験企画です。他の人が体験している様子は、車椅子から見学できます。
金沢市内方面から車で七尾の「花嫁のれん館」に行く場合、「千里浜なぎさドライブウェイ」を通るルートが選択できます。日本で唯一の車で走れる砂浜。日本海を臨む能登半島の海岸に伸びる全長8kmの砂浜の道路で、ドライブ好き憧れのシーサイドロードです。高波などの恐れがある日は通行止めになるのでご注意ください。
七尾の「花嫁のれん館」は、バリアフリーレベルが高い、車椅子で利用しやすい観光施設です。
千年の歴史がある輪島の朝市と朝市会場周辺のバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2017年5月の取材に基づいています)