4ベッドの広いバリアフリールームがあるホテル「いこいの村能登半島」

石川県志賀(しか)町のホテル「いこいの村能登半島」には、4名で利用できる広いバリアフリールームが2室あります。

広さは65㎡超。ゆったりしたスペースの4ベッドルームです。車椅子の人がいる家族旅行などに快適なバリアフリールームです。

ホテル施設全体もバリアフリー仕様です。レストラン、コンベンションルーム、結婚式場、会議室などがあります。

施設全般をチェックしましたが、現在一般的に考えられるバリアフリー対策は備えられています。

大浴場も段差は少なく、必要な箇所に手すりが設置されています。露天風呂にも手すりはありますが、さすがに足の悪い人は利用が難しい造形です。

いこいの村能登半島

宿泊施設にバリアフリールームがあるのは当たり前になってきましたが、ほとんどはツインルームです。一般的な価格のホテルで、ファミリータイプのバリアフリールームは希少です。

車椅子利用者を含むグループ旅行を楽しみたい人に、お薦めできるホテルです。

輪島市白米町の棚田「白米千枚田」を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2017年5月の取材に基づいています)

金沢城公園 車椅子観光ガイド バリアフリー情報

金沢の名所「金沢城公園」は、車椅子で利用できるバリアフリー公園です。公園全体のバリアフリー状況と、車椅子での観光ポイントを紹介します。

金沢城公園は金沢大学の跡地で、21世紀になってから一般開放された新しい公園です。第一期整備の完成が2001年。第二期整備の完成が2014年。そして第三期整備が2017年に完成しています。

「本物志向で史実性の高い整備」です。そのため、往時の通りに再建される施設はバリア構造で、そこに現代のバリアフリー対策を入れる、これが金沢城公園のバリアフリー化のコンセプトです。その結果、面白いバリアフリー状況になっています。現地の状況を具体的に紹介します。

金沢城公園 バリアフリー情報

「石川門」から「河北(かほく)門」のバリアフリー状況です。

「兼六園」と金沢城公園は、道を隔てて隣接しています。兼六園の「桂坂口」と金沢城公園のメインエントランスである「石川門」は、道をまたぐ陸橋で直結、車椅子での通行は可能です。兼六園内のバリアフリー問題はありますが、車椅子での兼六園と金沢城公園の往来は、バリアフリーに快適に移動できます。(兼六園のバリアフリーについては、別稿「金沢兼六園バリアフリー情報」をご参照下さい。)

石川門をくぐると見えてくる「河北門」は、金沢城公園らしいバリアフリー施設です。「二の門」の2階層にある屋内スペースに向かって、ロングスロープが設置されています。ただし屋内は土足禁止で、車椅子にカバーをつけて入ります。そこまでしなくても、入口までいけば内部はすべて見える広さです。

金沢城公園 バリアフリー情報

有料施設の状況です。菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓・橋爪門の有料ゾーンは、入場料の障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。

土足禁止の施設です。受付から館内スタッフに連絡がいき、車椅子専用入口でスタッフが応対していただけます。専用スロープを上り土禁ゾーンへ進み、スタッフに車椅子を雑巾で拭いていただきました。館内の2階層へは昇降機で上がります。ここもスタッフが付きっきりで応対してくださいました。3階層にあたる櫓へのルートは階段のみです。

再度1階層へ戻るところには、エレベーターがあります。帰り口も専用口から出ます。有料エリアは車椅子利用者への特別な配慮があります。

金沢城公園 バリアフリー情報

バリアフリートイレの状況です。公園内には9カ所に公衆トイレが設置され、そのすべてにバリアフリートイレが併設されています。

2017年4月に完成した「鶴の丸休憩館」はとても綺麗な施設で、金沢城公園で最新の屋内のバリアフリートイレはここです。休憩スペースの他に、金沢城に関する情報展示コーナーもあります。菱櫓・五十間長屋などの眺めもよいので、鶴の丸休憩館は車椅子での立ち寄りをお薦めできる施設です。

金沢城公園 バリアフリー情報

身障者専用駐車場の状況です。身障者専用駐車場が「いもり堀園地」と「玉泉院丸庭園」横の2か所に用意されています。一般利用が出来ないように障害物があるので、事前に公園事務所に利用の連絡を入れることが推奨されています。

金沢城公園 バリアフリー情報

金沢城公園内の散策路は、完全なフラット構造ではなく、各所にアップダウンがあります。ただしそれほどキツイ坂はなく、ほとんどの路は一般的な車椅子利用者なら通行可能です。

車椅子で辛いのは、二の丸広場方面と玉泉院丸庭園を繋ぐルートです。勾配のキツイ坂道があるので、迂回することをお薦めします。

金沢城公園 バリアフリー情報

玉泉院丸庭園は、往時のお庭を忠実に復元したバリア構造の日本庭園です。したがって、園内各所に段差があるので、車椅子では休憩所からの見学をお薦めします。小さな庭園なので、それでも十分に全体を観ることができます。

玉泉院丸庭園内は段差あり

五十間長屋ほかの有料ゾーンでは、車椅子対応で付きっきりになってくださったスタッフに、詳しい解説をしていただけました。鶴の丸休憩館にはボランティアガイドさんが常駐しています。質問をすると、とても詳しく解説していただきました。ボランティアガイドの皆さんは、金沢城についてよく勉強されています。ボランティアガイドさんのお話を聞くと、金沢城について、より深い理解を得ることが出来ます。そして車椅子でのお薦め見学コースを、アドバイスしていただけます。

金沢城公園は車椅子に配慮のある施設です。車椅子で金沢の魅力に触れてください。

(本稿は2017年5月の取材に基づいています)

金沢兼六園と伝統産業工芸館 車椅子観光ガイド バリアフリー情報

名勝「兼六園」は、車椅子での散策には限界があります。推奨されているバリアフリールートは、ごく一部の限定的なルートのみです。車椅子からみた兼六園の状況を紹介します。

身障者用駐車場として「県立伝統産業工芸館」前の駐車場が推奨されています。来館者用の無料駐車スペースがあり、身障者用区画が1台分用意されています。ここが空いていれば自由に利用できます。伝統産業工芸館へはスロープで入館します。1Fにバリアフリートイレがあります。

タクシーで来園する場合も、伝統産業工芸館での乗降をお薦めします。

金沢~兼六園バリアフリー

伝統産業工芸館内を進むと、お土産コーナーのレジ兼総合案内所があるので、駐車している旨を申告します。特別な駐車手続きはありません。

総合案内所で兼六園の入園券を発券しています。入園料は障がい者減免制度があり、障害者手帳等の提示で本人と介助者1名が無料に減免されます。一般入園者もここで入園券を購入できますが、いわゆるプラスワンチケットは伝統産業工芸館では購入できません。プラスワンチケットを求めたい方は、小立野口の入園券売り場にまわって下さい。

伝統産業工芸館の奥から、そのままバリアフリーに兼六園に入園できます。

金沢~兼六園バリアフリー

兼六園が推奨している車椅子ルートは、伝統産業工芸館の奥から園内に入る「小立野口」から、園内最大の池である「霞ヶ池」を一周して戻ってくるルートです。このコースでおおよそ兼六園の三分の一を巡ります。

推奨ルートといっても、未舗装路や小さな段差はあります。決定的な段差や急坂、深い砂利道がないルートで、一般的な車椅子利用者なら通行可能です。見どころの多いルートなので、ここだけでも兼六園を訪れる価値はあります。

金沢~兼六園バリアフリー

次に推奨ルート以外のバリア状況を紹介します。

金沢城につながる石川橋方面の状況です。ある程度のオフロードが通行できる人なら、瓢池から蓮池門を抜け、石川橋を渡り金沢城へ抜けることはできます。

霞ヶ池から瓢池に抜けるルートは下りのオフロードです。途中の翠滝方面に向かうルートは段差があり通行不能ですが、真っすぐ進めばその先はほぼ平坦な長い砂利路面で、石川橋までたどり着けば舗装路です。それなりの体力が必要なので、元気な介助者と同行することをお薦めします。

金沢城につながる石川橋方面へ

21世紀美術館側の「真弓坂」ルートは、一般的な車椅子利用者は通行不能です。急な上り坂で、やや深い砂利道です。ただし決定的な段差箇所はありません。単純な力勝負です。真弓坂を通行できる車椅子利用者は、おそらくいます。

真弓坂は深い砂利道の急坂路

梅林などがある随身坂周辺は、散策ルートの途中に数段の段差や飛び石、車椅子では通行不能な橋などがある難所です。傾斜はそれほど強くはなく、砂利もさほど深くはありませんが、ルート選択が難しい。慎重にルートを見極めれば、車椅子で散策できないことはありません。梅林付近に立ち入らずに、メインルートだけを通行すれば迷いません。

随身坂周辺は段差だらけ

推奨ルートを外れると、以上のような状況なので、一般的な車椅子利用者は推奨ルートだけの散策をお薦めします。そして伝統産業工芸館へ戻ります。

推奨ルートは正しい選択

次に「県立伝統産業工芸館」の施設概要を紹介します。

金沢市のみならず石川県全域の工芸品に出会える施設です。古い建物ですが改修されてバリアフリー、1Fは無料のショップ、2Fは有料の工芸館ですが障がい者減免制度があり、本人と介助者1名の観覧料が無料に減免されます。

金沢~兼六園バリアフリー

金沢といえば金箔の金沢箔。焼物なら九谷焼や珠洲焼。金の仏壇は七尾仏壇、美川仏壇も有名。加賀といえば友禅染。輪島といえば輪島塗1Fでこれらの市販品が販売されています。逸品が展示されているのが2Fで、2Fの展示品も購入希望の方は申し付け下さい、と案内されています。

2Fには4つの展示室があります。大きな2つの部屋が常設展、小さな2つの部屋が企画展です。常設展には伝統工芸品の逸品が展示されています。いずれも車椅子で見やすい展示で、伝統工芸品をバリアフリーに鑑賞できます。

金沢~兼六園バリアフリー

兼六園の車椅子利用者の散策拠点は、伝統産業工芸館がお薦めです。そこから兼六園へ入り、推奨ルートを見学し、そして伝統産業工芸館で逸品を鑑賞します。車椅子で観光できるバリアフリーコースです。

隣接する「金沢城公園」の詳しいバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2017年5月の取材に基づいています)