金沢の名所「金沢城公園」は、車椅子で利用できるバリアフリー公園です。公園全体のバリアフリー状況と、車椅子での観光ポイントを紹介します。
金沢城公園は金沢大学の跡地で、21世紀になってから一般開放された新しい公園です。第一期整備の完成が2001年。第二期整備の完成が2014年。そして第三期整備が2017年に完成しています。
「本物志向で史実性の高い整備」です。そのため、往時の通りに再建される施設はバリア構造で、そこに現代のバリアフリー対策を入れる、これが金沢城公園のバリアフリー化のコンセプトです。その結果、面白いバリアフリー状況になっています。現地の状況を具体的に紹介します。

「石川門」から「河北(かほく)門」のバリアフリー状況です。
「兼六園」と金沢城公園は、道を隔てて隣接しています。兼六園の「桂坂口」と金沢城公園のメインエントランスである「石川門」は、道をまたぐ陸橋で直結、車椅子での通行は可能です。兼六園内のバリアフリー問題はありますが、車椅子での兼六園と金沢城公園の往来は、バリアフリーに快適に移動できます。(兼六園のバリアフリーについては、別稿「金沢兼六園バリアフリー情報」をご参照下さい。)
石川門をくぐると見えてくる「河北門」は、金沢城公園らしいバリアフリー施設です。「二の門」の2階層にある屋内スペースに向かって、ロングスロープが設置されています。ただし屋内は土足禁止で、車椅子にカバーをつけて入ります。そこまでしなくても、入口までいけば内部はすべて見える広さです。

有料施設の状況です。菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓・橋爪門の有料ゾーンは、入場料の障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。
土足禁止の施設です。受付から館内スタッフに連絡がいき、車椅子専用入口でスタッフが応対していただけます。専用スロープを上り土禁ゾーンへ進み、スタッフに車椅子を雑巾で拭いていただきました。館内の2階層へは昇降機で上がります。ここもスタッフが付きっきりで応対してくださいました。3階層にあたる櫓へのルートは階段のみです。
再度1階層へ戻るところには、エレベーターがあります。帰り口も専用口から出ます。有料エリアは車椅子利用者への特別な配慮があります。

バリアフリートイレの状況です。公園内には9カ所に公衆トイレが設置され、そのすべてにバリアフリートイレが併設されています。
2017年4月に完成した「鶴の丸休憩館」はとても綺麗な施設で、金沢城公園で最新の屋内のバリアフリートイレはここです。休憩スペースの他に、金沢城に関する情報展示コーナーもあります。菱櫓・五十間長屋などの眺めもよいので、鶴の丸休憩館は車椅子での立ち寄りをお薦めできる施設です。

身障者専用駐車場の状況です。身障者専用駐車場が「いもり堀園地」と「玉泉院丸庭園」横の2か所に用意されています。一般利用が出来ないように障害物があるので、事前に公園事務所に利用の連絡を入れることが推奨されています。

金沢城公園内の散策路は、完全なフラット構造ではなく、各所にアップダウンがあります。ただしそれほどキツイ坂はなく、ほとんどの路は一般的な車椅子利用者なら通行可能です。
車椅子で辛いのは、二の丸広場方面と玉泉院丸庭園を繋ぐルートです。勾配のキツイ坂道があるので、迂回することをお薦めします。

玉泉院丸庭園は、往時のお庭を忠実に復元したバリア構造の日本庭園です。したがって、園内各所に段差があるので、車椅子では休憩所からの見学をお薦めします。小さな庭園なので、それでも十分に全体を観ることができます。

五十間長屋ほかの有料ゾーンでは、車椅子対応で付きっきりになってくださったスタッフに、詳しい解説をしていただけました。鶴の丸休憩館にはボランティアガイドさんが常駐しています。質問をすると、とても詳しく解説していただきました。ボランティアガイドの皆さんは、金沢城についてよく勉強されています。ボランティアガイドさんのお話を聞くと、金沢城について、より深い理解を得ることが出来ます。そして車椅子でのお薦め見学コースを、アドバイスしていただけます。
金沢城公園は車椅子に配慮のある施設です。車椅子で金沢の魅力に触れてください。
(本稿は2017年5月の取材に基づいています)