第7回 障害者自立支援機器交流会 注目の出展機器情報

2020年11月16日に厚生労働省より「障害者自立支援機器 シーズ・ニーズマッチング交流会 2020」の開催が案内されました。2020年12月1日から4日が「Web開催」、2021年2月9日と10日は「東京開催」です。公表された「出展機器情報」から、生きるちから舎が注目した製品の概要を紹介します。

○欧州安全規格を取得した安全性の高い障がい児向けチャイルドシート(株式会社ミクニライフ&オート)

首や座位の保持が弱い、重度の身体障がい児のためのチャイルドシートです。通常のチャイルドシートよりも数多くのサポートベルトがあり、頭部や下肢はパットで保護されます。

○サポートシートαとサイドサポートのセット(株式会社帝健)

標準型車椅子に取り付けられる、シートやヘッドサポートです。簡単安価に理想に近いシーティングを実現する可能性を秘めた製品です。

○ネオシエスタⅡ(株式会社ダイレオ)

電動で、車椅子、ベッドに形、機能を変えます。ベッド形状で上下昇降も可能です。介助者の負担軽減が期待できます。

○車いす用起立補助装置 フリッツ(シャープジャパン株式会社)

車椅子の座面に取り付け、座面が前方向に上がることで、お尻を浮かす補助をします。取り付けや取り外しは簡単で、体重に合わせた設定が可能です。比較的軽い障がいの人、つかまり立ちが出来るレベルの人に役立つ可能性がある製品です。

○下肢装具ユーザーも履ける スタイリッシュなパンプス(株式会社LUYL)

足首から伸びる下肢装具を装着した上から履けるパンプスです。福祉機器とお洒落の融合がテーマです。

○片手操作可能な車いすの駆動装置(合同会社ライフスペース研究所)

車椅子の2輪をシャフトで直結させて、片手で直進・後退・右左折を可能にします。自走でも、空いた片手で物を持つことが出来るのがメリットです。未来の車椅子の常識になるかもしれません。

○医療的ケア児用ストレッチャー型車いす(株式会社マクルウ)

6輪構造で、車体はマグネシウム合金。軽くて丈夫で取り回しが楽と案内されています。医療用ベッドのように、上半身を持ち上げられる構造のストレッチャーで、かつ車椅子のように移動がしやすい、ストレッチャーと車椅子の、良いとこどりをした製品です。

なお出展情報はあくまで予定です。変更になる可能性があることをご承知おきください。

《生きるちから舎ニュース 2020年11月18日付》

別稿で「電動車椅子でスポーツ・トレッキング・森林浴 人生を変えるドイツ製品」を掲載しています。ご参照ください。

2019年度の給与実績からみる福祉従事者待遇改善の状況

障がい福祉サービス従事者の低賃金が問題になっています。厚生労働省の2020年2月調査による、給与の状況が公表されました。2019年度の職員待遇改善の状況を紹介します。

○対前年比5%増

平均給与の増加率は、5%台になりました。

引き上げ方法のアンケート調査結果は、「定期昇給」が57%、「各種手当の増加新設」が39%、「賞与の増加」が38%、「定期昇給以外の賃上げ」が22%となっています。

約半分の障がい福祉サービス事業所で、職員に対して定期昇給が実施されました。

○平均月収は30万円台

常勤者の月額平均給与金額です。調査では「経験・技能を有する職員」と「一般職員」に区分けして金額を算出しています。

※「経験・技能を有する職員」=介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士又は保育士の資格を有する者、心理指導担当職員(公認心理師を含む)、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者、サービス提供責任者

※平均給与額 = 基本給(月額)+ 手当 + 一時金(10月~3月支給金額の1/6)

「経験・技能を有する職員」が対前年増額21,540円の375,120円。

「一般職員」が対前年増加額17,250円の321,820円。

各種手当と賞与を加味した平均月額なので、この金額の12倍が年収になります。

年収を計算すると

「経験・技能を有する職員」=4,501,440円/年(前年増+258,480円)

「一般職員」=3,861,840円/年(前年増+207,000円)

政府が待遇改善の一つの目安にしているのが、年収440万円以上です。「経験・技能を有する職員」は、2019年度で450万円平均になりました。

○福祉・介護職員処遇改善加算制度の利用状況

障がい福祉サービス従事者の待遇改善のための直接的な政策として、福祉事業所を対象にした標記の加算制度があります。

定められた要件を満たした事業所が、所定の申請をすると、最大で職員一人当たり月額3万7千円が加算されます。

2019年度で8割を超える事業所が、何らかの加算を取得しています。未取得の2割弱の事業所にその理由をアンケートした結果が公表されています。

「賃金改善の仕組みを設けるための事務作業が煩雑であるため」30%

「賃金改善の仕組みを設けることにより、職種間の賃金のバランスがとれなくなることが懸念されるため」30%

「賃金改善の仕組みをどのようにして定めたらよいかわからないため」29%

「賃金改善の仕組みを設けることにより、福祉・介護職員間の賃金バランスがとれなくなることが懸念されるため」22%

以上が加算未取得の主な理由です。

他業種との単純比較による安易な評価はできませんが、2019年度の福祉の仕事の給与は、昇給率は5%程度、年収は400万円前後でした。

(本稿は2020年11月に執筆しました)

コロナ禍による障がい福祉サービス利用者数の変化をやさしく解説

コロナ禍に襲われた2020年。障がい福祉サービスの利用者の行動はどのように変化したのか。2020年11月に、厚生労働省から同年2月から7月までの利用者実績が公表されました。利用者数の対前年同月比をもとに、注目すべき変化を紹介します。

○ショートステイは5割減

利用者数が最も減少したのは短期入所(ショートステイ)でした。

2020年2月までは右肩上がりに利用者数が増加していましたが、3月が-14.8%、4月は-39.5%、5月は-52.8%、6月は-34.2%、7月が-24.5%です。

5月が底で、6月からは上向き傾向ではありますが、大幅な利用者減が続いています。この数値には、施設側の判断で利用を中止または縮小しているケースも含まれます。

一方、短期入所利用者の月間平均利用日数は、2月の6.4日から、3月は6.9日、4月は7.3日、5月は8.6日、6月は7.4日、7月は7.1日と、利用者数の減少と反比例して伸びています。ベッドに空きがあるので、利用日数を増やした人が多くいることが想像されます。

○訪問系サービスは2桁減

利用者減少のピークであった5月の数値で、居宅介護が-3.5%、重度訪問介護が-5.1%、そして同行援護が-18.9%、行動援護が-25.8%でした。

ただしその後は回復基調で、7月にはほぼ前年並みから一桁減に戻しています。

○地域移行支援は3割減

2月は+5.1%と前年対比増でしたが、3月は-15.8%、4月は32.5%、5月は32.8%、6月は-14.9%、7月は-14.5%でした。

コロナ禍により、地域移行の動きは、ブレーキがかかったことが推定されます。

○放課後等デイサービスは利用者増

多少の影響はありますが、対前年利用者数では伸び止まっていません。

2月は+12.5%。これを基準にすると鈍化しますが、3月は+4.4%、4月は+3.2%。利用者減のピーク5月は-2.5%になりましたが、6月は+7.5%、7月は+7.2%と、すぐに回復しています。

放課後等デイサービスは、利用者の二桁増が続いていたので、この数値でもコロナ禍のマイナス影響はあります。しかし利用者数は増加しています。

利用者数が多い、この他の主なサービスは、総じて5月が底、6月以後は回復し、7月には前年増に転じています。

利用者数と施設数が多いこと、利用者数の減少幅および回復基調の弱さからみて、コロナ禍でもっとも短期的なマイナス影響を受けている障がい福祉サービスは、短期入所(ショートステイ)です。

(本稿は2020年11月に執筆しました)

別稿で「障がい福祉サービスの利用者数と社会的費用をやさしく解説」を掲載しています。ご参照ください。