大正天皇と皇后、昭和天皇と皇后の陵墓は、東京都八王子市にあり、自由に参拝ができます。武蔵陵墓地内は砂利路面ですが、完全ではありませんが車椅子参拝のために舗装路面が用意されています。車椅子で参拝できる範囲と場所など、現地のバリアフリー状況を紹介します。
高尾駅から最短ルートで1.5kmと案内されています。多摩御陵入口から、正規の参道を通行するルートだと、御陵の入口地点まで2km以上ある遠回りルートになります。そして陵墓まで、入口から御陵内を往復で1km以上を移動します。
御陵入口に参拝者用の無料駐車場が用意されています。身障者用駐車区画の設定はありませんが、舗装路面の広い駐車場で滅多に混雑することはないので、車椅子で乗降しやすい場所に駐車できます。長距離移動が苦手な車椅子利用者は、マイカーまたはタクシーでの参拝をお薦めします。
現地の「陵墓参拝のご案内」板の地図に、「玉砂利道」と「舗装路」が色分けされて示されています。
「舗装路」には全面舗装路と、道端の1.5ⅿだけが舗装されている部分舗装路があります。
「玉砂利道」の多くは、車椅子は動かないほどの深い砂利ではありません。力強く車椅子を押す、あるいは前輪を浮かす、または後ろ向きで慎重に移動するなどの方法により、快適ではありませんが短距離なら一般的な車椅子で移動できないことはない砂利道です。写真は表参道入口の路面状況です。
可能な限り「舗装路」を通行して、御陵入口から近い順に参拝すると、「武蔵野陵」の香淳皇后陵墓、昭和天皇陵墓、そして「多摩陵」の貞明皇后陵墓、大正天皇陵墓の順になります。このルート順でバリアフリー状況を紹介します。
駐車場内にトイレ棟があり、バリアフリートイレが用意されています。武蔵陵墓地内のトイレは、ここだけです。
駐車場から北参道に移動します。ここまでは全面舗装路面です。
木立に覆われる北参道も全面舗装路です。問題なく車椅子で移動できます。
新参道に入ります。ここは道端だけの部分舗装路です。北参道から舗装路面の上だけを通行して新参道に移動できます。
新参道の右側の舗装部を通り、香淳皇后陵墓である「武蔵野東陵」のエリアに行くことができます。武蔵野東陵内の部分舗装路は、正面からみて手前と右側の2辺に整備されています。奥と左側の2辺は砂利路面だけです。したがって車椅子で舗装路面を外れずに参拝するスポットは、手前の舗装路の中央付近、鳥居の正面です。
昭和天皇陵墓の状況です。武蔵野東陵から昭和天皇陵墓である「武蔵野陵」に移動します。ここで短距離ですが、砂利路面の移動が必須になります。武蔵野陵内の部分舗装路は、左右と手前の3辺に整備されていますが、手前の参道中央部には舗装路面がありません。砂利路面の通行距離が最短になるルートは、武蔵野東陵手前の舗装路の中央付近から、部分舗装路を通り新参道に戻り、そこで新参道の中央部の玉砂利道を横断して、新参道の反対左側の部分舗装路に移動します。そして部分舗装路を通り武蔵野陵の手前左側に向かいます。武蔵野陵は、真正面の位置には部分舗装路がありません。斜めから参拝することになります。
武蔵野陵の手前左側から、貞明皇后陵墓である「多摩東陵」に移動します。新参道の部分舗装路を通り、西参道に向かいます。西参道は全面舗装路です。
西参道の先が「多摩東陵」です。多摩東陵内のエリアは、左右と手前の3辺に部分舗装路があります。車椅子で舗装路面を外れずに参拝するベストスポットは、手前の舗装路の中央付近、鳥居の正面です。
大正天皇陵墓の状況です。多摩東陵から大正天皇陵墓である「多摩陵」へ移動します。多摩陵内のエリアで部分舗装路があるのは正面からみて右辺だけです。右の部分舗装路を進むと、4段の第一段差を回避するスロープがあり、舗装路面だけを通行してスロープに移動できます。スロープは折り返し式で、傾斜角度は緩く、問題なく車椅子で通行できます。
スロープを出ると4段の上の高さに出ますが、スロープの先は砂利路面です。
多摩陵の正面までは、まだ20ⅿ程度の距離があります。ここの砂利路面も、快適ではありませんが、少し無理をすれば車椅子で移動することはできます。
多摩陵の正面まで移動できれば、第二段差の手前、以下のような参拝スポットに到着します。
これで四陵墓の参拝が終わりました。極力舗装路面を通行する帰りのルートは、西参道から新参道、そして北参道です。行きと同じく、玉砂利道を横断する箇所は新参道の一か所です。全移動距離は1km強。豊かな緑の中を通行します。今回取材時は、多くの場所で野鳥のさえずりが楽しめました。
大正昭和の天皇皇后陵がある武蔵陵墓地。通常は三密とは無念な、静かで落ち着いた空間です。完全ではありませんが舗装路が整備されているので、車椅子での参拝は可能です。
別稿で「立川昭和公園 昭和天皇記念館 車椅子観覧ガイド バリアフリー情報」を掲載しています。ご参照ください。
(本稿は2021年4月に執筆しました)