「世界一登山客の多い山」は、無理のない範囲なら車椅子観光が楽しめます。東京都八王子市の高尾山および周辺のバリアフリー状況を紹介します。

京王線高尾山口駅は改装されてバリアフリーです。駅構内にバリアフリートイレがあります。

また駅に隣接して有料駐車場があります。駅に隣接する日帰り温泉「極楽湯」は2015年に開業した施設です。高尾山口駅およびその周辺は、車椅子で問題なくアクセスできます。

高尾山の自然を紹介する博物館「TAKAO599MUSEUM」はバリアフリー仕様です。車椅子で問題なく利用できます。
高尾山を登るケーブルカーは、車椅子での利用が可能です。山腹の「高尾山駅」までは、誰でも車椅子で行くことができます。

ここから先は、車椅子でどこまで無理をするかです。山頂まで決定的な段差は回避できるルートがあります。ただし途中には未舗装の急坂路があります。山頂のすぐ下には、バリアフリートイレがあります。以上が高尾山の概要です。

車椅子での登山コースを詳しく紹介します。
駅および周辺駐車場から、土産屋や飲食店が並ぶ「もみじ通り」を通り、バリアフリー博物館「TAKAO599MUSEUM」を目指します。「599」は高尾山の標高です。

この間のルートは完全なフラット路面ではありませんが、一般的な車椅子利用者なら十分に通行が可能な舗装路面です。元は「都立高尾自然博物館」でした。1959年に開館した施設で、老朽化により2004年に閉館となりました。
2005年から八王子市で跡地活用の検討が始まり、2012年にこの企画が決定。2013年から2年がかりで建築され、2015年に「TAKAO599MUSEUM」が開館しました。入館無料の施設で、段差がない仕様です。バリアフリートイレは1Fと2Fにあります。
高尾山に生きる、植物、昆虫、蝶などの標本展示があります。展示台だけでではなく「プロジェクションマッピング」の仕掛けがある壁面も利用して、高尾山の象徴「ムササビ」が飛び、「イノシシ」が走り、「サル」が騒ぎます。他にカフェ、ショップ、情報ガイド、休憩コーナー、キッズコナーなどがあります。

「TAKAO599MUSEUM」で高尾山の勉強をして、そしてトイレを借りて、次は「表参道」経由で「もみじ広場」へ向かいます。ここまでのルートは、一般的な車椅子利用者なら十分に通行が可能な舗装路面です。

「もみじ広場」の奥に、ケーブルカー「清滝駅」があり、スロープ利用で車椅子乗車ができます。ケーブルカーの運賃は障がい者減免制度があります。障害者手帳等の提示で、本人と介助者1名の運賃が約半額に減免されます。

ケーブルカーに乗り、山腹の「高尾山駅」へ登ります。

この駅では車椅子専用のエレベーターを利用して駅舎を出ます。

駅から「高尾山さる園・野草園」「たこ杉」のあたりまでは、舗装された緩い傾斜路です。少し頑張れば、車椅子で行くことができます。

ちなみにメインの登山路である表参道「1号路」は、「高尾山駅」まで、全面舗装路で若干のデコボコやゴツゴツはありますが、致命的な段差はありません。その気になれば車椅子で登山可能ですが、それなりの急坂でしかも長距離。一般的な車椅子利用者の限界を超えるルートです。ケーブルカーの利用をお薦めします。

次は「女坂」経由で「高尾山薬王院」を目指します。

一般のガイドブックでは「女坂」は緩やかと形容されますが、車椅子利用だと相当ハードな急坂です。下りは怖い傾斜角度です。ただ「1号路」とは違い絶対距離が短いので、気合次第でどうにかなる可能性はあります。
「高尾山薬王院」に到着したとします。「御本殿」は階段の上です。車椅子での参拝は「仁王門」の下からになります。

山頂への通常ルートは、この「高尾山薬王院」の中の階段を走破するルートです。車椅子では絶対に無理なルートなので、迂回路に進みます。

この迂回路は未舗装の強烈な急坂です。普通の人は車椅子での登坂は無理です。車椅子で挑戦する場合は、相当の覚悟と、最強の介助者が必要です。ここを突破すれば、もうそこは山頂のすぐ下です。

薬王院を過ぎると山頂はもうすぐです。山頂のすぐ下の地点に公衆トイレがあり、バリアフリートイレが用意されています。トイレから山頂までは、あと坂一つです。それなりの坂道ですが、ここまで来られる人にとっては何でもないレベルの坂です。
山頂の広場は「十三州大見晴台」。未舗装路面ですが、ほぼフラットな路面です。車椅子でも見学可能な「都立高尾ビジターセンター」もあります。

お弁当を山頂でいただくのが高尾山登山の定番です。お昼時にはお弁当を広げた登山者で山頂広場が埋まります。
山頂から先に「奥高尾」方面への登山路が続きますが、階段ルートなので車椅子では進めません。山頂までが車椅子での限界です。

一般的な車椅子利用者は、山頂までの登山は無理です。ケーブルカー利用で、無理のない範囲での観光をお薦めします。それだけでも十分に高尾山の自然を車椅子で楽しめます。
高尾には「天皇陵 武蔵陵墓地」があります。車椅子参拝ガイドを別稿で掲載しているのでご参照ください。
(本稿は2015年11月の取材で初稿を執筆し、2019年10月に加筆修正しました)






