バスタ新宿発のリムジンバス 車椅子用エレベーター付き車両が登場

東京空港交通(株)はエレベーター付きリムジンバスの運行を発表しました。運行は2020年8月1日から。バスタ新宿と羽田空港、成田空港を結びます。車椅子での利用上のポイントを3点紹介します。

○車椅子乗車は1台のみ

車椅子乗車ができるのは、各便1名です。予約は1カ月前から受け付けます。

乗車運賃は障がい者減免制度があり、障害者手帳等の提示で半額に減免されます。

○車椅子で乗車降車ができないバス停

「施設および安全上の理由」で、「新宿駅西口」と「成田空港第三ターミナル」は、車椅子での乗降ができません。なお「成田空港第三ターミナル」へは、「成田空港第二ターミナル」から無料のノンステップ連絡バスの利用が推奨されています。

○運行時刻は限られる

成田へは一日一往復。成田発が7:40、新宿発が12:00です。

羽田へは一日二往復。羽田発が10:30と15:00、新宿発が11:50と16:30です。

《生きるちから舎ニュース 2020年8月3日》

脳性麻痺児に総額3千万円 産科医療補償制度をやさしく解説

2009年に創設された「産科医療保障制度」は、2015年の改定を経て、現在では産科がある病院のほぼ100%が加盟する保険制度になっています。

一定の要件を満たした脳性麻痺児に対し、一時金で600万円、0歳から19歳までの20年間毎年保障分割金120万円、合計で3千万円の補償金が支払われます。

一定の要件とは何か。分かり難いポイントを解説します。

○基本要件は在胎週数と出生時体重

・在胎週数が32週以上で出生時体重が1,400kg以上

極端な早産、低体重児は、補償の対象にはなりません。ただし在胎週数が28週以上であれば、分娩時に医学的なデータに基づく「低酸素」や「心拍喪失」など、一定の要件が確認できれば補償の対象になります。

○脳性麻痺の定義に合致すること

この制度が対象とする脳性麻痺の定義は「受胎から新生児期(生後4週間以内)までの間に生じた児の脳の非進行性病変に基づく、出生後の児の永続的かつ変化しうる運動又は姿勢の異常」です。

したがって遺伝子異常など「先天性の要因」や、分娩後の感染症など「新生児期の要因」がある場合は補償の対象になりません。

分かりにくいのは「脳の非進行性病変」です。脳の病変が進行している子どもは、障がいの状態が脳性麻痺と同様でも、補償されません。

○重度の障がいであること

「身体障害者福祉法施行規則に定める身体障害者障害程度等級一級又は二級に相当する脳性麻痺」児が制度の対象です。

2級以上の身体障害者手帳の交付を受けていることが条件ではなく、運営組織である「日本医療機能評価機構」が「補償対象」として認定した場合に補償金が支払われます。

認定は「総合的に判断して、身体障害者障害程度等級1級・2級相当の状態が5歳以降も継続することが明らかである」ことが条件です。幼い子どもの将来を、どのような基準で判断するのか、ガイドラインから抜粋して紹介します。

・低緊張型脳性麻痺の場合は、3歳未満では診断や障害程度の判定が困難であるため、原則として3歳以降の診断に基づき判断を行う。

・将来実用的な歩行が不可能と考えられる状態の「実用的な歩行」とは、「装具や歩行補助具(杖、歩行器)を使用しない状況で、立ち上がって、立位保持ができ、10m以上つかまらずに歩行し、さらに静止することを全てひとりでできる状態」である。

・6ヶ月から1歳未満のとき、重力に抗して頚部のコントロールが困難な場合に、基準を満たす。

・1歳から1歳6ヶ月未満のとき、寝返りを含めて、体幹を動かすことが困難な場合に、基準を満たす。

・1歳6ヶ月から2歳未満のとき、肘這いが困難、床に手をつけた状態であっても介助なしでは坐位姿勢保持が困難な場合に、基準を満たす。

・2歳から3歳未満のとき、寝ている状態から介助なしに坐位に起き上がることが困難な場合に、基準を満 たす。

・3歳から4歳未満のとき、つかまり立ち、交互性の四つ這い、伝い歩き、歩行補助具での移動(介助あり)の全ての動作が困難な場合に、基準を満たす。

・4歳から5歳未満のとき、下肢装具や歩行補助具を使用しないと、安定した歩行、速やかな停止、スムーズな方向転換が困難な場合に、基準を満たす。

・上肢のみの障害は、障害側の基本的な機能が全廃している場合に、基準を満たす。

・両上肢の障害は、脳性麻痺による運動機能障害により、食事摂取動作が一人では困難で、かなりの介助を要する状態の場合に、基準を満たす。

・片麻痺があり総合的な判断となるときには、障害側の一上肢に著しい障害があり、かつ、障害側の一下肢 に著しい障害がある場合に、基準を満たす。

なお、認定が何歳であろうと遡及するので、補償される金額の総額は3千万円で変わりません。

極端な早産や低体重ではなく、脳性麻痺の定義に合致した症状で、かつ運営組織が重度であることを認定すると、脳性麻痺児に総額3千万円が補償されます。

※同制度の対象基準が2022年から改定されます。詳しくは別稿脳性麻痺児のための産科医療補償制度 対象基準の改定を参照してください。

(本稿は2020年7月に執筆しました)

発生率は0.17% データでみる脳性麻痺児の実態

2018年に脳性麻痺児に関する調査結果が公表されています。そこで明らかになった脳性麻痺児の実態を数値で紹介します。

公表されている調査は「公益財団法人日本医療機能評価機構」の「脳性麻痺児の実態把握に関する疫学調査プロジェクトチーム」がまとめた「脳性麻痺児の実態把握に関する疫学調査報告書」です。

調査対象は、鳥取県、徳島県、栃木県の3県で、2009 年1月から 2013 年 12 月までの5年間に誕生した子供。データの最終確定は2018年3月です。したがって5歳から9歳の脳性麻痺児が調査対象になっています。

○多くは早産低体重児

3県5年間での脳性麻痺児の平均発生率は、1000人あたり1.7人です。

県別年別での最小値は0.4人、最大値は2.4人。

県別の最小値は1.4人、最大値は2.1人。年別の最小値も等しく1.4人、最大値も等しく2.1人です。

同じく1000人あたりの発生率を在胎週数と出生時体重でみると、

在胎週数27週以下は102.6人、28週から31週が56.1人、32週から36週が6.1人、37週以上は0.8人です。

出生時体重は、1000g未満は81.5人、1000~1500g未満が54.1人、1500~2000g未満が15.3人、2000~2500未満が4.2人、2500g以上は1人未満で、4000g以上の巨大児は1.7人と多少発生率が上がります。

誕生した赤ちゃん全体での脳性麻痺児の発生率は1.7人ですが、そのほとんどは在胎週数が31週以下で出生時体重が2000g未満の早産低体重児です。

○痙直型が70%

いわゆる脳性麻痺のタイプ別には、圧倒的に痙直型が多く70.6%。

低緊張型16.5%、アテトーゼ型4.8%、混合型3.5%、失調型1.3%です。

○原因は分娩時の疾患が7割

脳性麻痺になった原因と思われる要因を複数回答ありで調査したところ

分娩時の疾患が70.6%、分娩前の疾患が32.5%、分娩後の疾患が17.3%です。

分娩時の疾患の詳細は

新生児仮死が 50.2%、脳室周囲白質軟化症 が 28.6%、低酸素性虚血性脳症が 18.2%です。

○重度の障がい児が多い

運動能力のレベルを示すGMFCSでは、最重度のレベル5「車椅子での移動」が42.4%と圧倒的に多数です。

また身体障害手帳の等級は1級が40.3%です。5歳から9歳の子どもが調査対象であり、身体障害手帳の保有者が全体の54.5%なので、手帳をもっている子どもの約75%が1級ということになります。

介助の状況は、「全介助」が52.4%、「一部介助」が24.7%、「介助不要」が14.3%です。

○重複障がい児も多い

知的障がいも伴う子どもが79.7%です。

知的障がいのレベルは、最重度が26.8%、次いで重度が22.5%で、ここまでで約半数になります。

合併症のある子どもは68.8%で、その内訳は重複回答ありで「てんかん」が最も多く41.1%。次いで「嚥下障害」が31.2%、「呼吸障害」が29.4%です。

○7割の子どもは経口摂取ができる

食事の状況は、経口摂取が71.9%、経管栄養が23.4%です。

排せつの状況は、おむつ使用が59.7%、おむつ不要が28.6%。ただし5歳から9歳の子どもが調査対象なので、最終的にはもう少しおむつ不要が増加する可能性はありそうです。

○生存率は9割以上

1歳時点での死亡率は1.3%。

3歳時点での死亡率は3.0%。

調査時点での全体の死亡率は5.6%です。

脳性麻痺児は早産低体重児に多く、その多くは重度重複した障がいを負って生まれています。

(本稿は2020年7月に執筆しました)

別稿で「脳性麻痺児に総額3千万円 産科医療補償制度をやさしく解説」を掲載しています。ご参照ください。