事業者の合理的配慮の提供を義務化した差別解消改正法が公布

2021年5月28日の衆議院本会議で可決成立した「障害者差別解消法の改正法案」が、同年6月4日に公布されました。

改正法の最大のポイントは、努力義務とされていた事業者の合理的配慮の提供が、義務化されたことです。

他にも「国及び地方公共団体の連携協力の責務の追加」と「障害を理由とする差別を解消するための支援措置の強化」が定められました。

この改正法の施行期日は「公布の日(令和3年6月4日)から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日」とされ、本日時点では明確な施行日は決まっていません。施行日については、今後開催される内閣府の障害者政策委員会などで議論されます。

努力義務から義務へ。多くの障がい福祉関係者が望んだ改正法です。

《生きるちから舎ニュース 2021年6月4日付》

別稿で「障害者政策員会で検討されている不当な障害者差別と合理的配慮の事例」を掲載しています。ご参照ください。

重度障がい者は福祉避難所に直接避難へ 災害対策基本法改正

内閣府防災担当がまとめた2016年4月版「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」では、災害が発生した直後は、障がいのある人も最寄りの指定避難所に避難し、そこで支援が必要な人を把握した上で福祉避難所が開設され、要支援者が移送される手順が示されています。

このガイドラインに対して、重度の障がい者、特に知的、コミュニケーション面で重い障がいがある人の家族からは、たとえ一晩でも、一般の避難所で過ごすことが困難であることが主張されてきました。

2021年4月16日に「災害対策基本法等の一部を改正する法律案」が衆議院で可決され、同年5月10日に公布されました。

この法改正で、災害時の個別避難計画の作成が、市町村の努力義務になりました。あわせて内閣府のガイドラインも、要支援者の障がいの状況に応じて、福祉避難所に直接避難する個別避難計画を作成する内容へと、近日中に改定される予定です。

福祉避難所の準備と、障がいのある人の個別避難計画は、各地域の市町村が推進主体になります。すでに全国各地で、福祉避難所に直接避難する個別避難計画を作成する動きがあることが報道されています。

重度の障がいのある人とその家族は、災害発生時に一般避難所への非難が困難であることが想定できる場合、早急に最善の避難が可能な個別避難計画を、市町村と検討してください。

《生きるちから舎ニュース 2021年5月27日付》

別稿で「災害時に避難所での生活が困難な障がい者を受け入れる福祉避難所」を掲載しています。ご参照ください。

障がい者を虐待から守る現場の対応状況~令和元年度調査報告より~

障害者虐待防止法に基づき、厚生労働省が毎年度「都道府県・市区町村における障害者虐待事例への対応等に関する状況について調査」を実施し、その結果を公表しています。

2021年3月26日付で、令和元年度の調査結果が公表されました。全体で虐待と判断された被害者は2,398人。死亡者は2名でした。

調査結果から、虐待から障がい者を守る現場の状況を抜粋して紹介します。

〇養護者による虐待事案の過半は48時間以内に事実確認を実施

相談・通報・届出を受けてから事実確認を行うまでの日数の現状です。当日が45%、翌日が15%、2日目が6%と、ここまでで約66%になります。これが市町村を中心にした現場の対応スピードの実態です。

この数値から判断すれば、緊急性が高いと判断される事案については、ほぼ当日ないし翌日には、事実確認の初動がとられているものと思われます。

〇法に基づく立入調査は112件

これも養護者による虐待が疑われる事案の状況です。全5,864件の内、「法第11条に基づく立入調査により事実確認を行った事例」は112件でした。またその内、警察が同行したのは30件です。虐待調査を受け入れない、特に悪質な養護者は、全体ではこのような状況です。

〇虐待被害者の43%を分離保護

養護者による虐待が確認された被害者総数は1,664人でした。この内の711人は、施設に一時的に入所させるなど、虐待養護者からの分離措置が行われました。

逆に「一度も分離していない被虐待者数」は698人です。つまり助言や指導、あるいは定期的な見守りなどで、養護者による今後の虐待は防止できると判断されたケースが42%ありました。

〇事実調査不要と判断される事案が11%

養護者による虐待に関して相談・通報・届出があった事案で、受理した段階で明らかに虐待ではなく事実確認調査不要と判断された件数です。

5か年の累計数値で受理件数が24,794年件、その内の2,634件が事実調査不要と判断されています。約10件に1件が、事実確認調査不要と判断されました。

〇指定が取り消された事業所は3件

障がい者福祉偉業所で、虐待の事実が認められた事例 が547 件ありました。この中で障害者総合支援法又は児童福祉法の規定による権限の行使として、強力な処分である指定取消をしたのが3件、指定の効力の全部又は一部停止が11件、改善命令が2件でした。

多くのケースは「施設・事業所に対する指導」「改善計画の提出依頼」「虐待を行った施設従事者等への注意・指導」など、比較的軽い措置がとられています。

以上、虐待から障がい者を守る現場の取り組みの状況です。

(本稿は2021年3月に執筆しました)

令和2年度の状況を別稿で掲載しています。ご参照ください。