エレベーターで車椅子参拝 出世階段の愛宕神社 バリアフリー情報

愛宕神社

東京都港区の「愛宕神社」は、愛宕エレベーターを利用して車椅子で参拝ができる、標高26mの山頂に建つ江戸防火の神様です。現地のバリアフリー状況を紹介します。

「出世階段」で有名な愛宕神社。出世階段の横には「東京名所」というおおきな立て看板が設置されています。

車椅子の方や足腰に不安のある方は、出世階段の利用はできません。愛宕トンネルの横を渡り、NHK放送博物館の下に行ってください。

そこに「愛宕エレベーター」があります。これに乗れば、バリアフリーに標高26mの愛宕山山頂ラインに行くことができます。

ここから愛宕神社へは高さとしてはフラットですが、愛宕神社境は砂利道、オフロード、若干の石畳段差などがあります。それでも車椅子で頑張れば通行できるレベルです。

もう一つのアクセスルートがあります。出世階段から虎ノ門ヒルズ側に行くと、愛宕山山頂へつながる車道があります。ただし、たいへん急な坂道なので、車椅子での通行は無理です。足腰に自信の無い人もやめた方がいい坂道です。

虎ノ門ヒルズ

車で参拝に来た場合は、このルートで山頂を目指せますが、山頂には一般参拝者用の駐車場はありません。結婚式などの参加者用の駐車スペースはあるので、そういうご用事の場合は神社の駐車場を利用できます。

出世階段が名所の神社です。車椅子での参拝者も、出生階段の上り口に行き、上から階段を見下せます。見るだけで、ちょっと怖い急階段です。万が一にも誤って車椅子で転落しないように注意してください。

愛宕神社

出世階段を登りきった地点の横に、山頂の証である「三角点」の石標があります。23区内のライバルは、新宿区の「箱根山」で標高45m、愛宕山は負けています。しかし箱根山は江戸の富士山信仰が生んだ人造の山。愛宕山は自然の山。したがって、23区内の最高峰は箱根山ですが、自然地形の最高峰は愛宕山になります。

標高26mの山頂。江戸期には、出世階段の上から、東京湾から房総半島まで見渡せたという記述が残っているそうです。

出世階段とは何か。講談で有名になった江戸の逸話が基ですが、近年講談を聞く機会もなく、知らない人が多いと思われます。ものすごく簡単に記すと、将軍家光が「階段を馬で登って梅の木を折ってもってこい」と指示をして、無名の武将がそれを成し遂げて、一躍出世した、という逸話です。境内には、その武将が手折った梅の木が現存しています。参拝前に講談「寛永三馬術」の中の曲垣平九郎(まがき・へいくろう)の故事を予習すると理解が深まります。

愛宕山は、隣接する森ビル青松寺などとも一体になった、緑深い自然保護区のようなエリアです。車椅子では利用できませんが、途中に段差がある遊歩道のようなルートが整備されています。まさに都心のオアシス。すばらしい自然が残る一角です。名所ですが、観光地的な物販店などはありません。

隣接するNHK放送博物館は、2015年12月にリニューアルオープンしました。愛宕山は、バリアフリー博物館と神社参拝がセットで楽しめるエリアです。

なおNHK放送博物館の詳しいバリアフリー状況は、別稿「愛宕山NHK放送博物館 車椅子見学ガイド バリアフリー情報」をご参照ください。

(本稿は2019年7月に加筆修正しました)