つかまり立ちが出来る人なら、歩行支援器具を使用した歩行に挑戦できます。クラッチ(杖)の他に、大がかりな器具として「歩行器」と「歩行車」があります。
シンプルに歩行を補助する器具が「歩行器」で、座面があったりブレーキが付いていたりと、凝った構造のものが「歩行車」と呼ばれます。どちらの要素もある中間タイプもあります。
歩行器を見たことがない方は、意外な印象をうけるかもしれませんが、歩行器は車輪がないタイプが基本形です。体を支えるフレームを腕の力で持ち上げて、前に進みます。ガッタン、ガッタンという感じで進みます。フラット路面の屋内使用が前提ですが、学校の校庭のように、ある程度フラットであれば屋外でも使用できます。つかまり立ちと、一瞬の腕と足が同期した動きが出来れば、歩行器で歩行ができます。
変形版として、ストッパー付きの前輪タイプもあります。歩行器の前足が車輪なのですが、前足に体重をかけると車輪が回らないようにストッパーが機能します。腕で歩行器を持ち上げることが辛い人向きで、前への押し出しは車輪で軽く、体重が前に移動したら車輪が体重で停まる構造です。
手動ブレーキ付きの4輪タイプもあります。これは中途障害など比較的軽度な障がいの人向きです。手のブレーキ操作が自分で判断してできること、歩行器に過度に寄りかかり過ぎることなく、上手に車輪を使ってバランスよく移動できることが使用条件になります。
歩行車と呼ばれるタイプは、シルバーカーをもっと丈夫にして、歩行器のように体重をかけられる部位を付けたものです。
歩行車はブレーキ付きの車輪タイプがメインです。一定以上のスピードが出ないような安全設計がついているものもあります。座面があり高さや角度の調節が可能です。
装備的にも車椅子に近くなってくるので、各種のオプションが可能です。 ブレーキのタイプを変えたり、荷物入れを付けたり、酸素ボンベを搭載できるようにしたりと、カスタマイズができます。車への搭載や家庭での収納のために、折り畳みが可能なタイプがほとんどです。
純粋な福祉器具としてではなく、お年寄りの便利道具レベルでの利用も可能です。そのため大概の歩行車は消費税課税対象になっています。
重度障がいのある人が使用するのは、シンプルな車輪なしの歩行器がメインです。
軽量素材の使用や構造の工夫により、年々より使いやすいものに改良が重ねられています。立位歩行は人間にとって重要な行動です。歩行支援器具は障がいのある人にとって大切な道具です。
(本稿は2019年11月に執筆しました)