自分では「グチュグチュペッ」の口腔ケアが出来ない、重度の障がいがある人への使用を前提にした、電動歯ブラシの選び方と使用方法を紹介します。
ただし嚥下障害がひどく誤嚥リスクが高い人へは、電動歯ブラシは使用せずに、スポンジブラシなどの使用をお薦めします。
電動歯ブラシの種類は多彩です。回転タイプ、横揺れタイプ、縦揺れタイプ、振動タイプ、音波タイプなどがあります。
どれが悪いということではありませんが、「グチュグチュペッ」が出来ないレベルの人は、一般の研磨剤の入った歯磨き粉が利用できませんので、歯ブラシだけの口腔洗浄になります。
もっとも洗浄力や研磨力が高いのは回転タイプです。本稿では、もっとも磨けるという意味で、回転タイプを例に、選び方と使用方法を紹介します。
値段はピンからキリまであります。目安としては1万円クラスの電動歯ブラシが、重度の障がいのある人に使える機能と性能が備わっています。
必須機能は、強く当てすぎたときには回転が停まる機能です。間違った磨き過ぎは、歯と歯茎を傷めます。自動停止機能がついた電動歯ブラシをお薦めします。上位機種になると、少し強くあてただけで、アラームがでるタイプがあります。また上位機種の電動歯ブラシの方が、軽く当てるだけで十分な洗浄力、研磨力があるようです。
歯ブラシ部分は小が大を兼ねます。選択可能であれば、最初は小さめのブラシをお薦めします。大きく口を開けてくれる、歯磨きに協力的な人の介護であれば、レギュラーサイズでも大丈夫です。
使用方法です。歯ブラシ部は使い捨てではないので、使用前にしっかりもう一度洗浄します。水を入れたコップの中で10秒くらい回転させ、その後水で洗い流すのが良いようです。
唇などに間違って当てないように、口内に入れてから回転させます。回転部をしっかり一本一本の歯の裏表にあてます。歯ブラシを動かしたくなりますが、基本は動かさずに1本の歯に3秒のペースで優しくしっかり当てます。
全部の歯を磨いて、3分から4分かかるペースになります。介護の対象の人が、3分間を我慢できるかです。出来る人なら楽です。
協力的な人ではない場合、上歯の横のあたりが、ブラシをあて難いはずです。歯ブラシの向きを細かく変えるのがコツです。角度を変えて口内に歯ブラシを当ててください。
どうしても当たらない部分があれば、ヘッドの小さめの手動歯ブラシを併用して、磨き残しの無いようにします。
使用後は、綺麗にブラシ部を洗浄します。ほっておくと菌が繁殖するので、しっかり水洗いを行います。ブラシは横に広がってきたら交換します。
電動歯ブラシを上手に使えば、手動歯磨きよりも楽に、重度の障がいのある人の口腔ケアができます。
(本稿は2019年11月に執筆しました)