車椅子で参拝できる東京バリアフリー神社~都心部編~

車椅子で参拝できる東京バリアフリー神社~都心部編~

車椅子で参拝できる東京の神社仏閣はどこか。本稿は「東京都心部編」です。千代田区、中央区、港区のバリアフリーな神社仏閣を紹介します。

 

「神田明神」(千代田区)

2017年から2018年にかけて再整備事業が行われ、境内の歩道が全面舗装されました。また「鳳凰殿」を取り壊して「文化交流館」を新設したことにより、本殿の前は広場のような空間になり正面参道が広くなりました。

神田明神

2018年に開館した「文化交流館」は地上4階、地下1階の構造で、1Fにはお土産が買える「EDOCCO SHOP」と飲食の「EDOCCO CAFÉ」。どちらもフラットでスペースの余裕があり車椅子での利用は可能です。

神田明神

2Fと3Fは700名収容の「神田明神ホール」。4Fは多目的ラウンジ。B1はステージがある「EDOCCO STUDIO」。いずれも基本設計はバリアフリー仕様です。障害者用トイレは3Fを除く各フロアに用意されます。

神田明神

「文化交流館」の正面前には「だいこく様」。入口の横には「えびす様」がいらっしゃいます。どちらも周囲はフラット構造で車椅子での参拝は可能です。

境内には他にも、数多くのお末社や銭形平次の碑など、見どころが多々あります。

神田明神

 

「日枝神社」(千代田区)

日枝神社

車でアクセス出来ればバリアフリーです。車で坂道を上がると、山頂の境内周辺に参拝者用の無料駐車場があります。車椅子利用者は、車で山頂まで上がってからの参拝をお薦めします。

日枝神社

「日枝あかさか」側からと「お稲荷様」側の両方向から車椅子で境内に入ることが出来ます。境内にはバリアフリールートがあり、拝殿へ上がる段差箇所には迂回スロープがあります。障害者用トイレは境内の外、「斎館」にあります。

日枝神社

日枝神社

日枝神社境内の見どころの一つは「猿像」。猿なので「えん」、だから「縁」という語呂合わせで、近年では縁結びに御利益があることになっています。

日枝神社

もう一つは「藤棚」。花の季節には藤棚の下に赤い毛氈が敷かれた休憩台がおかれ、ゆっくり座って花を観賞できます。

日枝神社は空襲で焼失しているので、現在あるものはすべて戦後に再建されたものです。

日枝神社

 

「靖国神社」(千代田区)

境内ほぼ全域に舗装された通路が配置されているので、車椅子での通行に決定的な問題はありません。ただし九段下側からアクセスすると、長い上り坂を通ることになります。

靖国神社

第二鳥居から西側の本殿周辺にかけては傾斜のないフラットな地形なので、坂道が苦手な車椅子利用者は、車で第二鳥居周辺まで来るのがお薦めです。

靖国神社

第一鳥居はスロープがあります。本殿周辺から神池庭園へ向かうルートもフラットな舗装路です。

靖国神社

神池庭園から南門方面に抜けるルートだけは砂利道で、車椅子では通行に苦戦します。

靖国神社

 

「水天宮」(中央区)

2016年、新社殿が完成しました。新社殿は地下と1Fは有料駐車場、2F部が社殿、3Fが事務所の構造です。

水天宮

地下および1Fの駐車場からは、エレベーターで2Fへ直結。2F屋内部に「神札所」があり、さらに安産祈祷の「待合所」があります。

直結駐車場を利用せずに参拝に来た場合、車椅子利用者は社殿の裏側に向うと、やや解り難い場所にB1駐車場からの直結エレベーターの1F口があります。エレベーターは1基だけです。

水天宮

拝殿は2F空中境内の屋外スペースに建っていますが、「本殿」へは屋内からスロープ通路で、2F屋内部からそのまま行くことが出来ます。安産祈祷に来る妊婦さんにとって、その当日が雨でも車で来れば全く濡れずに祈祷できます。

一般参拝の場合は、2Fでエレベーターを降りて「神札所」がある屋内空間へ。そこから外の空中境内に出ると拝殿があります。拝殿は数段の階段の上です。

水天宮

2Fの空中境内には「子宝いぬ」の像、「安産子育河童」、“あうん”の「狛犬」一対、お末社の弁財天などがあります。

水天宮

 

「築地本願寺」(中央区)

石造りの古代インド様式。ステンドグラスに、パイプオルガンがある寺院です。

築地本願寺

本堂は階段の上ですが、車椅子利用者用のエレベーターがあり、館内には障害者用トイレもあります。本堂内は椅子が置かれるフラット構造です。

築地本願寺

浄土真宗本願寺派の寺院。本山は京都の西本願寺。ご本尊は「阿弥陀如来」。宗祖は親鸞聖人です。

 

「福徳神社」(中央区)

別名は芽吹神社。千年の歴史をもつ都内有数の古社で、駐車場の屋上に鎮座していた時代もある「さまよえる神社」の異名をもつ神社です。日本橋コレド室町の一角にあります。

福徳神社

神殿は5段ほどの階段を登った上に鎮座しています。車椅子利用者は正面から見て左手に進むと、地下駐輪場と地上と神社階を結ぶエレベーターが1基あり、車椅子で境内に上がることが出来ます。

福徳神社

江戸時代に富くじの発行が許された神社で、参拝所に宝くじの当選を祈る専用のコーナーがあります。

福徳神社

神社の横は「福徳の森」、日本橋の鎮守の森です。地下2階部には、災害時に備えた物資の備蓄設備もあります。

福徳神社

コレド室町内に障害者用トイレが複数あります。アクセスは地下鉄駅直結で、地下駐車場もあり、いずれもバリアフリーです。

 

「豊川稲荷東京別院」(港区)

最寄駅は赤坂見附で、赤坂御用地の隣です。参拝者専用の無料駐車場があります。正門入口は段差があるので、車椅子利用者は駐車場から境内に向かって下さい。

境内はバリアフリー設計ではありませんが、およそ境内の7割ほどは車椅子でまわることができます。

駐車場の横には「文化会館」があり、1Fにはお茶屋さんが4~5軒営業しています。名物は「稲荷寿司」で、他に甘味や土産物などを販売しています。

豊川稲荷東京別院

本殿の前には狛犬ならぬ狛キツネが鎮座します。本殿の参拝所は段差の上で、車椅子では段の下からの参拝になります。

車椅子での通行が難しいのは、千本のぼりが奉納されている「奥の院」周辺です。通路が石畳や一部飛び石で、小さなデコボコや段差が多々あります。

豊川稲荷東京別院

お札やお守りの授与をする「三所殿」などは車椅子で利用できます。「山門」は外部からは階段の上なので、境内から見学します。「山門」横の「子宝観音」は、ご利益のある大型の観音様です。

駐車場側にある「霊狐塚」は、信者から納められたキツネの像がいくつも並びます。このキツネ象は、供養されて地下のスペースに納付されます。周辺は車椅子で参拝可能です。

豊川稲荷東京別院

本殿横に「弁財天」が祀られています。小川が流れザルが用意され、銭を洗うことが出来ます。「弁財天」だけではなく、境内には七福神が勢ぞろいしていています。

大岡越前のお墓「大岡廟」がある「豊川稲荷」ですが、そもそもは大岡越前が私邸に建てたお社でした。当時の江戸では庶民の間に稲荷信仰が盛んで、大岡越前も月に二日間は一般庶民に私邸を開放し、参拝を許していたそうです。その後、大岡越前邸の一部を正式に豊川稲荷東京別院とし、常時一般開放されるようになりました。

明治維新後の廃仏毀釈政策により、お寺に変りました。ここは神社ではなく、お寺のお稲荷様で、曹洞宗の「豊川閣妙厳寺」が正式名称。作法は二礼二拍手ではありません。

現在の地に拡大移転したのが明治20年と伝えられます。最初の創建からは約200年。この地に移ってから約130年の歴史です。

本山は、愛知県の豊川市にあります。ここは東京別院。単に豊川稲荷というと、愛知県のお寺を指します。

 

「金刀比羅宮」(港区)

読み方は「コトヒラグウ」。虎ノ門にあるビル一体型神社です。桜田通りから見た場合、26階建ての琴平タワーの横に鳥居があり、近代的な印象を受ける参道を進むと左手に社殿があります。この地に1679年から鎮座するお宮です。

金刀比羅宮

基本はバリアフリーで玉砂利などはありませんが、参拝所の最後のところは4段ほどの階段で、車椅子での参拝はできません。車椅子では階段の下からの参拝になります。現在の社殿は、戦時中に焼失した本殿を1951年に再建したものです。

琴平タワーが竣工して現在の姿になったのが2004年。社殿は旧建築のままですが、社務所は琴平タワーの1階の一部、手水舎や神楽殿は2004年の新築です。

金刀比羅宮

琴平タワーの前に建っていたビルが「琴平会館ビル」でした。再開発では「総合設計制度」を活用し、金刀比羅宮の社殿をそのまま残すことで発生する余剰容積を活用してタワーを建築。タワーのデザイン上の特徴はアルミカーテンウォールの採用。これによって和風建築のテイストを醸し出して、金刀比羅宮と一体化した建築デザイン上の連続性を狙っています。開発の主導は三井不動産です。

金刀比羅宮

 

「東京バリアフリー神社」の紹介記事は、他に「東部編」「西部編」を掲載しています。クリックすると別稿が開きますので、ぜひご覧下さい。