諏訪大社 四社を車椅子で参拝 現地のバリアフリー状況

「上社本宮」「上社前宮」「下社秋宮」「下社春宮」。諏訪大社は長野県諏訪湖の周辺に4箇所の境内地があります。

神代からの伝承がある国内最古の神社の一つです。各社ともバリアフリー仕様ではありません。車椅子かたみた四社の現地の状況を紹介します。なお四社とも無料駐車場があります。車椅子利用者のアクセスは車が便利です。

諏訪大社 四社を車椅子で参拝 現地のバリアフリー状況

上社本宮

東参道側の入口は段差があるので、車椅子では正面北参道から境内を目指します。

上社本宮

「東参道駐車場」が舗装路面で収容台数が多いのですが、正面までやや距離があり、途中のルートは舗装路ですがアップダウンがあります。

東参道駐車場

正面入口に近い「本宮参拝者駐車場」は、未舗装路面の駐車場です。北参道の先にある「本宮駐車場」と「諏訪大社駐車場」は、やや距離があります。

北参道沿いにある土産屋「杜乃風」の駐車場が、最も近くて舗装路面の駐車場です。「杜乃風」にはバリアフリートイレがあります。

土産屋「杜乃風」の駐車場

正面北参道から境内へ入ります。入口付近は舗装路ですが、その先境内は未舗装で路面はデコボコがあります。

上社本宮

正面は階段です。神楽殿などがある左手に向かいます。気をつけて進めば、車椅子でも何とかなる未舗装路面です。

上社本宮

その先は雑な急坂の木製スロープを上ります。そしてデコボコが多々ある路面を通行して、本殿エリアにつながる渡り廊下「布橋」に入ります。この区間は車椅子の難所です。おそらく通行できない車椅子利用者もいます。

上社本宮

「布橋」の入口付近は、荒れた路面でデコボコがあります。

上社本宮

「布橋」内の路面は木製で、多少デコボコがありますが、なんとか車椅子で通行できます。

上社本宮

「布橋」の出口付近は、急角度の荒いスロープです。ここが車椅子で一番の難所です。慎重に移動してください。

上社本宮

上社本宮

「布橋」の先は、荒れた未舗装路面が続きますが、車椅子で境内まで無理をすれば移動できます。その先は一部石畳風の舗装路面があります。

上社本宮

上社本宮

「拝殿」は段差の上です。車椅子では段の手前からの参拝になります。

上社本宮

「宝物殿」は段差構造のため、車椅子では見学できません。

上社本宮

上社本宮は、車椅子では移動に苦労する参拝ですが、境内は凛とした神の領域です。無理のない範囲だけでも、訪れる価値はあります。

上社本宮

境内入口の舗装路面から「一之御柱」を拝観することができます。

上社本宮

上社前宮

上社前宮は山の中腹に建つ社です。一般の参拝者は、山の下にある道路脇の舗装駐車場か、境内入口の未舗装駐車場を利用して、階段と坂道を上って参拝します。階段を避けての参拝ルートは、車椅子では移動が困難な長い急坂路になります。

本殿がみえる場所に未舗装路面の駐車場があります。そこまでの道はわかり難く、且つ狭い箇所がありますが、舗装された車道です。

車椅子利用者は、車でアクセスして、本殿がみえる最上部にある最後の駐車場まで進みます。ただし正月などは交通規制がかかり、この駐車場は利用できません。

上社前宮

本殿がみえる駐車場はフラットですが、その外はすべて未舗装の傾斜路面や段差路です。

上社前宮

拝殿は段差の上です。

上社前宮

上社前宮は、四本の御柱をすべて拝観できますが、そこに近づくには荒れた路面を通過する必要があります。

上社前宮

境内を流れるご神水「水眼」は飲める清流です。ただし柄杓がある場所に車椅子で行くのは困難です。

上社前宮

車椅子ではどこまで無理をするかですが、駐車場周辺を中心に、障がいの状況、体力に応じて、無理のない範囲からの参拝になります。

本宮より前からあったから「前宮」です。諏訪大社でもっとも古い社と伝承されています。上社前宮は、車椅子での型通りの参拝は困難ですが、本殿近くの駐車場まで行けば、車椅子から古社の凛とした気配を感じることができます。

上社前宮

下社秋宮

境内の横、坂道を上った先に広い駐車場があります。もっとも境内に近い場所に、2台分の身障者用駐車区画があります。区画の幅が広い、使える駐車区画です。

下社秋宮

身障者用駐車区画から境内へ進むルートは、車椅子が進まない深い砂利路面です。距離は短いのですが、ここが車椅子参拝の難所です。

その先の砂利路面から参道に上る箇所に、小さいながらも厄介な段差があります。

下社秋宮

参道に出れば、拝殿まで境内を舗装路で移動できます。

下社秋宮

神木の巨大杉を過ぎると、神楽殿があります。神楽殿には参拝所がありますが、階段の上です。

下社秋宮

神楽殿を右回りで進むと拝殿があります。拝殿は段の上で、車椅子では段の手前からの参拝になります。

下社秋宮

拝殿の両脇に御柱がそびえています。

下社秋宮

そのまま右回りで進むと、砂利路面になります。車椅子では来た道を引き返します。

下社秋宮

下社秋宮は、車椅子で境内を移動するだけで、諏訪大社の凄みを十分に感じられます。ただし駐車場から境内までの短い区間が、車椅子の難所です。

下社秋宮

下社春宮

参拝者用無料駐車場の出入口に近い場所に、身障者用駐車区画があります。ここから境内入口までは緩い傾斜路ですが、車椅子で苦労少なく移動できます。

境内の入口、大鳥居の下は段差路で、右側に雑なスロープ板が設置されています。車椅子で苦労するのはここです。それでも一般的な車椅子利用者で、元気な介助者がいれば、なんとか通過できるスロープです。

下社春宮

境内に入ると砂利路面の中に舗装通路があります。舗装路を通行して拝殿まで行くことができます。

下社春宮

拝殿は段差の上です。車椅子では段の手前からの参拝になります。

下社春宮

万治の石仏へのルート状況です。石仏に「万治3年(1660年)」と刻まれているのが名前の語源。岡本太郎氏が絶賛したことでブレイクした石仏です。

万治の石仏

「境内から万治の石仏に行くことが出来ます」という掲示がありますが、これは車椅子では無理な、アップダウンに加えて段差のある橋を通るルートです。車椅子で「万治の石仏」に行くには、いったん元に戻って境内の外に出ます。

大鳥居を出ると「万治の石仏」は境内から見て右手に進みます。ここから50mほど、歩道がない車の交通量がある道を進みます。路面はそれほど荒れていませんが、ここが車椅子での難所です。

その先は歩道のある道になります。更に進み川沿いの遊歩道に右折します。やや上り坂の遊歩道ですが、車椅子での移動が困難なほどの傾斜ではありません。

万治の石仏

途中に岡本太郎氏揮毫の碑があります。ほどなく「万治の石仏」に到着します。最後の直線10mがキツイ坂になりますが、それでも一般的な車椅子利用者なら、なんとか通過できます。

観光情報などで「万治の石仏の周囲は未舗装」と案内されていますが、ここまでは全て舗装路です。未舗装なのは「万治の石仏」のまわりで、未舗装の周囲を廻って願掛けをします。胴回りは11m85cmあります。舗装路からでも「万治の石仏」を正面から拝むことが出来ます。

万治の石仏

諏訪大社の四社は、バリアフリーではありません。車椅子で訪れて参拝する場合は、ご自身あるいは家族の障がいの状況に応じて、無理のない範囲で行動してください。

車椅子で諏訪湖を見下ろす眺望が楽しめる「諏訪湖SA」を別稿で紹介しています。ご参照ください。

(本稿は2020年1月の取材に基づいています)

常陸国出雲大社 車椅子参拝ガイド バリアフリー情報

茨城県笠間市福原の「常陸国出雲大社」は、小高い山にある社で参道は急坂です。車椅子や足の悪い人は、坂道の通行が問題です。現地の状況を紹介します。

常陸国出雲大社 バリアフリー情報

1992年に創建された新しい神社です。島根の出雲大社の大国主命の分霊を祀ります。この笠間の地は、出雲大社、諏訪大社と直線上に結ばれる縁があります。

出雲大社との包括関係が解消され、現在の名称「常陸国出雲大社」となり単立神社となったのは2014年です。

常陸国出雲大社 バリアフリー情報

アクセスは車が便利です。無料駐車場が、P1からP3まで3カ所用意されます。

国道50号から大社に入ると、すぐに坂道になります。もっとも低地にあるのがP2、次にP3、最高地にある駐車場はP1です。確認できた限り、身障者用駐車区画の用意はありません。

本殿・拝殿があるのは、P1よりも更に高地です。通路は舗装路ですが、どの駐車場からも急坂を上ります。

常陸国出雲大社 バリアフリー情報

駐車場の中では最高地にあるP1から、本殿・拝殿へ向かうルートの状況です。一般参道は大鳥居をくぐり、階段路を上ります。鳥居の左側に舗装された傾斜路があります。車椅子ではこの坂道を上ります。

常陸国出雲大社 バリアフリー情報

段差はありませんが、急坂です。一般的な車椅子利用者は通行が困難な傾斜、元気な介助者が2名欲しい坂道です。今回取材時、足の悪いお年寄りが、何度も立ちどまりながら通行していました。

帰りの下り坂は、車椅子を後ろ向きにして下りることをお薦めします。

常陸国出雲大社 バリアフリー情報

P2は最も低地で、本殿・拝殿まで遠い駐車場です。

P3から本殿・拝殿へ向かう道は、P1からのルートよりも距離はありますが、傾斜は少し楽な角度です。移動距離が苦にならない方なら、P3からのアクセスの方が楽かもしれません。ただしそれなりの角度の坂道を長く通行します。P3からのルートも、快適なバリアフリールートではありません。

常陸国出雲大社 バリアフリー情報

常陸国出雲大社 バリアフリー情報

拝殿周辺のバリアフリー状況です。手水舎は段差があり、車椅子での利用は難しい構造です。

常陸国出雲大社 バリアフリー情報

さらに坂道を通過して、拝殿の近くまで来ます。拝殿への一般ルートは階段路です。混雑時は階段上で参拝の列をつくる設定です。

常陸国出雲大社 バリアフリー情報

段差回避ルートは正面左側にあります。この拝殿前の坂道は、それほどの角度はありません。ここまで来ることが出来た人なら、通過できる傾斜路です。

拝殿の参拝所は、一段上になります。車椅子では段の手前からの参拝になります。

常陸国出雲大社 バリアフリー情報

拝殿の見どころです。大しめ縄は16mで重さは6トン。コインを下から投げて突き刺す賽銭が流行っています。

常陸国出雲大社 バリアフリー情報

拝殿天井には60畳の大きさがある絵画「常陸の雲」。

常陸国出雲大社 バリアフリー情報

そして大国主大伸ご神像があります。参拝作法は「二礼・四拍手・一礼」です。

常陸国出雲大社 バリアフリー情報

車椅子での常陸国出雲大社参拝は、急坂が問題です。自信がある方は参拝ください。

石の産地、茨城県笠間市の「石の百年館」を別稿で紹介しています。ご参照ください。

(本稿は2020年1月の取材に基づいています)

琵琶湖畔白髭神社 車椅子参拝ガイド バリアフリー情報

滋賀県高島市、琵琶湖の湖中に建つ大鳥居で有名な「白髭神社」は、本殿は車椅子で参拝できます。2000年の歴史をもつ全国の白髭神社の総本社のバリアフリー状況を紹介します。

創建は紀元前とも伝承されます。近江最古の神社であることは事実のようです。駐車場あり、となっていますが、社務所前のスペースなどに適切に車を停めます。そこから本殿には、車椅子でそのまま行くことが出来、参拝は可能です。

琵琶湖畔白髭神社 車椅子参拝ガイド バリアフリー情報

車椅子で簡単に移動できるのは、駐車スペースから本殿周辺だけです。有名な琵琶湖の湖中に建つ大鳥居に行くには、国道161号を横断する必要があります。

白髭神社から見える限りの区間、この国道には横断歩道や信号はありません。交通量は多く、それもかなりのスピードで車が走っています。この国道を車椅子で横断するのは危険です。

仮に横断できたとして、湖中の大鳥居により近づくためには、国道脇から階段で湖畔に下ります。車椅子では、本殿のある境内から国道越しに湖中に建つ大鳥居を眺めてください。車椅子利用者に限らず、国道の横断は危険です。

琵琶湖畔白髭神社 車椅子参拝ガイド バリアフリー情報

本殿の裏は山。ここを階段で上ると「上の宮」とよばれるパワースポットがあります。天照皇大神を始め十柱を祀るお社が点在。お社だけではなく、祭祀に使われたらしい大岩や古墳がある、パワースポット感あふれる「上の宮」です。山登りの階段の先にある「上の宮」なので、車椅子での参拝は出来ません。

湖中に建つ大鳥居の由来です。社伝社記では、2000年前から波打ち際に鳥居が見え隠れしていて、天下変災の前兆として湖中に鳥居が突然姿を現したとされています。

現実には、昭和12年に個人により寄贈された鳥居が湖中に建てられ、現在の鳥居は昭和58年に琵琶湖総合開発の保証事業として建造されています。伝説伝承はともかく、実際には80年ほどの歴史を有する、湖中に建つ大鳥居です。

神社として正確な記録が残っているのは、慶長年間の1603年に、豊臣秀吉の遺命により、豊臣秀頼が本殿を建立したということ。檜皮葺の入母屋造りで、これは桃山時代特有の建築様式です。

屋根続きの拝殿は明治時代、1879年の築。この様式は明治時代の特徴的な増築構造です。

本殿は昭和13年に国の重要文化財に指定されています。戦災にあわずに現存する桃山建築です。

琵琶湖畔白髭神社 車椅子参拝ガイド バリアフリー情報

昭和30年代の写真をみると、琵琶湖畔沿いには江若鉄道が走り、国道の道幅は狭く、神社と琵琶湖の距離が近い印象を受けます。その後鉄道が廃線になり、国道の道幅が拡充され、現在の景観になりました。

桃山建築を残す本殿、パワースポット「上の宮」を有する神社境内と、湖中に建つ大鳥居の間に、交通量が多い国道があります。

観光情報で、それぞれを別々のショットでみると素晴らしい景観に思えますが、現地は国道で分断されています。車椅子では、本殿を参拝して、国道越しに湖中の大鳥居を見て下さい。

「比叡山延暦寺」の情報を別稿で紹介しています。ご参照ください。

(本稿は2016年9月の取材に基づいています)