車椅子での比叡山の巡拝は困難です。一般的な車椅子利用者で、主な施設で近づけるのは「東塔」の「大講堂」だけです。車椅子からみた延暦寺の概況を紹介します。
ロープウェイやケーブルカーを利用して、バスと徒歩でアクセスするのは、それだけで大変です。車椅子利用者は車でのアクセスをお薦めします。
比叡山ドライブウェイ及び奥比叡ドライブウェイは、通行料金の障がい者減免制度があり、料金所で障害者手帳等を提示すると半額に減免されます。
各地域にあるドライブウェイの駐車場には、身障者用駐車区画が用意されています。
延暦寺の施設に入るには巡拝料が必要です。東塔、西棟、横川のそれぞれの地域に「巡拝受付」があり、料金を支払います。巡拝料は3地域共通券の料金です。
この巡拝料は障がい者減免制度があり、障害者手帳等の提示で本人と介助者1名が無料に減免されます。
東塔の国宝館はエントランスまで段差回避スロープがありますが、靴を脱いで観覧する施設で、展示室は2F、エレベーターはなく階段で移動します。また館内にトイレはありません。観覧料金は巡拝料とは別途に必要で、障がい者減免制度はありません。国宝館は車椅子では利用できません。
東塔の車椅子での移動可能な範囲です。アップダウンが激しく、また階段路が多々あります。一般的な車椅子利用者の場合、駐車場から「大講堂」および「鐘楼」の周囲までが、車椅子での移動範囲の限界です。ここまでも傾斜路を通行します。
「鐘楼」は有料で鐘を突くことが出来ますが、段差構造のため車椅子では出来ません。
もの凄い急坂を通行できる人は「根本中堂」まで行くことができます。
西塔と横川の車椅子での移動可能な範囲です。西塔地域は、駐車場から「常行堂」「法華堂」までが、相当な無理をしての限界です。一般的な車椅子利用者にはお薦めできない傾斜路です。
横川地域は傾斜が激しく車椅子での移動は無理です。車椅子での巡拝はお薦めしません。
比叡山は、ドライブウェイは半額、巡拝料金は全額、障がい者は減免になりますが、車椅子での巡拝は、かなりの困難を伴います。無理はしないことをお薦めします。
「高野山」は車椅子でお参りができます。詳しいバリアフリー情報を別稿で紹介しているので、ご参照ください。
(本稿は2020年3月の取材に基づいています)