今なお大師様がいらっしゃる高野山「奥ノ院」は、車椅子でお参りが出来ます。車椅子からみた現地のバリアフリー状況を紹介します。
聖地である弘法大師御廟は、バリアフリー改修済みです。御廟橋から先は撮影禁止のため、バリアフリー状況の説明が文章だけになることをご承知おきください。
ただし奥之院すべてがバリアフリーなのではありません。駐車場から御廟までのバリアフリー状況は、以下の通りです。
奥ノ院に近い「中の橋駐車場」は、屋外平置きスペースと、2フロア構造の自走駐車場があります。身障者用駐車スペースは最も奥ノ院に近い、屋外平置きスペースに用意されています。
この身障者用駐車スペースが満車の場合は、その時点で車椅子で最も利用しやすい駐車区画へ、駐車場スタッフが誘導して下さいます。駐車場に着いたら、車椅子利用の旨を相談してください。
「中の橋駐車場」には、独立棟の公衆トイレと、駐車場棟1Fの2か所にトイレがあります。奥ノ院周辺で一番お薦めのバリアフリートイレは、駐車場棟内の奥にある1Fのトイレです。とても綺麗でウォシュレット付き便器が備えられています。
奥ノ院の休憩所付近2か所のトイレにもバリアフリートイレがあります。こちらも実用に耐えるトイレです。
中の橋駐車場から参道へ進みます。周りにお墓や記念碑が立ち並ぶ参道は、場所によりますが、石畳で多少ゴツゴツやデコボコがあり、車椅子に小さな衝撃が連続してきます。これが苦手な方にはお薦めできない奥ノ院です。その程度なら我慢ができる車椅子利用者は、参拝に挑戦してください。
小さな衝撃に耐えながら、車椅子で参道を通り御廟へ向かいます。ただしメインの参道以外は車椅子では通行できない段差構造です。豊臣家の墓、織田信長の墓などは、参道横の段差の上です。
また一の橋方面への参道は段差だらけです。中の橋から御廟の間だけが、車椅子で通行できる参道です。
聖域弘法大師御廟へ入ります。車椅子では御廟橋の手前から迂回ルートへ廻ります。車椅子ルートの案内掲示はしっかり出ているので、迷うことはありません。
一部につよい傾斜の箇所もありますが、段差だらけの御廟の全てをバリアフリールートが網羅しています。徹底したスロープ対応です。段差で困る箇所は全くありません。
御廟橋から先は私語禁止、といわれることも多い御廟ですが、そこまで厳しい雰囲気ではありません。普通に静かに会話をする程度なら事実上問題ありません。したがって知的、あるいはコミュニケーションの障がいのある方でも、大きな奇声や、派手に走り回る行為が無ければ、参拝できます。
御廟のバリアフリー改修は感動的です。参道のデコボコが我慢できる方は、車椅子で奥ノ院へご参拝ください。
なお高野山の主な施設の詳しいバリアフリー情報は、以下の別稿を参照してください。
(本稿は2018年6月の取材に基づいています)