滋賀県高島市、琵琶湖の湖中に建つ大鳥居で有名な「白髭神社」は、本殿は車椅子で参拝できます。2000年の歴史をもつ全国の白髭神社の総本社のバリアフリー状況を紹介します。
創建は紀元前とも伝承されます。近江最古の神社であることは事実のようです。駐車場あり、となっていますが、社務所前のスペースなどに適切に車を停めます。そこから本殿には、車椅子でそのまま行くことが出来、参拝は可能です。

車椅子で簡単に移動できるのは、駐車スペースから本殿周辺だけです。有名な琵琶湖の湖中に建つ大鳥居に行くには、国道161号を横断する必要があります。
白髭神社から見える限りの区間、この国道には横断歩道や信号はありません。交通量は多く、それもかなりのスピードで車が走っています。この国道を車椅子で横断するのは危険です。
仮に横断できたとして、湖中の大鳥居により近づくためには、国道脇から階段で湖畔に下ります。車椅子では、本殿のある境内から国道越しに湖中に建つ大鳥居を眺めてください。車椅子利用者に限らず、国道の横断は危険です。

本殿の裏は山。ここを階段で上ると「上の宮」とよばれるパワースポットがあります。天照皇大神を始め十柱を祀るお社が点在。お社だけではなく、祭祀に使われたらしい大岩や古墳がある、パワースポット感あふれる「上の宮」です。山登りの階段の先にある「上の宮」なので、車椅子での参拝は出来ません。
湖中に建つ大鳥居の由来です。社伝社記では、2000年前から波打ち際に鳥居が見え隠れしていて、天下変災の前兆として湖中に鳥居が突然姿を現したとされています。
現実には、昭和12年に個人により寄贈された鳥居が湖中に建てられ、現在の鳥居は昭和58年に琵琶湖総合開発の保証事業として建造されています。伝説伝承はともかく、実際には80年ほどの歴史を有する、湖中に建つ大鳥居です。
神社として正確な記録が残っているのは、慶長年間の1603年に、豊臣秀吉の遺命により、豊臣秀頼が本殿を建立したということ。檜皮葺の入母屋造りで、これは桃山時代特有の建築様式です。
屋根続きの拝殿は明治時代、1879年の築。この様式は明治時代の特徴的な増築構造です。
本殿は昭和13年に国の重要文化財に指定されています。戦災にあわずに現存する桃山建築です。

昭和30年代の写真をみると、琵琶湖畔沿いには江若鉄道が走り、国道の道幅は狭く、神社と琵琶湖の距離が近い印象を受けます。その後鉄道が廃線になり、国道の道幅が拡充され、現在の景観になりました。
桃山建築を残す本殿、パワースポット「上の宮」を有する神社境内と、湖中に建つ大鳥居の間に、交通量が多い国道があります。
観光情報で、それぞれを別々のショットでみると素晴らしい景観に思えますが、現地は国道で分断されています。車椅子では、本殿を参拝して、国道越しに湖中の大鳥居を見て下さい。
「比叡山延暦寺」の情報を別稿で紹介しています。ご参照ください。
(本稿は2016年9月の取材に基づいています)