東京都文京区本駒込にある公益財団法人「東洋文庫」が運営するミュージアムです。東洋文庫は、三菱第三代当主岩崎久彌氏が1924年に設立した東洋学の研究図書館で、約100万冊の蔵書を有する、歴史・文化研究および資料研究を行っている組織です。
ミュージアムは、多くの人に東洋学への興味をもっていただくことを目的に、2011年に開館しました。ミュージアムは有料の施設で、観覧料の障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が一般料金の半額以下に減免されます。
不忍通りに面した立地で、駒込駅から徒歩8分の案内です。そして来館者用の無料駐車場が8台分用意されています。
不忍通りに面して建つ大きなビルは、東洋文庫の事務室、研究室、そして100万冊の蔵書の書架などがあるようです。敷地は奥深く、大きなビルの裏側にミュージアム棟が伸びるような構造で、更に奥に中庭があり、中庭を囲むようにレストラン棟があります。駐車場は見えにくい場所で、不忍通りから直接レストトラン棟へ向かう、敷地内の私道沿いに駐車区画が並びます。
通り沿いの大きな建物の1Fにミュージアムの入口があります。ビルを支える巨大な柱が特徴的なエントランス空間です。
ミュージアムのエントランスはフラットな構造で、出入口は自動ドアです。車椅子で問題なく入館できます。
もう1枚自動ドアを通り、ミュージアムに入ります。
ミュージアムショップと受付があります。受付で観覧料を支払い、入館の手続きを行います。レストラン棟と自由に出入りができるために、観覧料を支払った人は胸にシールを張るルールです。
バリアフリートイレは1Fのパブリックスペースにあります。
ミュージアムは2フロア構造です。最初に受付の奥にある1F展示室を観覧します。
高い天井と大きなガラス窓が美しい展示室「オリエントホール」です。窓越しに中庭とレストラン棟が見えます。
長い展示ケースには貴重な書物が展示されています。タッチパネル式の蔵書検索システムも設置されています。
2Fへは通常は階段で移動します。
階段の下に「エレベーターを利用する方は受付にお声がけください」という案内があります。
車椅子では、いったん展示室を出て、受付に声をかけます。ミュージアムショップの近くにエレベーターがあります。
スタッフの誘導をうけて2Fへ上がります。2Fで空中ブリッジを通り展示室へ移動します。
2F展示室から空中ブリッジを見ると、車椅子のために特別な観覧ルートが用意されていることが実感できます。
スタッフの誘導で「モリソン書庫」に移動します。帰りも同じルートです。
ミュージアムの目玉展示「モリソン書庫」は、オーストラリア人ジャーナリスト「G・E・モリソン」が蒐集した欧文で書かれた東洋に関する書籍約2万4千冊を、1917年に東洋文庫創設者の岩崎久彌氏が、現在の価格にすると約70億円で一括購入したコレクションです。この書庫にある本を手に取ることはできません。
モリソン書庫内に展示スペースがあり、貴重な蔵書が開かれて展示されています。
モリソン書庫の裏側が「岩崎文庫」です。そこへ至る「回廊の路」は車椅子で移動できるフラットな構造です。
岩崎文庫の企画展示室「ディスカバリールーム」はフラットな構造ですが、一部に車椅子からは観覧できない、上から観覧する展示ケースがありました。
車椅子から観覧できる展示ケースもあります。ここでは年間3本程度の企画展が開催されます。今回取材時は「日本語の歴史展」が開催されていました。会期は2022年5月25日から9月25日までです。
1Fの展示室から手動ドアを通り、中庭へ出ることができます。ただし車椅子で通りやすいドアではありません。中庭の端にあるのは「知恵の小径」で、レストラン棟までつながっています。
レストランは東洋文庫と小岩井農場が共同運営する「オリエント・カフェ」で、可動式のテーブル席があるお店です。
テラス席、店内席ともに、車椅子で利用できます。
中庭は「シーボルト・ガーデン」。シーボルトの「日本植物誌」に掲載された木々や花々が植えられています。
アジサイはシーボルトによって紹介されました。屋外アートの展示もあります。
中庭を鑑賞して再度1F展示室に戻ります。ここで胸につけた入館シールが必要になります。
東洋文庫は、東洋全域の歴史と文化に関する様々な文献資料の蒐集と研究を行う専門的な機関です。東洋文庫ミュージアムは、一般向けに貴重書などを展示公開する車椅子で観覧できるバリアフリー施設です。
東京にあるユニークな博物館を別稿でまとめて紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2022年6月に執筆しました)