茨城県の水戸市大串貝塚ふれあい公園は、この地の巨人伝説「ダイダラボウ」と、国指定史跡「大串貝塚」が形成された縄文時代をイメージして、1991年に開園した無料の公園です。高さ15ⅿ超の「ダイダラボウ像」、無料公開施設「埋蔵文化財センター」、古代復元住居などがある「縄文広場」などがあります。
徒歩圏に駅はありません。また小高い丘にある公園なので、アクセス路は上り坂です。車椅子利用者は車の利用が便利です。来園者用の無料駐車場があり、埋蔵文化財センターの近くに身障者用駐車スペースが2台分設けられています。前後左右スペースに余裕がある駐車区画です。
駐車場から園内に移動します。駐車場の横にある石畳風路面の円形サークルは「おまつり広場」です。
広場の周囲に壊れたような石柱が並び建っています。これは長い時間をかけて柱が朽ちていく様をイメージした作品です。
おまつり広場に面して埋蔵文化財センターがあります。センターの1Fが展示施設「縄文くらしの四季館」です。車椅子で観覧できるバリアフリー施設です。
エントランホールの先に四季館の入口があります。全く段差の無いフラットな構造です。
大串貝塚の展示紹介コーナーがあります。ダイダラボウが採って食べた貝が積もった、というのがこの地の伝説です。
「大昔巨人がいて身は丘の上にいながら、手を海に伸ばし、貝をとって食べた」。意訳するとそのような意味になる記述が「常陸風土記」に残されています。
縄文くらしの四季館では、水戸市内で発掘された出土品などが展示されています。古墳時代のコーナーです。
奈良・平安時代のコーナーもあります。水戸は古くから人の営みがありました。
埋蔵文化財センター1Fにバリアフリートイレがあります。スペースはやや狭い個室で、シンプルな設備のトイレです。
埋蔵文化財センターを出て、園内を散策します。園内の主な通路は舗装されています。古代復元住居がある「縄文広場」方面へ散策路が続きますが、「太古広場」横の橋はカーブがきつく車椅子での通行は困難です。迂回ルートを選択してください。
ダイダラボウの「足跡池」があります。日本各地にある池がなぜ出来たのか、その答えとして巨人伝説が生まれたと考えらえています。
園内の足跡池はもちろん人口の池です。長さ73ⅿ、幅36ⅿの足跡です。
縄文がテーマの公園です。散策路には復元した噴石室が展示されています。
散策路を進むと15ⅿ超のダイダラボウの横顔が見えてきます。左脇には巨大な縄文式土器が置かれています。
ダイダラボウの正面側に台座内へ入る出入口があります。館内には巨人伝説に関する展示解説などがあります。
舗装傾斜路を通り館内へ移動します。車椅子で入館できる施設です。
「日本全国に残る巨人伝説」の解説パネルには、各地に伝わる巨人の名称が紹介されています。「オオヒト」と呼ぶ地域が多いことが分かります。
「茨城県に残るダイダラボウの伝説」の解説パネルには、県内で微妙に異なる巨人名称が紹介されています。文字ではなく、伝え語りで巨人伝説が伝承されたことが分かります。
巨人伝説発祥の理由を説明する解説パネルによると、巨人の名称は日本全国で大きく三分類されるそうです。
ダイダラボウの手のモデル展示があります。水戸市大串貝塚ふれあい公園のダイダラボウ像は無料展望台になっています。台座屋上展望台は高さ5ⅿ、手のひら展望台が高さ10ⅿ。階段で上がります。
館内に展望台の出入口があります。階段なので車椅子では利用できません。したがって今回の取材では展望台に上がっていません。
ダイダラボウの手のひらのどこが展望台なのか、下から見上げるだけだとよく分かりませんが、おそらく左手の手のひらの上かと思われます。どのような安全上の構造があるのかは不明です。
巨大なダイダラボウ像と埋蔵文化財センターなどがある水戸市大串貝塚ふれあい公園は、車椅子で散策や見学ができる公園です。ただしダイダラボウ展望台へは、車椅子では上がることが出来ません。
水戸市にある花溢れる洋風庭園「水戸市植物公園」の詳しいバリアフリー情報を別稿で紹介しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2022年5月に執筆しました)