茨城県水戸市にある植物公園です。1987年に開園し、2021年には温室がリニューアルされました。決定的な段差箇所にはスロープがある、バリアフリー改修されている施設です。入園料は障がい者減免制度があり、本人と介助者1名が無料に減免されます。
最寄りのバス停から徒歩15分の案内です。アクセスは車が便利。350台を収容する来園者用無料駐車場があり、公園の入口近くに身障者用駐車スペースが3台分設けられています。
身障者用駐車スペースには、大きな車椅子マークと大きく「専用駐車場」という文字が表記されています。
入園窓口で障害者手帳等を提示して入園します。入園口は段差構造で、折り返し式の段差回避スロープがあります。「勾配が急ですのでご注意ください」と掲示されています。
スロープは緩い傾斜ではありませんが、元気な介助者がいれば車椅子で通過できます。下りは車椅子を後ろ向きにしなくても大丈夫な程度の傾斜角度です。
スロープを上がりきると、最初の花壇「オーバーブリッジ」に出ます。
オーバーブリッジはウエルカムガーデンで、今回取材時はバラが満開でした。
バラ以外にも様々なお花が来園者を出迎えます。
道路を横断するブリッジで、ブリッジ上はフラットな舗装路面です。
オーバーブリッジを通過すると「テラスガーデン」に出ます。ここも小さな段差を回避するスロープルートが整備されています。
オーバーブリッジからテラスガーデン方面は下り坂になります。途中にフラットな面があるスロープ路を移動します。
テラスガーデンは3つの高さのテラスがありますが、すべての高さに段差回避して移動できるルートが用意されています。
テラスガーデンの最も低い高さのテラスには、フリーテーブル席が配置された休憩コーナーがあります。
その隣は「小池」です。今回取材時は黄色い「アサザ」のお花が水面に咲いていました。
次は2021年にリニューアルした「鑑賞大温室」です。
鑑賞大温室は中庭「ピーコックガーデン」を取り囲むように温室が配置されています。隣接して「熱帯果樹温室」があり、「緑陰広場」が配置され、ガーデンショップとレストラン棟が並びます。温室及び公園全体は、建築家瀧光夫氏が設計しました。
鑑賞大温室のピーコックガーデンは、2021年のリニューアルで新設された展示施設です。段差構造ですが車椅子用のスロープルートが整備されています。
通常ルートはピーコックガーデン内の階段路を上がり、「花の回廊」に進みます。
車椅子ではピーコックガーデン中央部のフラットなスペースに進みます。
ピーコックガーデンの端に沿って、段差回避スロープが設けられています。
なだらかなカーブを描くスロープを上がり、車椅子で花の回廊へ進みます。
花の回廊は熱帯の花が主役の温室で、回廊内は緩い下り坂です。
回廊内にユニークな作品が展示されています。
花の回廊ではブーゲンビリアなど色鮮やかな花々が楽しめます。
温室内を進むと、サボテンなどの展示コーナー「カクタス室」、「らんコーナー」と続き、温室のハイライト「花の滝」があります。2021年に新設された立体花壇です。
花の滝の上に、本当に水が落ちている滝もあります。
このエリアと「多目的室」はスロープでつながります。このスロープは温室入口と温室内の高低差を解消するバリアフリー機能があります。
鑑賞大温室の観覧ルートの最後にバリアフリートイレがあります。水戸市植物公園には、他に入口付近のトイレ棟内と「植物館」内にバリアフリートイレがありますが、見比べたところ2021年にリニューアルした鑑賞大温室のバリアフリートイレが最も設備が新しいトイレでした。スペースはやや狭い個室で、ウォシュレット付き便器、オストメイト装置が備えられています。
鑑賞大温室の外観を見学しながら、隣接する熱帯果樹温室に向かいます。
熱帯果樹温室は鑑賞大温室よりも小さい温室です。出入口は手動ドアで開放されていました。ドアは一般的なサイズの車椅子なら通行できる幅があります。
温室内を一周するフラットな通路があります。バナナなどの熱帯果樹を鑑賞する温室です。
ガーデンショップは大きなお店ではありませんが、車椅子で利用できるフラットな構造です。
薬膳料理がいただけるレストラン「フィオレンテ」は、フラットな構造で可動式のテーブル席があるお店です。小さなレストランですが車椅子で利用できます。
水戸市植物公園には、展示会などを行う文化施設「植物館」があります。温室などがあるエリアから舗装路を通り植物館に移動できます。
植物館は2フロア構造で、館内にはフロアを移動できる長いスロープが設置されています。
植物館の1Fと2Fは、スロープを通行して車椅子で利用できます。
植物館の1Fに「養命酒薬用ハーブ園」の展示解説があります。水戸市と養命酒製造(株)が協定し、2017年に「水戸養命酒薬用ハーブ園」が開園しました。
植物館の周囲に水戸養命酒薬用ハーブ園があります。舗装路から車椅子で見学できます。
庭園風の演出がある薬用ハーブ園です。
園内は一部未舗装の散策路があります。車椅子では無理のない範囲を散策してください。舗装散策路には車椅子対応型の水飲み器が設置されています。
来たルートを戻り出口に向かいます。オーバーブリッジの先の折り返しスロープを下りると、その前に回転バーが付いた出口があります。回転バー横のスペースに余裕があるので、車椅子でここから出ることが出来ました。窮屈な場合は、窓口横の入口から出てください。
水戸市植物公園は見どころの多い植物園で、段差箇所はスロープで回避できます。車椅子で利用できる施設です。
水戸市にある「かたくりの里公園」を別稿で紹介しています。ご参照ください。
(本稿は2022年5月に執筆しました)