千葉県古代のお墓 長柄横穴群 車椅子見学ガイド バリアフリー情報

国指定文化財「史跡長柄横穴群」は、千葉県長柄町にある古代のお墓です。横穴は36基あり、2003年から本格的な保存整備が進められ、2010年には資料館が開館しました。

横穴群は山の傾斜地にあるため、車椅子での見学は簡単ではありません。しかし資料館はバリアフリー仕様で、綺麗なバリアフリートイレが用意されています。車椅子からみた現地の状況を紹介します。

現地へのアクセスは車です。車線がある一般道から横道に入ると、狭い舗装路になります。多くの個所で車のすれ違いができません。対向車に注意しながら車を進めます。「史跡長柄横穴群」は、まったく観光地化されていない山中にあります。

狭い舗装路を進むと、資料館があります。その前が駐車場で、身障者用駐車区画があります。駐車場はフラットな舗装路面で、車椅子で問題なく乗降できます。

長柄横穴群 バリアフリー情報

横穴は4つのエリアで発見されています。このうち「第一支群」は見学ができるように整備されています。

長柄横穴群 バリアフリー情報

ただしかなりの傾斜がある未舗装の坂道を上がります。一般的な車椅子利用者は、通行出来ません。駐車場の横から、傾斜路の先を見上げての見学になります。

長柄横穴群 バリアフリー情報

資料館を中心に、その一帯が公園として整備されました。広場があり、なかにベンチテーブルがあり、広場の周囲は舗装散策路です。ただし手入れされていないので、今回取材時の状況では、公園として利用するのは難しい状況でした。園内には「イノシシに注意」という看板があります。

資料館は通常は無人で、鍵が閉まっています。資料館を見学したいときは、入口にあるインターフォンで連絡します。するとスタッフが来て開錠します。現地の案内では「5分お待ちください」となっています。長柄横穴群は「高壇式」と呼ばれる「玄室」が一段高い位置にある、珍しい構造が特徴です。

長柄横穴群 バリアフリー情報

資料館には外向きのトイレがあり、バリアフリートイレが1つ用意されています。トイレは開錠されていて使用できました。

長柄横穴群 バリアフリー情報

車椅子で無理なく移動できる範囲で、周辺の舗装路を散策しました。広場の周囲の舗装散策路から「第三支群」と思われる横穴が、遠目で見えました。

長柄横穴群 バリアフリー情報

長柄横穴群に資料館周辺はバリアフリー仕様です。ただし横穴の見学は、車椅子では困難です。

(本稿は2020年7月に執筆しました)

都心最高峰 新宿箱根山への車椅子での近づき方と楽しみ方

東京都新宿区の「都立戸山公園」内にある「箱根山」は、江戸時代に築かれた山手線内最高峰の人造の山です。車椅子で登山は出来ませんが、中腹の森から山頂を仰ぎ見ることはできます。無理をすれば車椅子でも近づけるルートを紹介します。

都心最高峰 新宿箱根山

箱根山とは、この地が江戸の御三家、尾張徳川家の江戸下屋敷であったとき、庭園の池を掘った残土で造られたスケールの大きい築山です。江戸時代の富士山信仰により、各地にこの種の人造山がありますが、現存する最大スケールの築山がこの箱根山です。標高は44.6mです。

尾張徳川家の江戸下屋敷

その後、ここは旧日本陸軍の戸山学校になり、近年、地中から大量の人骨が出土しましした。現在でも、旧陸軍が建設した建物の基礎部などがそのまま放置されている場所もあります。日中でも人気のないエリアで、夜は幽霊やお化けの目撃証言が多々ある心霊スポットでもあります。

旧日本陸軍の戸山学校

箱根山の周辺は、都営住宅や福祉系、研究系などの公的な施設が並ぶエリアです。他に戸山教会や幼稚園があります。箱根山の近くには、CVSなど商業店舗は全くありません。駅からは距離があり、箱根山の近くに一般利用できる駐車場はありません。

現在の箱根山周辺

早稲田駅方面からアクセスすると、箱根山通りが厳しい坂道なので、車椅子では辛いルートになります。

車椅子でも近づけるルート

戸山公園大久保地区方面の明治通り側から真っすぐにアクセスすると、箱根山の麓にでます。そこから中腹までが急な坂道です。このルートも車椅子利用者にはお薦めしません。

車椅子でも近づけるルート

比較的楽なのは、大久保通り方面からいったん都立戸山団地の中に入り、団地側からアクセスするルートです。

車椅子でも近づけるルート

それでも戸山公園に入ると未舗装路面でデコボコがありますが、頑張れば車椅子で箱根山の中腹ラインに行くことが出来ます。

車椅子でも近づけるルート

中腹ラインまで行けば、そこは緑豊かな山の中です。

車椅子でも近づけるルート

登山コースは階段路です。

車椅子でも近づけるルート

箱根山の見どころは紅葉です。とても新宿区にいるとは思えない深山幽谷の紅葉景色を楽しめます。

箱根山の楽しみ方

前出のルートで、箱根山の中腹ラインまで行けば、車椅子で本格的な山の紅葉が楽しめます。

箱根山の楽しみ方

紅葉情報は都立公園のHPでアップされています。見ごろ情報を確認して、出かけることが出来ます。

箱根山の楽しみ方

最後が階段ルートのため車椅子では山頂登頂はできませんが、登頂した人には都立公園の事務所から証明書が発行されます。申告は自己申告。証拠は不要です。事務所は箱根山から離れた戸山公園大久保地区にあります。

車椅子では山頂登頂はできません

箱根山は都心とは思えない自然が楽しめる場所です。ただしアクセスはバリアフリーではありません。

都内で箱根山に次ぐ高い山「愛宕山」と「愛宕神社」の状況を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。

(本稿は2019年9月に執筆しました)

横穴墓群 吉見百穴 車椅子見学ガイド バリアフリー情報

埼玉県吉見町の「吉見百穴(よしみひゃくあな)」は、車椅子で見学ができる史跡です。しかし限界があります。現地のバリアフリー状況を紹介します。

「吉見百穴」には3つの見学ポイントがあります。「百穴」は6世紀から7世紀にかけての墓です。確認されている穴の数は219基で、国内最大規模の横穴墓群です。横穴がある岩山に「地下軍事工場跡」があります。戦時中に中島飛行機の工場を建設するために掘られた地下空間です。そして「ヒカリゴケ」が横穴墓内などに自生しています。

3つの見どころがある観光施設

アクセスは車が便利です。200台を収容する無料駐車場があります。身障者用駐車区画は駐車場の最も奥の場所に2台分用意されます。とてもスペースが広い身障者用駐車区画です。

「吉見百穴」は有料の施設です。観覧料の障がい者減免制度はありません。受付で料金を支払い、施設内に入場します。

入口右側に「資料展示館」があり、百穴のガイドビデオが放映されています。その音声は施設内全域で聞こえるように流れています。「資料展示館」は車椅子で入館できる資料館です。

「資料展示館」のさらに奥に「埋蔵文化財センター」があります。「埋蔵文化財センター」は土足禁止で、スリッパに履き替えます。入口に段差はないので車椅子で入館可能です。入口に雑巾の備えはありません。出来れば自分で雑巾を用意して、車椅子のタイヤを拭いて入館してください。「埋蔵文化財センター」は展示室内も含めてバリアフリーです。車椅子での館内移動に問題はありません。

「埋蔵文化財センター」内に綺麗なバリアフリートイレがあります。他に独立トイレ棟にもバリアフリートイレがあります。

施設敷地内に売店が2店舗あります。いずれも舗装通路をすこし外れて、未舗装路を通って入店する店舗です。車椅子ではアクセスに苦戦します。

横穴墓の車椅子見学要領です。小さな岩山の側面に数多くの横穴がある奇観は、施設内に入場すると全体が見えます。平地に舗装通路が用意されているので、その上の通行はバリアフリーです。車椅子で岩山に近づくことができますが、その先の岩山の上には段差を上ります。

百穴がある岩山には階段ルートが整備され、頂上部には「見晴台」があります。ルートの途中には、横穴墓を覗きこめる箇所もあります。岩山の上は車椅子では無理なルートです。登っている人が横穴墓を覗きこんでいる姿を、地上から眺めるしかありません。

この横穴墓は、古墳時代末期の6世紀末から7世紀末に造られたと考えられています。一つの穴に二つの段があり、複数の人が一つの穴に埋葬されたと推定されています。明治時代から調査がすすめられました。穴の正体については、当初は住居という意見があったそうです。大正年代に国の史跡に指定されました。

横穴墓群見学のバリアフリー状況

2018年から地下軍事工場跡は、点検調査のため立入が禁止されています。それ以前の、立ち入りができた時の状況を以下紹介します。

軍事工場跡は、昭和19年から20年にかけて、旧日本軍による朝鮮人強制労働で掘られた洞窟です。飛行機の製造工場をつくる目的であったそうですが、未完のまま終戦。この岩山の下に、広くて背の高い地下通路と地下部屋が残されました。

軍事工場跡の通路や部屋は、床はかなりのデコボコですが、気合を入れれば車椅子で立ち入ることはできました。夏は涼しく冬は暖かい洞窟です。

公開されていたのは工場跡のごく一部ですが、それでも車椅子で周るには辛いほどの距離がありました。無理をせずに入口付近だけでも地下通路に入ると、その雰囲気を知ることができました。仮面ライダーのロケ地、また心霊スポットとしても有名です。

ヒカリゴケ観察のバリアフリー状況です。ヒカリゴケは国指定の天然記念物。軍事工場跡の一部に自生しています。自生地の穴の前に「ヒカリゴケ」という看板があるので、観察スポットはすぐにわかります。ただ、この観察スポットはかなりのデコボコ路面の先で、さらに小さな穴を覗きこんで中のヒカリゴケを見ます。車椅子での観察は苦戦します。

妖しく緑色に光るコケは、見る価値はあります。ご自身やご家族の障がいの状況に応じて、覗きこめるようであれば見学してください。

百穴が分布する一帯は、凝灰質砂岩と呼ばれる掘削に適した岩盤が広がっています。古墳時代の人も、旧日本軍も、この掘りやすい岩山を見つけたわけです。そして天然記念物のコケが自生しました。ここは不思議な歴史と偶然が積み重なった場所です。

百穴の地質について

「吉見百穴」は、施設としてバリアフリーレベルは高くはありませんが、車椅子からでも全体の不思議な光景を見ることは出来ます。

(本稿は2019年8月に加筆修正しました)