「吉見観音安楽寺」は、一般的な知名度は高くありませんが、本堂、三重塔、仁王門と仁王像、左甚五郎作と伝わる逸品もある古刹です。岩殿山安楽寺、通称が吉見観音です。
境内の手前100mほどの場所に広い無料駐車場があります。未舗装のラフな駐車場で適当に停めます。駐車場のすぐ近くに、一軒だけお茶屋さん兼お土産屋さんの店舗があります。名物は「厄除け団子」。年に一度の本尊御開帳の日に、これを食べると厄落としになる、ということで人気です。
「安楽寺」は坂東十一番札所。札所めぐりは本来信仰上の行為ではありますが、江戸時代になり平和で安定した世の中になると、庶民の娯楽として盛んになりました。その土地を訪ね、地の名物をいただく。この吉見の山里も札所めぐりの参拝者で賑わいました。
現在ではイベントの無い通常の日は、静かな山里の古刹。ゆっくりとした時が流れています。駐車場から境内への参道も静かです。参道の脇にはお地蔵さんが何体もあります。それ以外は何もない山里。民家が数軒あるくらいです。
参道はややガタゴトはありますが舗装路。緩やかな上り坂ですが、一般的な車椅子での通行は十分可能な参道です。山里の中に建つ古刹です。1200年前に、聖武天皇の命を受けた行基が創始したと伝承されています。本堂と三重塔は寛永年代、仁王門と仁王像は元禄年代に建造されました。
かつては巨大な伽藍をもつ大寺院であったのが、後北条氏の松山城攻めの際にすべての伽藍が焼失し江戸時代に再建されたということです。立派な建造物や彫刻物はいずれも県の文化財に指定されています。
参道を突き当たると境内に向かう階段があります。階段の横に車両用のガタゴトで急坂の道があります。無理をすれば車椅子で上れないこともない坂道です。

本堂は境内からさらに階段の上です。車椅子では無理をしても境内までが限界で、本堂のお参りは困難です。本殿は境内から、階段の上を眺めて参拝します。
左甚五郎作と伝わる逸品「野荒しの虎」は、本殿のなかの欄間にあります。手すりにつかまって階段を利用できるレベル方は、無理をすれば本殿に上がれるかもしれません。
吉見観音安楽寺は、車椅子では十分な参拝は出来ません。しかしながら山里の古刹の雰囲気は素晴らしく、階段の下から眺めるだけも、多少は札所めぐり気分に浸れます。
(本稿は2016年10月の取材に基づいています)



