千葉県成田市の「宗吾霊堂」は、江戸時代の義民「佐倉宗吾」を祀るお寺です。境内はバリアフリーではありませんが、車椅子でお参りができる施設を中心に、現地の状況を紹介します。
四代将軍に佐倉藩の圧政重税を直訴し、その罪で処刑された義民、佐倉宗吾を祀るお寺です。
宗吾様の本名は公津村(現在の成田市)の名主、木内惣五郎。罪人なので、江戸時代は廟を建てることは許されませんが、100年忌に際して佐倉藩主が法号をあたえ、いわば名誉回復が行われ、以来信仰の対象になりました。お寺としては、1000年前に創建された真言宗東勝寺が正式名称で、宗吾霊堂は通称です。
人が神になり信仰の対象になることは日本では珍しくありませんが、名主クラスが神になるのはとても珍しいことです。
徒歩圏内に駅はありません。車の利用が便利です。参道の左右に無料駐車場があります。
どちらにも身障者用駐車区画はありませんが、フラットな舗装路面の駐車場です。
駐車場の近くに公衆トイレがあり、バリアフリートイレがあります。一般的なサイズの個室で、設備はシンプルなトイレです。
駐車場から参道へは、ルートを選べば舗装路があります。ただし経年劣化が進んだ舗装路なので、小さなデコボコがあります。参道には小規模なお土産店があります。
境内入口近くに宗吾様と4人の子どものお墓「宗吾様御廟」があります。宗吾様は磔刑、子ども達は打ち首刑。罪状は将軍への直訴の罪。このお墓の場所が当時の刑場で、処刑された場所にお墓が建てられています。
手水舎は車椅子から手を伸ばせば、なんとか手を浄めることができます。
「宗吾様御廟」から参道を進みます。「仁王門」の下は車椅子でそのまま通行できる段差の無い路面です。「金色仁王尊」がいらっしゃいます。
その先も「大本堂」まで参道は車椅子で通行できます。本堂の拝殿は階段の上です。車椅子では段の手前からのお参りになります。
宗吾様の一代を人形66体で紹介する「御一代記念館」は有料施設です。観覧料の障がい者減免制度はなく、入口は階段構造です。
御一代記念館の展示内容は感動的で、入館者の50%は泣いてしまう、という説があります。
遺品などを飾る「宗吾霊宝殿」は、入口が段差で靴を脱いで上がる施設です。車椅子での利用はできません。
本堂と御一代記念館の間は、信者の寄贈による美しく造営された和庭園があります。このお庭には車椅子で立ち入ることが出来ます。また本堂裏手は7千株の紫陽花園があり、6月には紫陽花祭りが開催されて賑わいます。
その他には、薬師堂、鐘楼堂、聖天堂など、境内には見どころが多々あります。ただし一部は未舗装路になるので、車椅子は慎重に進んで下さい。
宗吾霊堂はバリアフリー仕様ではありませんが、ルートを選べば車椅子でお参りが出来ます。
成田山新勝寺の詳しいバリアフリー情報を別稿で掲載しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2022年10月に加筆しました)