座位保持装置とは、脳性麻痺など重度の身体障がいがあることで、普通の椅子での生活が出来ない人のための、様々な椅子の総称として使われます。
座位、と総称されますが、立位の保持や体を横たえるためのものも含まれます。体が不自由な人が、生活の様々なシーンで姿勢を保つための道具と理解してください。分類の方法に特に決まりはありませんが、車椅子のように移動できるタイプと、置き椅子のように動かないものがあります。
そして、腰を中心にした座位専門のタイプと、首や頭のサポートまで含めたタイプがあります。別の見方をすると、座るためのものと、ほとんど横たわりに近い姿勢を保持するものに分けられます。
使用する人の障がいの状況や使用目的に応じて、様々な座位保持装置が作られます。基本はオーダーメイドです。障がいのある人を支える医療チームで考え、専門業者が製作します。高額な道具です。申請をして認可されれば、公的な助成の対象になります。
この分野は、理論、技術、サービスにおいて、欧米先進国が先行しました。日本よりも先に医療としての研究開発が進み、それに基づいた商品開発が行われています。日本の医療関係者も、海外での勉強に力をいれています。
座位保持装置は、海外製品を輸入して、各製品の組み立てや、使用者のためのカスタマイズを日本で行うケースが少なくありません。重度障がいの人が使う車椅子には、よく輸入車が選ばれます。
この分野は科学の領域です。「シーティング理論」は、スウェーデンで研究開発された座りに関する科学理論です。その後アメリカを中心に理論が発達し、パラリンピックに使わるスポーツ用の車椅子などにも応用されるようになりました。近年は日本でも盛んに研究や議論が行われるようになり、多くの医療実践者や研究機関から本が出版されています。
座ると右に傾いてしまう障がいのある人が、ある米国製のとても高価なシートと背もたれを使用した車椅子に変えたら、まっすぐに座れるようになった事例を知っています。健常な人から見ると解らないような違いですが、良い座位保持装置を使うことで、大きな成果が期待できます。
使用方法が重要です。大切なのは、正しく装置を使うための継続的な指導訓練です。高い装置を作るだけではなく、正しく使うことが重要です。例えば車椅子の座面シートの位置。ちょっとした前後の位置の違いで、座位保持への効果が変わります。正しい位置を覚えて、しっかりセットするようにします。車椅子へ乗り方や、座り方も重要です。座位保持装置を使用する、正しい体の動かし方を身に着けます。
重度障がいの人が使う車椅子などの在庫保持装置は、日々世界で科学的な研究開発が進められています。
(本稿は2019年12月に執筆しました)