東京都世田谷区の「世田谷山観音寺」は、昭和26年に創建されたお寺です。しかしながら境内は古寺の趣があり、お参りすべきお堂や像が数多くあります。境内はバリアフリー仕様ではありませんが、決定的な段差は回避でき、車椅子でのお参りは可能です。現地のバリアフリー状況を紹介します。
世田谷の住宅街にあります。三軒茶屋駅から徒歩20分の案内です。バス停「世田谷観音」があります。
参拝者用の無料駐車場があります。駐車区画のない未舗装路面の駐車区画で、HPでは5台分と案内されていますが、整理して駐車すれば10台近くは収容できるスペースはあります。未舗装ですが、固くてフラットな路面なので車椅子で利用可能です。
お寺の参道はバス通り側ではなく、反対側の一方通行路から入ります。ルートは分かりにくいので注意してください。
参道に入るとすぐに様々な施設があります。参道は舗装路、車椅子で移動できます。
一対の狗犬は1691年製。
参道の脇の立派な門は「旧小田原代官屋敷」を移築。
そして「地蔵菩薩」。
その横に「さざれ石」があります。
参道の先にある門は「仁王門」で、段差がありますがスロープが設置されています。ただし参道からいったん未舗装路面に下りて利用します。ここが車椅子の難所です。それでも、一般的な車椅子利用者と介助者なら、クリアできる小さな段差です。
スロープを上がり「仁王門」に上がります。一対の仁王像は「密迹力士」と「金剛力士」です。
そして天井には「鳴き龍」があり、現地にある解説版にしたがって手を打つと鳴きます。
門の反対側にも段差回避スロープがあります。このスロープは舗装路に着地できます。
舗装された参道の正面に本堂がありますが、まずはその手前や周辺にある数々のお参り先を紹介します。
「六角堂」には国の重要文化財「不動明王」などが納まります。最後に小さな段差がありますが、車椅子でお参りができます。
その横の池に建つのは「夢違観音」。法隆寺の夢違観音を拡大模写したお姿です。
池の周りは未舗装ですが、無理のない場所から車椅子でお参りができます。
「阿弥陀堂」には都の有形文化財「五百羅漢」像が九躰、ほかに「韋駄天神」や左甚五郎の「鬼念仏」などが納まります。
「阿弥陀堂」は京都二条城から移築された木造三層構造の建物です。最後に段差がありますが、車椅子で近づいてお参りができます。
本堂方面に向かい、弘法大師由来の「三鈷の松」、「水屋」、「馬頭観音」や「八方睨みの達磨様」などが並びます。この中で「水屋」は、段差があり車椅子では利用しにくい構造です。
そして本堂の「観音堂」の前まで舗装参道は続きます。本堂は段差がありスロープはありませんが、香炉の手前からなら車椅子で問題なくお参りが出来ます。
お堂の正面には見事な一本彫りの竜神様が飾られています。
参道から本堂をみて、左奥側に「特攻観音堂」があります。
ここへの参道は石畳風で、車椅子での移動はなんとか可能です。
その先に「鐘楼堂」。
そして「多宝塔」周辺の通路は、車椅子での利用が難しい石畳です。周囲の未舗装路面を無理して車椅子で進みます。
本堂の右側奥には、ご神木と裏門に続く「百八煩悩減除階段」があります。この方面も、デコボコがある石畳の通路で、なんとか車椅子で移動できます。
108枚の板石で作られている階段は、車椅子では上からのぞくことになります。
世田谷観音はお参り先が多々あるお寺です。そしてそのほとんどは、多少無理をすれば車椅子でお参りができます。
別稿で「三軒茶屋の街歩き 車椅子利用者のためのバリアフリー情報」を掲載しています。ぜひご覧ください。
(本稿は2020年6月に執筆しました)