三軒茶屋の街歩き 車椅子利用者のためのバリアフリー情報

三軒茶屋の街歩き 車椅子利用者のためのバリアフリー情報

東京都世田谷区の三軒茶屋は、1970年代に整備された都市環境が残るエリアで、バリアフリー面での課題が残る街です。世田谷区では2019年に「まちづくり基本方針」を策定し、都市整備に取り組んでいます。現時点の車椅子で快適に利用できる三軒茶屋の主なバリアフリー施設の状況を紹介します。

○地下鉄三軒茶屋駅

地下鉄駅からは、キャロットタワー方面の「パティオ口」しかエレベーターがありませんでしたが、三軒茶屋駅の真上「南口」方面に出るエレベーターが、2019年に供用されました。

○三軒茶屋銀座商店街

茶沢通り沿いに並ぶ150店ほどの商店街で、日曜祝日は歩行者天国になります。茶沢通りの歩道は、世田谷区のバリアフリー化整備事業の第一号に指定され、2010年から2013年にかけて3期に分けて整備されました。車椅子で通るとはっきりと解るバリアフリー歩道です。

バリアフリー歩道は、三軒茶屋交差点から北に約360mの区間です。歩道の路面材は「透水性インターロッキングブロック」という、滑りにくい素材です。歩道上の急こう配や段差が解消されています。「茶沢通り」に交わる細い横道が多数ありますが、この横道を横断する際に、勾配や段差のない歩道になっています。勾配を解消した細い横道との交差部には点字ブロックがあります。また商店街のお店の出入口を、緩やかな勾配で歩道の高さに合せる改良も行われました。このようなバリアフリー化整備事業によって、三軒茶屋銀座商店街は、傾斜がほぼなく、商店への出入りも楽なバリアフリー歩道になりました。

日曜祝日は歩行者天国になる「茶沢通り」。車道にもバリアフリー化整備が施されています。車道の舗装は低騒音の排水性舗装。車道の脇には雨水の排水能力を高める円形側溝を設置。更に太陽光によるアスファルトの温度上昇を抑制する遮熱性舗装を施工。これらにより、静かで、涼しく、排水のよい車道に改良されています。

三軒茶屋銀座商店街

○世田谷区民会館別館

三軒茶屋銀座商店街にある施設で、「三茶しゃれなあどホール」などが入ります。世田谷区民会館別館は、土日祝も開館します。

1Fの奥に、広いスペースで綺麗なバリアフリートイレがあります。車椅子での三軒茶屋散策途中のトイレ休憩にお薦めします。同じ通りにある「三軒茶屋ふれあい広場」奥の「世田谷区役所太子堂出張所」にも、バリアフリートイレがあります。開庁中は利用できます。

世田谷区民会館別館

○キャロットタワー

1996年竣工の三軒茶屋のランドマーク。外壁が「にんじん色」なので「キャロットタワー」と名付けられました。

キャロットタワー

元々の設計はあまりバリアフリーではありませんが、改装されてバリアフリーが進み、現在ではほぼ全館を車椅子で利用できます。

地下鉄駅に直結、世田谷線駅は横、地下駐車場があります。世田谷区の半官営施設ですが、駐車場料金の障がい者減免制度はありません。

1Fエントランスはバリアフリー改良済みです。B1と地下鉄駅を結ぶ通路に階段がありますが、見えにくい場所に段差迂回スロープが設置されています。ここ以外にも段差箇所は多々ありますが、迂回ルートが用意されています。

スーパーやグルメ店などの商業施設、「パブリックシアター」などの世田谷区の文化施設と行政窓口施設、賃貸オフィス、展望室などから構成される複合施設です。

26Fは無料展望ロビーです。夜景スポットとして有名です。2012年に改装されてバリアフリーになりました。車椅子で安心して利用できる展望ロビーです。

キャロットタワー

展望ロビーへのエスカレーターは2Fから乗ります。車椅子利用の場合は、地階や1Fから別に1基あるエレベーターに乗って2Fに行き、乗り換えます。この2Fの乗り換え通路の途中に、バリアフリートイレが設置されています。エレベーターは2Fから26Fへ直行します。大型の車椅子でも乗り込める大きさです。

キャロットタワー

26F展望ロビーにはレストラン「スカイキャロット」があります。決定的な段差は無くスペースに余裕があるので、車椅子で利用できるレストランです。

スカイキャロット

「FM世田谷」のサテライトスタジオ「スタジオキャロット」があり、午後の時間帯によく使用されています。

キャロットタワー

無料の展望ロビーは、夜23時まで開放されています。26F展望ロビーは、正式には「世田谷区民会館第二別館」という施設です。

「世田谷区民会館」は、区役所に隣接した場所。「世田谷区民会館別館」は、茶沢通り沿い。ここキャロットタワー26Fが「第二別館」。区民施設の一つに位置付けられますが、世田谷区民以外の人も自由に利用できます。

キャロットタワー

車椅子で三茶を散策して、なにか困ったら「キャロットタワー」へ行けば、トイレ、食事、休憩、買い物・・・、とりあえず車椅子でも何とかなります。

キャロットタワー

人気タウンの三軒茶屋ですが、三角地帯など三茶らしいエリアは、車椅子にあまり優しくありません。車椅子で利用できる飲食店は少ない街です。最新のバリアフリー情報を確認して、車椅子での街歩きに出かけて下さい。

三軒茶屋からアクセスする世田谷の名刹「世田谷山観音寺」を別稿で紹介しています。ご参照ください。

(本稿は2019年12月に執筆しました)