神奈川県大磯町は明治政界の要人が邸宅や別荘を築いた地。残された邸宅と庭園をあわせて「邸園」を開発する事業が進行中です。2020年11月、明治記念大磯邸園は第一期開園となりました。この時点での車椅子からみた現地のバリアフリー状況を紹介します。
○アクセス方法と駐車場の状況
大磯駅から約1.2km、徒歩15分の案内です。車椅子利用者は車でのアクセスが便利です。
第一期開園時点では、駐車場は未整備で、一般来園者用の駐車場はありません。車椅子利用者の車両の駐車は「事前にお問い合わせください」という案内です。
車椅子利用者は事前予約不要で駐車スペースが利用できます。場所は「団体バス等専用乗降場」内です。
国道1号線の明治記念大磯邸園の西側、約100mの地点に「団体バス等専用乗降場」の入口があります。ここから入ります。
入口のすぐ近くが、車椅子利用者用の駐車スペースです。通常は管理スタッフがいるので、利用を申告して誘導を受けてください。はっきりとした駐車区画はありませんが、2~3台は駐車可能です。
○邸園入口付近のバリアフリー状況
駐車スペースから国道1号線の歩道を通行して、明治記念大磯邸園の入口へ向かいます。この間のルートは多少のアップダウンはありますが、一般的な車椅子利用者なら移動可能です。
明治記念大磯邸園は入園無料です。邸園入口の先、左側が管理事務所。パンプレットが置かれています。入口から短い区間は舗装路が整備されています。
○邸園内通路の状況
車椅子で問題なく通行できる舗装散策路は、一部だけです。邸園内を進むと、すぐに砂利路面の散策路になります。
砂利路面は浅くはありませんが、見た印象よりは車椅子は進みました。もちろん力は必要です。
砂利路面以外には、石畳風の路面がゴツゴツした、車椅子に衝撃がくる散策路もあります。
第一期開園部の通常の見学コースの70%程度は、車椅子で快適には移動できない未舗装路面です。
○ビュースポットの路面状況
第一期開園は公園部だけで、邸宅内は非公開です。「旧大隈重信別邸」および「旧陸奥宗光別邸」の庭から、各邸宅の外観を観る場所が、ビュースポットとされています。
どちらも砂利路面から、芝生路面に移動して建物外観を見学します。芝生には固いサポートシートが埋め込まれているので、見た目よりは車椅子で移動できます。砂利路面よりは、芝生路面のほうが、車椅子での移動は楽です。
まだ整備中ですが、旧別邸の外観はそれなりに復元されています。観るだけで往時の生活が想像できます。
○トイレの状況
園内に障害者用トイレが用意されている案内です。邸園内のトイレ案内標識は、「旧陸奥宗光別邸」の奥に進むように掲示されていますが、そのルート途中の庭には段差箇所があり、車椅子では通行できません。
「旧陸奥宗光別邸」の北側の、車椅子が通行しにくい砂利路面の路を進みます。
その突き当りに、簡易トイレが用意されています。
内部はこのような簡易トイレで、手洗いの水はタンクから供給されます。
明治記念大磯邸園の第一期開園部の散策路は、未舗装路が多く、車椅子での移動は楽ではありません。また園内トイレの利用は積極的にはお薦めできません。車椅子で悪路が走破出来れば、「旧大隈重信別邸」と「旧陸奥宗光別邸」の外観を鑑賞できます。
(本稿は2021年1月に執筆しました)